モチベーションは大事
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「ルシール、蟻は平気?」
「ありでしょうか?」
「そう、蟻です」
「特には、なにもありませんが、それがどうかしましたか?」
「ルシール、今すぐ蟻をどうにかしてください」
「おまかせください。あの程度の虫など造作もありません。おかえりください『エレメンタルブラスト』」
ルシールが魔法を発動し風が巻き起こり蟻が舞い上がる。
どうやらルシールは蟻に対して忌避感はなさそうだ。
「さすがですね」
「シルフィー様の為ならこの程度造作もないことです」
「ルシール、こっちのやつらも頼む!」
「海斗様、お久しぶりです。最近喚ばれる事もなかったので忘れられてしまったのかと心配しておりました」
「そ、そんなわけないだろ。それに今はそんな話をしてる場合じゃない!」
「大丈夫です。たかだか蟻ではありませんか。なぜ皆様が手間取っているのでしょうか? 皆様の敵ではないと思うのですが。いずれにせよ私の敵ではありません。あなたたちはおかえりください『エレメンタルブラスト』」
ルシールの起こした風が周囲の草木ごと蟻を舞い上げていく。
それにしても、ルシールのあの口ぶり。
もしかして、最近喚べれていなかった事に怒っているのか?
それにしてもシルと扱いが違うような。
今はそれは気にせずにおこう。
とにかくルシールのおかげで数を減らす事には成功している。
後方の風に意識を割きつつ前方の蟻へと集中する。
バルザードを用いても蟻は硬い。
狙うべきは身体の繋ぎ目。
かなり難易度は高いが、アサシンの能力が発動している今ならなんとかいけるはず。
バルザードの刃に切断のイメージを蟻を斬る。
繋ぎ目は他の部位に比べると、強度は落ちるがそれでもやはり硬い。
さっきまでは後方に抜けられないように立ち回っていたが今はルシールがいる。
避けることに比重を置いて、躱しながらすれ違いざまに側方から斬りつけていく。
「ルシールにばかり取られるわけにはいきませんね。私もシル姫に褒めていただかなくては。『ファントムステップ』」
横ではベルリアが華麗に舞っている。
「私も褒めてもらわねば。『斬鉄撃』」
2人とも……。
ルシールの風で周囲が開けたおかげで動きやすくなった。
とにかく集中して一匹ずつ倒していく。
「シルフィー様には指一本触れさせません。おかえりください『ウィンドブラスト』」
「わたしだって褒めてもらいたいのです『アースウェイブ』」
動きの止まった蟻にとどめをさす。
それにしてもこの切迫した戦いのモチベーションがシルに褒められることとは、どうなのかと思わないことはないけど明らかに状況は好転しているので今はそれでいい。