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第649話 焦りとルシェ

ルシェのせいでサーバントに恵まれていると思った側から、その考えを撤回したくなる。

何もしないルシェは口だけ出してくる。

精神的に追い詰められている今は正直面倒くさい。

休憩している間も、色々と言ってくるが完全のスルーする。

貴重な時間を使って回復に努めているというのに、完全にルシェが妨げとなっている。


「よし、そろそろ行こうか。今度は走るのは無しで、いつも通りのスピードで行こう」

「そんな事は言われるまでも無いんだよ! バカじゃない?」


くっ……

ここはスルーだ。ルシェに構って無駄な体力を使うべきじゃない。

俺は、いつものように早歩きで一階層を進んで行くが、休憩をとったお陰で大分動けるようになっている。


「ご主人様、スライムです」

「おおっ! 珍しいな。二匹いる」


スライムは、基本単独でしか現れないので、たまたま別々にいたスライムが合流した形なのだろう。

ただ今の俺にはありがたい。

一度に二匹倒せると効率は倍になる。

俺は両手に殺虫剤を構えて二体のスライムめがけて走り出す。


「ベルリア!」

「お任せください」


ベルリアも併走して走り出すが、何故かルシェが背後から俺を追い抜いて行った。

何をしようとしているのかは全くわからないが、俺がやることは決まっているので気にせずにターゲットのグリーンカラーのスライムへと向かう。


「さっさと消えてなくなれ! 気持ち悪いんだよ!」


前方からルシェの声が聞こえて、目を向けると、手に持つ魔杖で思いっきりスライムをぶっ叩いた。

いつもなら『ボヨヨ〜ン』と冗談のような音を立てて消滅するスライムが、『べチャッ』という音とと共に潰れて消滅してしまった。


「あ〜汚い! 服についちゃうだろ〜!」


圧倒的……

ルシェがスライムを相手にするとこうなるのか。

シルがやっても同じような結果になるのは間違いないな。

規格外を見ても参考にはならないので、俺はベルリアの斬ったグリーンスライムに向けて殺虫剤ブレスを放ち消滅へと追いやる。

ルシェのおかげで一瞬で二匹のスライムを倒す事が出来た。

なんの気まぐれかはわからないがここは素直に感謝だな。


「おい! お腹が空いた」

「え?」

「戦ったからお腹が空いたんだよ。魔核をくれよ」

「…………」


こいつは……


「何黙ってるんだよ。早くくれよ」

「わかったよ」


俺が間違っていた。ルシェには感謝など全くする必要が無かった。

気を取り直して次のスライムを求めてダンジョンを探索する。

その後は、ルシェが邪魔してくる事も無く順調にスライムを狩っていく。


「今ので六十一匹目か……」

「はい。六十一匹目です」


既に今日のスライム討伐数は六十一匹となっている。

今日もかなりの数を狩っている事になるが、この数は昨日と一昨日の討伐数に迫る。

つまりは、今日もあと少しで待ち合わせの時間になってしまう事を意味している。

やばい……

でない……

全く出る気配が無い。

普通のスライムしか出てこない。

もしかして、もう出ないのか?

数を倒せば出るってものでも無いのか?

焦りが俺を支配して行く。

今日の午前中のように焦っても何もいい事が無いのはわかっているのに焦ってしまう。

もう時間がない。


「ご主人様、前方奥にスライムです」

「ああ、わかった」


俺はシルの声に反応して前方へと駆け出した。



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― 新着の感想 ―
[気になる点] 休憩している間も、色々と言ってくるが完全のスルーする。
[一言] そろそろルシェに死んでもらいたい ウザすぎて読むのシンドイ
[一言] ここまで引っ張ったからこそ展開される感動の展開があるんだよ きっとそうに違いない
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