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第808話 メタルゴブリン

「ご主人様、この先にモンスターの気配です。数は3体です」

「それじゃあ、隊列はさっきと同じでいくけど、ヒカリン、ミク、ティターニアは積極的に参加してほしい。スナッチにも攻撃させてみて」


シルとルシェがやれるのは検証も必要のないことなので、今回はこの階層で後衛のメンバーがどこまで通用するのかを試しておきたい。

ゆっくりと進んだ先に見えるのはやはりメタリックカラーのモンスターだ。

形状は先程とは異なる。

特筆すべきは一体のモンスターは鳥型で宙を舞っている。


「それじゃあちょっと遠いけど、いくわね。『ライトニングスピア』」


ミクが初撃を放ち戦闘が開始される。

ミクの放った雷の槍は一直線に鳥型のモンスターへと伸び命中し、鳥型が弾かれたようにバランスを崩して高度を下げたが、すぐに持ち直し再び滑空し始めた。


「当たったのに。効果ゼロではないけど厳しいわね」

「じゃあ今度はわたしなのです。『ファイアボルト』」


今度はヒカリンが放った炎雷が飛んでいくが、鳥型が急旋回して攻撃をかわす。


「ごめんなさいはずしたのです」


単純に距離がありすぎたかもしれない。そう考えるとミクの命中精度がやばいな。


「ベルリア! いくぞ!」

「おまかせください。三体ともこの牛魔刀の錆にしてやります」


いや、ベルリア聞いてたか? 今回は後衛のメンバーに積極的に攻撃参加してもらうんだからお前が三体とも倒しちゃダメなんだよ。

聞く耳を持たない士爵級悪魔に心の中でツッコミを入れながら俺自身も敵へと突っ込んでいく。

地上にいる敵は人型が二体。

一体はずんぐりとして、それほど背丈は無いが、腕が異常に太くいかにもパワーがありそうだ。

そしてもう一体は俺の見慣れた姿を想起させる。

金属で形作られてはいるが、コイツはゴブリンか。


「ベルリア、俺がゴブリンをやっていいか」

「では私はあの不恰好な方を」


俺たちとすれ違いに上空を鳥型が飛んでいくが、後方で控えるあいりさんたちにまかせて俺は初見の敵に集中する。

おそらく敵はゴブリンなので、普段余り役に立つ機会のない『ゴブリンスレイヤー(微)』も活躍してくれるはずだ。

メタルゴブリンも俺を認識して、手に持つ小型の槍を向け一気に加速した。

やはり先程のモンスター同様に初速が異常に速い。

迫る槍を大きく避け、後方に回り込もうとするが、メタルゴブリンが急反転して間髪を入れずに迫ってくる。


「速すぎるだろ! 動きがおかしいって」


思わず言葉が口をつくが、明らかにターンのスピードがおかしい。

前方への加重を無視するかのような急反転からの急加速。

息をつかせぬメタルゴブリンの攻撃に、躱すのが精一杯で防戦一方になってしまう。

このままではまずいが、短槍とはいえバルザードよりはかなり長いので、迂闊に距離を詰めることはできない。


「海斗さん、援護します! 『アースウェイブ』」


後方からヒカリンの声が聞こえてきたので、俺はその場から後方へと飛び退く。

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