妙な気配
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虫の襲撃が減り万全の体制をとっていることもあって、初日よりは順調だ。
「ベルリア!」
「おまかせください」
ベルリアが前方の羽根竜へと距離を詰め首を刎ねる。
「これで終わりだな。それにしても、こう草が生い茂ってると魔核が見つけ辛いな」
「海斗、なにがなんでも見つけるんだぞ。一個たりとも無駄にするんじゃないぞ」
「わかってるって」
別に、この魔核をルシェに渡すわけじゃないから直接的にはあんまり関係ないんだけど、口にするのは辞めておこう。
小型の人型とも交戦したが、流石にベルリアも学習して一人で突っ込むようなことはなく無傷で乗り切ることが出来た。
何度かの戦闘を経て、昨日のポイントを越えて先へと進むことが出来ている。
「ご主人様、妙な気配がするような」
「妙な気配? それってモンスターが近くにいるってことか?」
「いえ、そういうわけではなさそうなのですが」
「それって……」
妙な気配。
そう言えば、以前5階層でもシルがそんなことを言ってた気がする。
あの時はラミアと戦うことになったけど、今考えるとラミアのいたところは隔絶されたフロアだったし、あの時の妙な気配がラミアだった可能性は低い。
そのあとしばらく探索者キラーの話も聞かなくなってたから記憶から消え去っていたけど、正体が判明したというわけじゃなかった。
まさか、今はこの階層にいたりするのか?
「シル、前に5階層で感じたのと同じか?」
「申し訳ありません。はっきりとはしないのですが似ているような気はします」
「そうか、みんな以前噂になった探索者キラーの可能性もゼロじゃない。気を付けていこう」
「そういえばそんなはなしもあったな」
「あの時期だけ集中して聞こえてきたけど、それらしいモンスターを倒したって話も聞いてないわね」
「大丈夫なのです。シル様とルシェ様もいますし、出てきたら返り討ちにしてやるのです」
「そうだな」
普通得体のしれない敵に対しては恐怖心が募る気がするけど、うちのメンバーはそんな様子はない。
みんな俺以上に強メンタルだ。
「ベルリアもティターニアも何か違和感があったらすぐに知らせてくれ」
「おまかせください」
「わかりました」
強メンタルは悪い事じゃないけど、用心するに越したことはないし、し過ぎるということもない。
もしシルフィーの感知をすり抜けたとしても、近寄ってくればこの2人であればどちらかが気づくだろう。
「おい、わたしは? まさかまたのけ者にするつもりじゃないだろうな」
「うん、そんなわけないだろ」
「おい、適当なこと言ってるんじゃないだろうな」
「うん、そんなはずないだろ。ルシェもたのんだぞ」
「海斗、なんか心がこもってないぞ」
「いやいや、心の底からだから」
「うそじゃないな」
「ウソじゃないって」
「なら、いい」
もう長い付き合いだ。ルシェに感知能力が無いのはわかってる。
下手をすると俺以下だ。
ルシェには心の底から願っている。
絶対にやらかすなと。