終わっても終わらない
HJ文庫モブから始まる探索英雄譚10はまだまだ店頭で皆さんを待っています。
まだの方は是非!
氷に覆われてるとはいえ、ベルリアがターゲットとなるのはまずい。
当然『鉄壁の乙女』に覆われている俺達が一番目立つ。
意図してスピードを上げ、敵との距離を潰していく。
その間にも敵の魔法が絶え間なく降り注ぐが、足下に注意しながらどんどん進み、あいりさんとルシェに攻撃を委ねる。
「わかってるだろうな。ぜんぶわたしのおかげだからな。一個や二個じゃ話にならないんだぞ。さっさと終わらせてじっくり味わうからな」
今回は、ルシェも言葉通り戦ってくれているので3個くらいか?
いや、強欲なルシェの事だ3個じゃ文句言うかもしれない。
それよりいまは、はやくこの場を終わらすことに集中だ。
進行方向ばかりではなく、左右にも散っているので厄介だ。
「スナッチ、お願い!」
あいりさんとルシェだけでカバーしきれない敵にはスナッチが対応してくれているのでどうにか対処できている。
残念ながら見通しの悪いここではティターニアの出番はない。
「いやああああああ~!」
あいりさんの声が上がり最後のモンスターが倒れた。
「シル、これで全部か?」
「はい、他にモンスターの気配はなさそうです」
どうやら、本当に倒しきることが出来たようだけど、思っていた以上に手こずってしまった。
一体の強さはそこまででもなかったかもしれないが、まとまった数出現してしまうとこのフィールドと相まって苦戦は免れない。
「シルもお疲れ様。助かったよ」
「ご主人様にそんなふうに言ってもらえて、シルは幸せです」
「おい~、モンスターを倒したのがだれかわかってるんだろうな?」
「ああ、ルシェも助かったよ」
「なんか短いな」
「そうか?」
「差別か?」
「ルシェ、お疲れ様」
「ふん、あんな雑魚相手に疲れるわけないだろ」
まあ、ルシェはある意味想定通りの反応だけど、思いの外嬉しそうだな。
これで終わったけど、草木に隠れドロップした魔核を集めるのも容易ではない。
倒したであろう大体の場所に当たりを付けて探すけど、思わぬところに転がっていたりするので、こちらも想定以上に時間がかかっている。
そして、問題は毎回の事ではあるが氷漬けのベルリアだ。
『アイスサークル』はベルリアをしっかり守ってくれてはいたけど、残念ながらヒカリンでも解除することはかなわない。
こうなればいつものように焙るしかない。
「ついでだ、やってやろうか?」
「いや、ミクに頼むから大丈夫だ」
ルシェに頼むのが一番手っ取り早くはあるけど、ベルリアもただでは済まない。
時間はかかるけど、ミクに頼んだ方が傷が浅くて済むだろう。