第784話 みんな揃って
遅くなりましたが、あけましておめでとうございます。
まだ作業中の為更新が遅れていますが、なんとか本日1話投稿させていただきます。
20階層目指して頑張りたいと思います。
今年もよろしくお願いします。
「もしかして、あれって……」
「うん、 間違いなさそうだ。ボス部屋だな」
昨日も結構順調にきているとは思っていたが、どうやら自分が考えていたよりもかなり先に進んでいたようで、今日の探索を終える前に眼前にはボス部屋と思しき扉が現れた。
他のメンバーは前回のボス戦からそれなりに間隔が空いているが、俺は先日ラミアと戦ったばかりなので感覚的には連戦と言っても過言ではない。
「海斗、どうするんだ。このまま入るのか?」
あいりさんが、俺に問いかけてくる。
あいりさんの言葉には二種類の意味が含まれている。
ひとつは言葉通り、このままボス戦へと臨む選択。
そしてもうひとつは、今日はこのまま引き返し来週以降にトライするという選択肢。
今日もスムーズに進んできたのでまだ探索を終えるには早い時間だ。ボス戦に臨む時間的余裕とリソースの余裕はある。
少しだけ引っかかるのは俺自身の問題。
ステータス上は万全だが、ラミア戦での疲労が完全には抜けていないような感覚がまだ少し残っているのと、ボス戦に短期間で続けて臨むという精神的な負荷の問題だ。
気持ちの問題といえば、ただそれだけなのだが、ボス戦では心身共に擦り減る場合が多いので臨むだけで結構なパワーを要する。
「どうした海斗? 今日はやめておくか?」
「あ、いえ、せっかくいい状態でここまでこれたんで、一応入ってみましょう。最悪撤退してもいいですし」
イレギュラーで出られなくなることはあったが基本ボス部屋からの離脱は可能となっている。
やはりここまできてそのまま引き返すという選択肢はない。
ボスモンスターの種類はわからないが、念のためにお祓いグッズも揃えて体勢を整える。
「マイロード私にも聖水をお願いします」
「ああ、これを使ってくれ」
ベルリアにも疑似聖水の入った噴霧器を渡しておく。
今更だけどよく考えたら聖剣どころじゃなく、聖水やおふだを持ったベルリアの違和感がすごいな。
聖水とかは霊的な相手には効果抜群だが、悪魔には全く効果がないようで普通に取り扱っている。
このあたりの微妙な違いは俺にはよくわからない。
悪霊という言葉があるが、文字面だけ見ると悪魔と霊が合わさったようだ。だけど幽霊と悪魔は本質的に違うものなのだろう。
そういえば幽霊になった悪魔はやっぱり悪霊というのだろうか。その場合は聖水が効くのか?
だめだ。
聖水とおふだを手にするベルリアを見ていると雑念が頭を過ぎる。
今はそんなくだらないことを考えている時じゃない。集中だ。
扉の前で準備を整えて、小休憩をとる。
「わたしはボス戦は久しぶりなので、ちょっと楽しみなのです」
「ああ、ヒカリンはそうだよな」
「この前もヒカリンがいればもっと簡単に攻略できてたかもしれないわね」
「このメンバーが揃ってこそのK-12だろう」
あいりさんもいいこと言うなぁ。
ヒカリンの病気が治って、ようやくみんなでここに臨んでいることを思うと感慨深い。
「それじゃあ、そろそろいこうか」
俺は自分自身に気合いを入れ集中力を高める。
その場から立ち上がり、真っ黒なボス部屋の扉へと手をかける。
なんとHJ文庫モブから4巻の発売が決定しました! 発売日はまだ未定です。
酷評をものともせず、3巻の壁を突破してここまでこれたのは買ってくれた読者の方々のおかげです。ありがとうございます!
もうすぐ作業が一段落するので、執筆が進み次第投稿を再開しようと思います。
また作業に入るタイミングで止まりますが、よろしくお願いします。