862話 紫色は毒の色
ルシェの積極的な動きにより、かなりいいペースで探索は進んでいるが、その代償としてスライムの魔核はどんどん減っている。
「海斗、やっぱりヤバかったのね。わかってはいたつもりだけど」
「いや、ヤバくはないって」
「いくら探索者でも、普通は思いつくことはあったとしても絶対に実行には移さないわね。まさか本当にやるとは思わなかった」
「よかったらミクも……」
「やるわけないでしょ!」
うん、やっぱりこれはやった人にしかわからないやつだな。
ライバルが増えすぎて場所がなくなっても困るし、王華学院を受験する生徒がこぞってやってきたら、俺の優位性がなくなってしまうので、これはこれでよかったと思う事にしよう。
「それより海斗さん、結構奥まで来ているような気がするのですが」
「そうだな〜ハッキリとはわからないけど、この階層の後半に差し掛かってるのは間違いない気がする」
「という事はもう少しで十九階層主との戦闘か」
「そうなりますね」
「これを抜ければついに二十階層か。この一年で私の状況も大きく変わったな」
「あいりさん、感傷に浸るにはまだ早いのです」
「はは、そうだな」
あいりさんのセリフなんとなくフラグっぽいけど、気のせいだよな。
「ご主人様、敵モンスターです」
「ああ、わかった」
「それじゃあ、ベルリアと……」
「海斗、ゴチャゴチャ言ってるんじゃないぞ。私が燃やしてやる」
「いや、だけど色付きは流石にな」
ルシェのやる気ブーストで獄炎は燃え上がり、相性の悪いはずのメタルモンスターもノーマルタイプのやつはダメージを与える事ができているが、色付きは流石にルシェだけで溶かしきるのは難しい。
現れたのは少し小型で紫色のメタルモンスター三体。
奥に足を踏み入れているからか色付き比率がかなり高い。
今まで色付きと戦ってわかっているのは色付きにも系統があり、色によりおおよその能力が測れるという事だ。
そして、目の前に現れた紫。
大きさこそ赤や青に劣るが、完全にやばい色だ。
「シル! 『鉄壁の乙女』だ!」
「はい」
前衛にいた俺とあいりさんは、全速力で『鉄壁の乙女』の光のサークルへと滑り込む。
「ベルリア!」
「マイロード、おまかせください。このベルリアに毒など効きはしないのです」
あの不気味な紫は完全に毒系だ。
毒に対してはレジストリング等がなければ対処のしようがない。
生身の俺やあいりさんがくらえばただでは済まない。
幸いな事に俺たちにはベルリアがいる。
ベルリアの毒耐性は極めて高い。
まかせておけばなんとかなる……よな。
前も毒は大丈夫だったし悪魔だし多分問題ない。
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