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第692話 春香の手作りディナー緊張の調べ風味

「春香、今日の為に張り切って何回も練習してたのよ〜」

「そうなんですか」

「チキンのクリーム煮期待していいわよ」

「はい」

「ところで高木くん、最近春香とはどうなんだい?」


おおっ、急に春香パパも会話に入ってきた。


「どうと言うのは……」

「いや、仲良くやってるのかい?」

「はい、仲良くさせて頂いています」

「そうか。高木くんは将来探索者としてやっていくつもりなのかい?」

「はい、大学を出たらそうしようかと考えています」

「探索者は危険もあるだろうね。収入もそれなりには見込めるのかい?」

「はい、危ない事もありますが、その分収入は、はい」

「そうか……怪我しないようにね」

「はい、ありがとうございます」

「大学は春香と同じ王華志望でよかったかな。受験勉強はどうだい? 捗ってるかい?」

「はい、春香さんと同じ王華です。勉強は……はい、がんばります」

「そうだね。頑張ってよ」


非常に紳士的で柔らかい話し方だが、俺にとっては圧迫面接にも勝る程のプレッシャーがかかり、全身から冷や汗が流れ出だす。

その後も春香の料理が出来るまで、三人で他愛も無い話をしていたが、話の間俺の冷や汗が止まる事は無かった。


「お待たせしました」


俺のメンタルゲージがあと僅かとなったその時、春香が出来上がった料理を持ってやって来てくれた。

やっぱり春香は天使だ……この窮状から俺を救ってくれた。

テーブルの上にはサーモンのカルパッチョ、じゃがいものポタージュ、そしてチキンのクリーム煮が並んでいる。


「それじゃあ、みんな食べてね。海斗、誕生日おめでとう」

「ありがとう」


四人でテーブルを囲んで料理を食べ始めるが、一言で言って美味しい。

どの料理も美味しいけどこのチキンのクリーム煮、先月食べたお店のより美味しいんじゃ無いだろうか。

お肉もほろほろで柔らかいし、ソースがとにかく美味しい。


「美味しい……」

「ありがとう」

「海斗くん、言った通り美味しいでしょ。春香の愛情がたっぷり注がれてるから」

「……はい、ありがとうございます」

「ママ……」


間違い無く美味しいけど、この場でなんて答えていいのかわからない。


「うん、美味しいな。春香も料理が上手くなったもんだな。海斗くんもそう思うだろう」

「はい、そう思います」


正直、以前の春香がどうだったのかはよくわからないが、今はそれは問題でない事はわかる。

誕生日に好意を寄せる相手から絶品の手料理を振る舞われて、間違いなく俺史上最高の誕生日ディナーだが、春香の家で料理を振る舞ってもらうと言う事は当然のように今の状況を生む事を理解しておけばよかった。

料理を食べ終わると最後に誕生日ケーキが出てきたが、綺麗にデコレートされたそれは明らかにお店で買って来たケーキではなく、手作りだ。


「もしかして、このケーキも春香が……」

「うん、あんまり作った事が無いから自信は無いけど食べてみてね」

「ああ、ありがとう」


誕生日になっても家にケーキが出て来なくなってから何年経つだろう。

久しぶりの誕生日ケーキが春香お手製とは感動だ。

一口食べてみて更に感動してしまった。

手作りならではの味わい。優しい味が口いっぱいに広がって幸せな気分になる。

漫画の様にしょっぱかったり、焼け焦げている様な事も無く純粋に美味しい。


「海斗くん、美味しいな」

「はい、美味しいです」

「海斗くんは甘いものもいけるのかい?」

「はい、もちろんです」


俺の十八歳の誕生日は、春香のおかげで幸せと妙な緊張感が入り混じった今までに無い誕生日となった。

この日もっと俺に対人スキルがあればと切に願ってしまった。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 確かに対人スキル酷すぎて草 自覚してるならOKやで!
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