敵はモンスターだけじゃない
非モテサラリーマン40歳の誕生日に突然大魔導士に覚醒する 1 #花岡修太朗40歳独身彼女なしが世界トレンド1位 がHJノベルスより発売されました。
地域によっては来週店頭に並びます。
電子はSSついてます。
皆さんに買ってもらえると作者が感激して2巻が出ます。
よろしくお願いします。
眼前の蟻にバルザードの刃を突き立てる。
確実に数を減らしていく。
『アクセルブースト』
ベルリアも一匹倒したのが見えた。
このままいけそうだ。
「あれは? まだ来ますか? すべておかえりいただくとしましょう。『エレメンタルブラスト』」
ただでさえ数が多かったのに、今度は上空から蟻が飛んできた。
まさかの羽根蟻⁉︎
ルシールの風が上空から迫る蟻を捉え巻き上げていく。
「上空の敵なら私だって『ライトニングスピア』」
ミクの雷が上空の蟻を貫く。
「私だってシル様に褒めてもらいたいんだから」
ミクもか。
上空の蟻はやる気漲る2人にまかせておけば、どうにかなりそうだ。
俺はまだ数の多い前方の蟻に集中する。
数さえ気にしなければ、蟻の動きには少し慣れてきた。
ルシールの攻撃で足下が開けた今なら対応できる。
とにかく囲まれないように立ち位置に気を配りつつ確実に身体の繋ぎ目にバルザードを突き入れていく。
それにしても何匹いるんだ。
最初だけで20はいた。
そこに羽蟻まで加わって30に近い数になっている。
もう蟻のスタンピードといっても信じてしまいそうなくらいだ。
肩と手首の痛みと連戦で動きが鈍ってくるので、バルザードを奮いながらマジック腹巻きに手を入れ、低級ポーションを飲み干す。
通常の戦闘中にポーションを空けたのは初めてかもしれない。
10万円が頭を過らなくもないけど、今はそんな事は言っていられない。
ポーションによる回復で動けるようになったので、少し余裕が生まれる。
動きが厳しいと頭の回転も鈍り判断も遅くなる。
2本目に手をつけようかというところで、ようやく蟻の群れを撃退する事に成功した。
「終わった〜」
きつい。
フルマラソンを走ったことはないけど、おそらくはそのくらいきつい。
身体がきつすぎてその場で大の字になってしまう。
「海斗、それはやめた方がいいわよ」
「なにを?」
「ここ、ムカデとかダニとかいっぱいいるわよ」
ミクの言葉で痛む身体をフル稼働させて飛び起きて、手で背中と髪をはらってしまった。
「大丈夫かな」
「見た限り大丈夫そうだけど、敵はモンスターだけじゃないの。気を抜いちゃダメよ」
「はい」
返す言葉もないけど、蟻の大群を退けたんだからこうなるのも仕方がない。
あいりさんもポーションを空けている。
「それにしても、とんでもなかったな〜まさかこんな数」
「なかなかだったな。それはそうと……」
あいりさんがシルの方に視線を寄せている。
よく見るとヒカリンやルシールも同様だ。






