第554話 一緒に進む
物理的火力の有用性を見せつけられたが、サーバントのいないパーティの火力不足も同時に感じる事となった。
結局、スキルや魔法だけでは地竜を消滅まで持っていけなかった。
これはかなり厳しい。
俺達とは根本的に戦うスタイルが違う気がする。
スキルや魔法で足りない部分を高火力の物理的な武器で補って戦う。
俺達は、自分達の足りない部分をサーバントで補いながら戦っているので、物理的火力は圧倒的に目の前のパーティが上だ。
「あれ? 君達いつからそこに?」
「あ〜探索してたら皆さんの戦っている声が聞こえて来て、それで来てみたら戦闘が目に入ったんで、見学させてもらってました」
「ああ、そういう事か」
「あれ〜君達のパーティみんな若いわね〜。しかも幼女と幼児が混じってるじゃない。キャ〜カワイイ〜!」
「本当だ! でもここにいるって事はサーバントなのよね。人型のサーバントが三体って凄くない? もしかして超お金持ちパーティ?」
女性陣に変な風に誤解されている気がする。
「いや、そういうんじゃないです。それじゃあ俺達は先に行きますので、これで」
余計なトラブルを生まない為にも長居は無用だ。
「ごめんね。怒った? 別に悪気はないのよ」
「お前ら、その若さでこの階層に来てるって事は、かなりの実力だろ。良かったら俺達と一緒に行かないか? 俺達もここから先は初めてなんだ」
男性メンバーからの突然のお誘いだ。
誘われるのは初めてだが、悪くないかも知れない。
さっきの戦いを見たが、この人達もかなりの実力者だ。一緒に回ればその分先に進めるのは間違いない。
問題は俺達の手の内を見られてしまう事だが、さっきの戦いで彼らの手の内を勝手に見てしまったので、それをいうのはフェアではない気がする。
俺はミクとあいりさんに視線を向ける。
「私は海斗に任せるわ」
「私も同じだ」
「わかりました。それじゃあ今日一日だけご一緒していいですか?」
「おお、そうこなくちゃな」
こうして思いがけず、他のパーティと同行する事になった。
「じゃあよろしくな」
「はい、お願いします」
それから一緒に移動する事になったが、一緒に行動してみて、まず気がついたのは、俺達以上に移動中気を使っているという事だ。
全方向に対応できるようフォーメーションを組み、レーダーを使って進んでいる。
俺達はシルがいるのと、罠があってもサーバントがいるので何とかなるだろうというのもあり、そこまで移動に神経を尖らせる事は稀だが、シルのいない彼らは常に神経を張り詰めているようだ。
移動だけでも俺たち以上に消耗しながら進んでいると思うが、彼らは手慣れたもので平気な顔で進んでいる。
「じゃあ、高木くんとミクちゃんは高校生なのか!」
「はい、そうです」
「マジか! ヤングだな」
…………ヤング
「という事は土日だけ潜ってるのか?」
「基本的にそうですね」
「すごいな。週末の兼業で十七階層か!」
「いや、それほどでも」
「それじゃあ、昨日から泊まり込みか」
ああ、そうか。普通は泊まりじゃないとここまで来れないもんな。
「まあ、そんなところです」
「帰りはどうするんだ? 学校大丈夫なのか?」
「転移石があるので」
「おお、さすがに兼業だとそうなるよな」
「出費は痛いですけど、学校を休むわけには行かないんで」
「愛理ちゃんも学生だもんな。それにしても高木くんやるなぁ」
「何がですか?」
「こんな可愛い子達を連れて両手に花だな。正にハーレムパーティ……」
「冬彦! 失礼なことばっかり言ってると燃やすわよ」
「はい……」
やっぱり、この女の人怖いかも。
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