第325話 もう一つの脅威
俺は今13階層を進んでいる。
今日もそれなりに戦闘をこなしたので今日はこれで切り上げる事にしたが、地上に戻ってからすぐにドラッグストアに直行した。
13階層に入ってから今までと違ってモンスター以外の生物を見かけるようになったが、それと同時に他の階層では起こらなかった現象に苛まれるようになってしまった。
主には蚊だと思うが虫に刺されて痒い。
顔、首、手の露出のある部分が何箇所も刺されて痒い。
前回はそこまで気にならなかったが、今回は蚊の多いエリアだったのか特に痒い。
「すいません。虫刺されに1番効く薬を下さい。あと虫除けスプレーとリングを下さい」
ドラッグストアの店員さんにお願いして薬を買ったので、外に出てから速攻で塗ってみた。
一瞬痒みが和らいだ気がしたが、またすぐに痒くなってしまった。
あまり虫刺されの薬を使った事がないが、残念ながら劇的に一瞬で痒みが治るようなものではないらしい。
ボリボリ掻きながら帰路についたが、明日はこの虫除けリングと虫除けスプレーが活躍してくれる事を祈るしかない。
次の日の朝になっても少し赤みと痒みが残っているので通常の蚊よりも強力なのかもしれないと思いながらも薬を塗り込んでおいた。
朝食を食べてからダンジョンに向かってメンバーと合流した。
「海斗、いつもと違う方にもリングつけてるじゃ無い」
「ああこれは虫除けリングだよ」
「あ〜、13階層虫が酷いですよね」
「みんなはどうしてるの?」
「私はスプレーしてるけど刺されてるわ」
「私はリングと両方ですけどやっぱり痒いのです」
「私もスプレーだが我慢しかないな」
どうやらみんな同じ悩みを抱えていたようだが、スプレーとリングでも完全には防ぐ事ができないようだ。
これは、早く13階層を抜けないといけない理由が増えたな。
早速10階層へゲートで向かってから13階層へと向かった。
急いだお陰で2時間ほどで13階層にたどり着いたので探索を進める。
「そういえばシル、ルシェ、ベルリアは虫に刺されたりしないのか?」
「はい私は虫に刺されたりはしないので大丈夫です」
「当たり前だろ、羽虫に刺されるとかありえないだろ」
「我慢です」
あれ?ベルリアだけ返事がおかしい。シルとルシェはどうやら虫に刺される事はないようだが、ベルリアは我慢。ベルリアだけは刺されてるって事か?
他の2人が特別なだけで悪魔でも虫には刺されるらしい。
「ベルリア、よかったら使ってくれ。虫除けスプレーだから少しは効果があると思う」
「マイロードありがとうございます。何とお優しい、使わせていただきます」
やっぱりベルリアは虫に刺されているらしい。
「そういえば『ダークキュア』で痒いのって治らないのか?」
「状態異常にもそれなりには効果があるのですが、昨日試してみたところ残念ながら虫刺されには効果が薄いようです」
「そうか、それは残念だったな。ベルリア昨日も痒かったんだな。痒かったら痒いって言ってくれよ。言ってくれないと分からないからな」
「はい、ありがとうございます。感激です」
俺が気がつかないうちに、サーバントにもいろいろと不具合は発生しているようなので主人として今後はもう少し気を使ってやりたい。
「ご主人様、奥にモンスターがいます。3体です。準備をお願いします」
「それじゃあ、俺とあいりさんとベルリアが前衛で残りのメンバーで後方から攻撃を頼んだ」
しばらく進むと通常のトレントが2体と草トレントらしきのが端の方に1体いるが、草がいっぱい生えているせいか蚊も目視出来てしまう。
モンスターはそれほど問題無いと思うので、蚊に注意しながら戦闘に臨む事にする。
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