第553話 戦い方
地竜と他のパーティの戦闘はまだ続いている。
「こいつら硬すぎだろ。まだ一体も倒せね〜」
「涼出し惜しみすんな。さっさとやれ!」
「はいはい。わかりましたよ〜」
涼と呼ばれる男が手にしているのは銃の銃身を馬鹿でっかくしたような武器だ。
あれはグレネードランチャー?
「援護するわ『ファイアスピア』」
後衛の女の人が魔法を発動し、その間に涼と呼ばれた男の人が地竜との距離を詰めて、三メートルほどの距離まで近づいた瞬間グレネードランチャーを放った。
『シュポン』
余り聞いたことのない発射音と共に弾が放たれ地竜に当たった瞬間に弾が爆発した。実際には爆発したのとは少し違うかもしれないが爆発したかと思うほどの威力を発揮して、地竜の外皮を大きく抉っていた。
「すごいな……」
初めて見るグレネードランチャーの威力に驚いたが、槍では無理でもあれなら地竜相手でも十分いける。
「涼、ナイスだ『バーニングエッジ』」
大きく抉れた場所を狙い、メンバーの一人がスキルを発動して攻撃をしかける。
燃え盛る刃が肉を焼き、地竜を消滅へと追いやった。
「よっしゃあ! 一体しとめた。あと二体だぞ」
「俺も負けてられん! 『アイアンナックル』あ〜やっぱり硬い……。しょうがない俺も使うぜ!」
そう言って男は何かを地竜の下に投げ込んで、後方へと下がった。
「わたしにまかせて〜『アースハンマー』」
後方の都さんと呼ばれた女の人がスキルを発動して地竜をその場にとどめ置く。
「ドガアァアア〜ン」
次の瞬間、激しい炸裂音と共に地竜の下が爆ぜた。
「な、なんだ?」
スキルは誰も使って無かった。とすればさっき投げ込んだやつか。手榴弾とか投げ込み式の爆弾とかか?
地竜も腹の部分は弱いのか、フラフラしながらその場に倒れた。
「今だ〜! 『バーニングエッジ』」
「俺もやるぜ『アイアンナックル』
「これで終わりよ『ファイアスピア』」
「俺も一撃。そりゃ〜」
倒れた地竜に向けて四人が一斉に襲いかかり、程なく地竜は消滅した。
「後はこいつだけか。オラ〜くらえ!」
戦斧使いの男が蓮撃を加える。硬い地竜とあの魔戦斧の相性がいいようで、一人でも渡り合う事が出来ている。
「よし、みんなでやるぞ!」
残りのメンバーも集結して四人で最後の地竜を取り囲み、四方から攻撃を仕掛けるが、地竜が反撃しスキルを発動して周囲の地面が隆起し、メンバーを傷つけようとする。
「危ない! 近づくとヤバイね」
「くっ……危うくやられるところだったぜ」
「油断したらやばい」
「近づけないけど」
四人とも察知して効果の範囲の外まで離脱したようだが、距離を取れば直接攻撃をかける事が出来なくなる。
「涼さ〜ん。もう一発行きましょうよ〜」
「え〜また俺? 弾も結構するんだよ」
「涼! 早くしなさいよ。燃やすわよ」
やっぱりあの後衛の女の人は怖い人だ。
「わかったよ。じゃあ行くよ〜」
再び涼という人がグレネードランチャーを構えて放つと、先ほどと同じように弾が発射され着弾と共に地竜の外皮を大きく抉った。
そこからは一瞬だった。
「オラ〜死ね〜!」
「俺もとどめを!」
二人が傷口目掛けて攻撃を突き入れ、あっという間に消滅までもっていった。
「終わった〜」
「強かったな〜。固すぎるよ〜」
「こいつらまだ下っ端だぜ。これで苦労してちゃ先に進めね〜」
「まあ、倒せてよかったよ」
順調に地竜を倒せたようだが、今回の戦闘の一番の印象は、物理的兵器の火力がすごいという事だ。
スキルや魔法でダメだった地竜の外皮を穿った。
俺達のパーティは余り、物理的火力は使わないが、これだけの威力があるなら検討の余地は十分ある気がする。
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