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840 話 感じる

「どうしようか。時間的にはまだ早いけど、ベルリアも結構ダメージを負ったし今日はこれで切り上げてもいいかなと思うんだけど」

「そうね。それがいいと思うわ」

「マイロード! お待ちください。私はノーダメージです。このまま帰るわけにはいきません。皆様、このまま進みましょう。いや、是非進みましょう!」

「う〜ん、そう言ってもな〜」

「海斗、ベルリアにも騎士としてのプライドもあるんだろう。進んでもいいんじゃないか」

「おおっ、あいり様。わかってくれますか。さあ行きましょう」


俺としては、ベルリアの精神状態も踏まえて撤退でもいいかと考えていたが、本人の強い希望もあり結局、先に進む事となった。


「だけどあの青いやつ、強かったな。ベルリアが反応できないスキルって結構ヤバいな」

「後方から見ていましたが、突然凍っちゃった感じだったのです」

「記憶にはありませんが、おそらくは突然だったのでしょう」

「あいりさんも、青いのが出たら気をつけてくださいね。予備動作無しで発動した可能性もありますから」

「ああ、極力正面に立たないように気をつけるよ」

「明らかに他より上位のモンスターな感じなのにドロップは全く同じ魔核だけってセコイわね」


通常レアっぽいモンスターの場合、他よりも良いものがドロップされることが多いが、今回の青い狼からは他のメタルモンスターとほぼ同じ魔核がドロップしただけだった。

たしかにセコイと言うミクの気持ちもわかる。

ダンジョンの奥へと進んでいくが、奥に進むにつれ床が濡れている箇所がちらほらと現れてきた。


「キャッ」

「ヒカリン大丈夫?」

「ミクさん、ありがとうなのです。足が滑ってしまったのです」

「そうよね〜。これなら砂漠仕様の靴を履いてきた方がよかったかも」

「普通に歩いているだけでも滑りそうになるな」


氷とまでは言わないが、戦闘になればこの床はかなりハンデになりそうだ。


「どうしたシル、敵がいるのか?」

「はい。まだ、それほど近くはないと思うのですが、普通のモンスターとは違う気配を感じるような」

「まさか、また悪魔!?」

「悪魔とも違うような。むしろこれは……」

「なんだよシル、もったいぶらないで教えてくれ」

「微かに感じるだけなので、まだはっきりとはしませんが、この感じは悪魔というよりも私に近いような」

「ちょっと待ってくれ.シルに近い気配!? それって半神って事か?」

「う〜ん、微かな感じだけなので、はっきりとはわかりません」


このフロアに神に連なる敵がいるのか?

それってヤバくないか。


「ルシェ、なにか感じるか?」

「なにも感じないぞ。いや感じるな」

「本当か?」

「ああ、感じる」

「どんな感じなんだ」

「腹が減った」

「は?」

「だ〜か〜ら〜空腹を感じるって」

「感じるって空腹のことか?」

「もちろんだぞ。ほら、魔核をくれよ」

「は〜っ、お前に期待した俺が馬鹿だったよ」

「失礼なやつだな! さっさとくれよ.ベルリア炙って腹減ったの忘れてた」

「あれでか!?」

「当たり前だろ.誤魔化そうとしてたんじゃないだろうな」

「わかったよ。特別だからな」

「はいはい、特別ね。特別って言う割に魔核はいつも通り小さいな」

「文句があるなら食べなくていいんだぞ」

「あ〜うそうそ」


ルシェに聞いた俺が悪かった。ルシェが何かの気配を感じたことなんか一度もなかったのに、シルの言葉で気が動転してしまっていたのかもしれないな。

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― 新着の感想 ―
[一言] もうルシェが何がする度に株が下がりっぱなしでそれを何とも思わない主人公や作者がなんともね。 探索とか主人公が戻ろうってなってるのにプライドのためだけにまだ帰らないとか周りがゴリ押しするパター…
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