表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
596/980

第592話 氷の盾

俺の放った魔法は、氷の薄い盾。

以前色々試したうちのひとつだが、実戦での効果は非常に薄いのでほとんど使う事のなかった形態だ。

薄い氷の盾をベルリアの眼前に出現させてゆっくりと前方にいるであろうドラゴンに向けて移動させるように放つ。

氷の盾は守備範囲が狭く強度もモンスターの攻撃を凌ぎきるには弱すぎる。

だが、氷の透明であるという特性と砂を防ぐ盾ぐらいにはなる大きさを備えているので、ベルリアの視界を確保する助けにはなるはずだ。


「ベルリア!」


口に砂が入ってくるのでベルリアの名前だけを呼び、俺の意図を伝える。

はっきりとはわからないがベルリアも氷の盾のスピードに歩調を合わせたように感じるので俺の意図は伝わったのだろう。

氷の盾が着弾するまでは、全身にブレスレットの呪いによる拘束がかかっているので後はベルリアに託すしかない。

既にベルリアの姿も完全に見えなくなってしまったが、微かに剣戟の音だけが聞こえてくる。

どうやら無事ドラゴンの下までたどり着いたようだが、直後に俺の身体を拘束していた呪いが解けた。


『ダブルアクセルブースト』


俺の拘束が解けるのとほぼ同時にベルリアのスキル発動の声が聞こえてきた。

氷の盾により視界が開けたので二刀に戻したのだろう。

氷の盾の消滅と同時に勝負をかけたのが声からわかるが、見えないのでどうなったかわからない。

その後数秒経過すると、俺を襲っていた眼前の強烈な砂嵐が弱まり、少しだけ視界が開けたので。


「マイロード、ご助力ありがとうございます。刀の錆にしてやりました。マイロードの盾でドラゴンの直前まで視界を確保する事ができたので、難なく倒す事ができました。うっ……ペッ、ペッ、ペッ」


ベルリア、ドラゴンを倒せて嬉しいのはわかるが、そんなに喋ったらそれは、口に砂も入るだろう。

シルはどうなった?

視界不良で全くシルの動きは見る事ができていなかったので、再び即席ゴーグルを左目に当てて周囲を見回してみるが、もう一箇所あったはずの砂塵の濃い場所は既に消失していた。

どうやら既にシルが倒してしまったらしい。

大きな声をあげる事もできないので、ベルリアに魔核の回収をさせてから、シルがいるであろう方向にあたりをつけて向かう。


「ご主人様」

「シル!」


すぐにシルを見つける事が出来た。


「大丈夫?」

「はい」

「神槍?」

「はい」

「敵は?」

「いません」



砂対策で最低限の会話を交わして、他のメンバーの下へと引き返す。


「勝った」

「ああ」

「厳しい」

「うん」

「ドラゴン風強い」

「了」


ほぼ単語だけでメンバー間での意思疎通が取れているのが自分でもすごいと思う。

これまでのメンバー間での信頼関係の構築の成果がここで現れているようで密かに嬉しい。

あいりさんが「了」と答えたのはギャップがあって、ちょっと笑いそうになってしまった。

案外高校生の時は今とキャラクターが違ったのかもしれない。

いずれにしても、この砂嵐エリアはかなり厳しい。

単純に俺達の準備不足だ。

視界を確保する為のゴーグルと砂塵を防ぐマスク的なものがないと、まともに戦闘する事すらままならない。

ただ、ここで引き返してしまうと、今日はここまで戻ってくる事が出来なくなってしまうので、このまま進む事にする。

結局この日の探索では砂嵐のエリアを抜ける事は出来なかったが、戦闘にはルシェも引き連れて、火力で押す事にし、ベルリアには優先的に氷の盾を付与する事にして乗り切った。

今回俺は前衛職というよりも付与魔術師のような立ち位置に徹する事となったが、みんなに大きな怪我なく探索を終了する事ができたので、俺も役目を全うできて満足だ。

【読者の皆様へお願い】


いつもありがとうございます。

皆様のブックマークと☆ポイント評価で筆者のモチベーションが保たれています。

興味を持たれた方は是非ブックマークとスクロールして下部の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にお願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
  ▼▼▼ 文庫版 画像をクリックすると紹介ページにアクセスできます ▼▼▼  
表紙絵
     ▼▼▼クリックするとアニメ公式ページにアクセスできます ▼▼▼  
表紙絵
― 新着の感想 ―
[一言] ハンドサインが必要?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ