第347話 因果律
俺は今1階層でスライムを狩っている。
ゴブリンスレイヤー(微)を手に入れた今2階層で魔核収集をしてもいいのだが、やはり3年間慣れしたしんだ1階層は捨てがたい。
「シルちょっといいかな」
「はい、なんでしょうか」
「昨日、真司と隼人共話してたんだけど、探索者のネットワークみたいなのが有るそうなんだけど、悪魔に遭遇した探索者なんか、今まで俺以外で聞いた事が無いって言ってるんだ。俺ってもう既に4体と遭遇してるだろ。ルシェも入れると5体だから、何か俺だけ多い気がして」
「そうですね。ご主人様は因果律というのをご存知でしょうか?」
「因果律?」
「はい。全ての事象には元となる原因理由があるという事です」
昨日の学校での会話をほんの軽い気持ちでシルに相談を持ちかけたが、シルの口から予想外に難しい言葉が出てきた。
「まあそう言われればそうかも」
「つまりはご主人様が他の探索者に比べて悪魔に出会う回数が多いのも偶然ではあり得ないという事です」
「それって、何か原因があるって事か」
「はい。悪魔との遭遇だけではありません。私やルシェがご主人様と出逢ったのも偶然ではあり得ません」
「ちょっと待ってくれ。俺が悪魔に出会うのもシル達に出逢ったのも原因があるって事か」
「はい。ご主人様は、パーティの中でも他の方達よりも明らかに攻撃を受けやすいですよね。そしてパーティを組む前から私達やイレギュラー達と遭遇していますよね。そしてそれはパーティを組んだ今も続いています」
「…………」
このシルの口ぶりはまるで原因が俺であるかのような言い方だ。
攻撃を受けやすいのも悪魔に頻繁に出会うのも俺のせい?
そんなバカな………
「シル、いくらなんでも俺が原因で悪魔と会うなんて事は無いよな」
「いえ、間違いなくご主人様に起因していると思います。ベルリアも含めると3人ものサーバントそして複数の悪魔やイレギュラーとの遭遇、ひいては手に入れられたスキルやアイテムの数々偶然であろうはずがありません」
「そんな事ってあるのか?俺が根っからの不幸体質って事か?」
「そうではありません。ご主人様がこれからなすべきことの為に今があるのです。その為に私やルシェが付いているのですよ」
「なすべき事?一体俺は何をなせばいいんだ?」
「それはわかりません。ただしご主人様と私達は同じ因果律の中にいるという事です。何があっても一緒ですよ。ねえルシェ」
シルは何か俺がなすべき事があると言うが、それは何か分からないという。
まるで謎かけのような内容だ。
「ふん、前にも言っただろ。そんなの分かり切ってるだろ」
悪魔との原因が俺に有ると言われて結構ショックだが今2人がさらっと感動的な事を言ってくれた気がする。
「2人はずっと一緒にいてくれるのか?」
「はい、ご主人様のサーバントですから」
「一応家族だからな」
幼女2人に涙腺を破壊されそうになるが『アサシン』の効果を発動して心を鎮めどうにか食い止める。
「それじゃあ末吉のせいじゃ無いのか。本当に俺のせいだとしたら他のメンバーにも相談しないと。もしかしたらまた俺達だけで潜らないといけないかもな」
「マイロード私もいますのでお忘れなく」
「ああ、分かってるよ。4人いればなんとかなるか。それにしても俺って将来一体何をするんだろうな。ダンジョンを踏破したりするのかな」
「その可能性はありますね」
「もしかしたら英雄になれるかもしれませんね」
「英雄って言うよりモブ神様の使徒になれるかもな」
「モブ神様?一体どこでそんな変な言葉覚えたんだよ」
「この前ヒカリンにモブについて詳しく習ったんだ。それでモブの神様がモブ神様だ!」
ヒカリン、ルシェ達と仲が良くなるのは良いが一体何を教えているんだ………
ダンジョンでモブについての講習を開くってどんな状況だ。
しかもモブ神様?そんなの聞いた事がないぞ。ゲームか何かのキャラか?
将来、苦労してモブ神様使徒になる?
絶対にそんな未来は回避してみせる。
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