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第350話 お返し

俺は今『ラビリンスラプソディー』を見ている。

ラビリンスとは迷宮つまりはダンジョンをモチーフとした映画だ。

現実のダンジョンと比較して、やたらとピンチになったり、強敵が次から次へと出て来たりと気になる部分ももちろんあったが、それ以上に感情移入してラスボスを倒して財宝を手に入れた時には自分が達成したかのような妙な感情に支配された。


「春香、面白かったな〜。ちょっと興奮しちゃったよ」

「うん面白かったね。海斗の潜ってるダンジョンって実際もあんな感じなの?」

「いや〜、あんなにテンポ良くは行かないし、そんなに御都合主義みたいに上手く進まないよ」

「そうなんだね」

「映画は2時間だけど、何しろ俺1階層で3年も燻ってたんだから」

「海斗、よく頑張ってるね」

「まあ今は結構うまくいってるからね」


久々の映画を見終わってからお昼ご飯を食べる事にした。

ショッピングモールのフードコートで食べる事にしたが、今日は2人で大手チェーンのハンバーガーのセットを食べる事にして席に着いた。

対面で座ったのだが、何故か春香からじっと見つめられている。

見つめられてるが、俺の顔を見ているわけでは無さそうだ。

何だ?俺に何かついてるのか?


「春香、どうかしたのか?」

「う、うん。その指輪似合ってるね」

「指輪?」

「その薬指の指輪だよ」


春香に言われて気がついたが俺の左手の薬指には気絶をレジストするマジックリングがはめたままになっていた。

普段は外している事が多いのだが昨日潜ってから外し忘れてずっとつけていたようだ。

ダンジョンでは邪魔にならないように左手にはめて理力の手袋を上から着用していた。


「ああ、これマジックリングなんだ。気絶をレジストしてくれるんだ」

「もしかして誰かにもらったの?」


一瞬寒気がした様な気がするが気のせいだろう。


「いやいや、こんな高額なの誰もくれないよ。自分で買ったんだよ」

「そうなんだ。綺麗な指輪だね」

「うん、そうだね」


これはあれだろうか?春香も指輪が欲しいという事だろうか?それとも単純にこのレジストリングが好みだっただけなのか。これはダイレクトに聞いたほうがいいのか?誰か教えてくれ〜。


「は、春香は、普段指輪とかしたりするの?」

「う〜ん、あんまりつける機会は無いけど、やっぱり憧れるよね」


憧れると言うのは指輪をつけるのに憧れるという意味か?それとも指輪を贈ってもらう事に憧れると言う意味なのか?

これは思い切ってプレゼントした方がいいのか、それとも友達の分際で指輪を贈るなどやばい奴として認定されてしまうのか?


「………………」


今の俺の頭の中は並列思考及び高速思考をリアルで体現しているが、どんなに考えても答えが出ない。

答えが出ないが、極限まで使用された俺の脳が突然奇跡的な事を思い出してしまった。


「海斗、どうかしたの?」

「あ、まあ、春香は指輪とか興味あるの?」

「それは、私も女の子だからもちろんあるよ」

「そうか…………………………。よかったら俺がプレゼントしようか?」

「えっ?」

「ホワイトデー。トリュフのお返しに春香さえよかったらプレゼントで指輪を贈るけど。も、もちろん変な意味はないよ」

「別に買って欲しくて見てたわけじゃ無いんだけど………」

「あ、それはそうだよね。ごめん。変な意味じゃないから、じゃあ忘れてよ」

「えっ………」


あ……やばい。春香の表情を見る限り俺の対応は不味かったらしい。極限まで冴え渡った俺の脳が瞬時に正解を導き出す。


「いや、やっぱり贈らせてよ。ちょっと早いけど、こう言うのは気持ちだから」

「そう……。じゃあお願いします」


勢いで贈る事にはなってしまったが、以前ブレスレットでさえ選ぶのに苦労したのに指輪なんかどうやって選べばいいんだ。

俺のマジックリングが50万円だから同じぐらいのものを選べばいいのか?

デザインも同じ様なのがいいのか?

いや、やっぱり春香に選んでもらった方がいいのだろうか。

俺の脳は既にオーバーヒートしていたようで、この日これ以上の性能を発揮する事はなかった。

【読者の皆様へお願い】


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― 新着の感想 ―
[良い点] 地雷原のタップダンサーかな(*´ω`*)
[一言] 海斗の春香への対応シンプルにクソ野郎過ぎる そんなぽんこつ海斗を威圧で誘導する春香さん流石っス!
[一言] とんでもない恋愛唐変木
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