20階層も溶かす
アニメは終了しましたが、HJ文庫モブから始まる探索英雄譚10が11/1発売になります。
よろしくお願いします。
「ベルリア、あいりさんを頼む。
「おまかせください.『ダークキュア』」
ベルリアに、弾き飛ばされてダメージを受けたあいりさんの治療をまかせる。
「大丈夫ですか?」
「ああ、すまない。大丈夫だ。断ち切るつもりで放ったんだが、甘かった。あの蛇思った以上の強度だった」
「ええ、強かったですね。さすがは20階層のモンスターって感じでしたね」
この階層のモンスターは間違いなく強い。
そして、シルとルシェが力を発揮し辛いのがかなり痛い。
あまり気は進まないけど、ルシェには『侵食の息吹』で戦ってもらうか。
「ルシェ、次からモンスターが出たら一緒に戦ってくれ」
「ああ、いいぞ。退屈してたから燃やしてやるぞ」
「いや、獄炎は無しで」
「え〜っ、燃やしちゃダメなのか?」
「うんダメ。全部燃えちゃいそうだし、一酸化炭素中毒で死にそう」
「一酸化? なんだ、それ?」
「煙を吸い込んだら死んじゃうんだ」
「煙? そんなので死ぬわけないだろ?」
もしかして悪魔は煙を吸い込んでも死なないのか?
悪魔だし、根本的な身体の作りが異なる可能性はあるけど、ベルリアが色々外的環境に影響されているのをみていると、そんな事はない気がする。
延焼の煙で中毒死するベルリアが想像できてしまう。
「うん、やっぱり『侵食の息吹』でいこう」
「じゃあ、黒翼でもいいだろ?」
「いや、木が群生してるところじゃ危ないって」
「ケチッ」
いや、ケチとかそういう事じゃなくて普通に危ないし、効果も薄いだけだぞ。
これで、少数なら対応できると思うけど複数で出現するとかなり厄介だ。
ヒカリンの『アースウェイブ』も効果は薄そうだし、こちらが打てる手が限られてしまう。
大蛇が残した魔核を拾い上げ、先に進む事にする。
「おい、海斗、まさか忘れてるんじゃないだろうな」
「えっ? なにを?」
「魔核だ、魔核。さっさとくれよ」
「いや、いや、いや.今回なんにもしてないだろ? だから何もないからな」
「ケチッ」
ルシェに魔核なしを告げた時に、シルも哀しそうな顔をしているのが目に入ってしまったけど、今回はシルも何もしてないのでお預けだ。
ベルリアは、スキルも発動させたし、しっかりと役目を果たしてくれたから本当なら魔核を渡したいところだけど、この状況で1人にだけに渡したら、ベルリアが燃やされてしまいそうなので今回は我慢してもらう事にする。
「そろそろ、行きましょうか」
「ああ、そうしよう」
俺達は、あいりさんが完全に回復するのを待ってから探索を再開した。