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866話 送還

「えへへへぇ〜。ひやぁあ〜」


しばらく様子を見ていたがベルリアが回復する様子はない。


「もうベルリアは諦めよう。それにベルリア抜きじゃ厳しいと思うから今日はここまでで引き上げようか」

「海斗、バカなのか? 今日はわたしの調子がいいんだからベルリアがいなくてもまったく問題ないだろ」

「海斗さん、ベルリアくんはどうするつもりなのですか?」

「ああ、こうするんだ」


俺は回復の兆しの見えないベルリアをカードに送還した。


「カードに戻したのですね。ところでカードに戻した場合回復はどうなるのです?」

「いや、どうなるんだろ」


今まで大きなダメージを受けた状態でサーバントをカードに戻した事は一度もない。

正直どうなるのかわからない。

時間が止まってる感じでもない気がするし、かと言ってこちらと同じ時間が流れているのかと言われれば微妙な気はする。


「よくわからないから、もう一回喚んでみるよ。ベルリア召喚!」

「ハヒィ〜イ、マイロ〜ろ」

「うん、ベルリア戻っていいぞ」


再びベルリアをカードへと戻す。

ひとつわかったのは、サーバントをカードへと戻しても一瞬で状態異常が回復したりはしないという事だ。


「今日は無理みたいなのです」

「そうみたいだ。それで……」

「だ〜か〜ら〜進むに決まってるだろ〜」

「シルはどう思う?」

「おい! ちょっと待て。なんでシルに聞くんだ!」

「どう思う?」

「そうですね。ベルリアがいない事で前衛が薄くはなりますが、ルシェも張り切っていますし、私が攻撃をカバーすれば問題なく進めると思います」

「おい!」

「そうか。シルがそう言うなら進んでみようか」

「だ〜か〜ら〜なんでシルなんだ〜」

「みんないいかな」

「海斗、死にたいんだな? そうかわかったぞ。今すぐ消し炭になりたいんだな.『破滅の獄……』」

「魔核やらないぞ?」

「くっ、卑怯だぞ」

「悪魔がそれを言うか?」

「海斗、おぼえてろよ!」

「じゃあ、進もうか」


シルが行けるというなら、まあ大丈夫だろう。

ルシェが騒いでいるけど、いつものことなので放っておいて先へと進むことにする。

ベルリアがいないので代わりに俺が一番前を歩くことにする。


「海斗、ベルリア抜きは不思議な感じだが気をつけるんだぞ」

「わかってます」

「ベルリアがいないと罠の感知ができないからな」

「あぁ、たしかに。でもこの辺りは大丈夫っぽいですよね」

「罠は思いもよらない所にある場合も考えられるから、注意だけは怠らないようにしよう」

「そうですね」


たしかにベルリアがいなくても戦闘はシルがいればどうにでもなる気がするけど、移動時の方が問題が大きい気がする。

やっぱりベルリアもいてもらわないと困るな。



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