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「まあ、少し先の話だし、状況を見ながら考えてもいいんじゃないか?」
「そうですね。まずは6階層に集中します。わたしたちのペースじゃそれなりに時間も必要だと思うんで」
「6階層も楽なわけじゃないから、しっかりな」
「オークとかのモンスターミートって良さそうですよね」
「確かに。セミよりうまそうではある」
「セミも美味しいんですって」
こればかりはどちらも食べたことはないので、答えようがないけど普通に考えてオークだよな。
「海斗先輩は今何階層ですか?」
「俺は20階層だけど、苦戦中」
「20階層ですか、さすがですね。20階層まで行けばもう一生安泰ですよね」
「一生ってことはないと思うけど」
「うらやましいなぁ。20階層ってどんなところなんですか?」
「簡単に言えばジャングルだな。見通しも足場も悪いんで中々思うようにはね」
「そうなんですね。ジャングルとかって色々食材も豊富そうですね」
ジャングルで食材を連想するとは、野村さんもどっぷりダンジョンに毒されてきた証拠だ。
指導した身としては喜んでいいのか難しいところだ。
「ジャングルで何かを食べることはないよ」
「そうなんですか? 勿体無い」
勿体無いってなんだ?
「あ〜そう言えば、最近20階層付近で探索者がいなくなったりって聞きましたけど大丈夫ですか?」
「いなくなったりって何? ちょっと怖いんだけど」
「噂です。聞いたことないですか?」
「いや、ないけど」
「海斗先輩、そういうのあまり気にしない感じですか?」
「噂ね。野村さん、ダンジョンの噂はあてにならないから。俺の噂も間違いしかなかったし」
「『黒い彗星』情報はかなり正確だと思います」
「野村さん⁉︎」
「冗談です。いえ、冗談とも言い切れないですけど」
「いや、どっち」
情報はあった方が良いに決まってるけど、必ずしもその情報が正確とは限らない。
しかも噂レベルまで相手にしていると身動き取れなくなりそうだ。
野村さんには噂に振り回されないよう注意して別れた。
野村さんには注意したものの、そんな話を聞かされて全く気にするなと言うのも無理な話だ。
19階層辺りからシルが感じているという、妙な気配の事もある。
万が一という事もあるので、念のためダンジョンに潜る前に、ダンジョン組合で日番谷さんに聞いてみる事にする。
「高木様、この時間に来られるのは珍しいですね。何かありましたか?」
「いえ、俺自身は何もないんですけど、今20階層を潜ってるんですけどちょっと噂話が耳に入ってきて」
「どういった噂話でしょうか?」
「それが20階層付近で探索者がいなくなってるって話なんですけど」
「そうですか。ちなみにその話はどなたから?」
「前にパーティメンバー紹介してもらった野村さんです」
「そうですか」