第278話 真司の悩み
俺は今レンタルボックスに来ている。
剣を2本購入したが、今日と明日はダンジョンに潜らないことにしたので剣とマントをレンタルボックスに保管しに来た。
剣を安く買えたお礼も含めて、明日は春香を誘いカフェに行ってオレンジピールのブラマンジェを食べに行くことにした。
たまにダンジョンに潜らない日を作ると、心がうずうずするがこれは禁断症状の現れなんだろうか。
出来る事なら徐々に治していきたいとは思うが、やり方は全くわからない。
翌朝、学校に着いて教室に入ると真司と隼人が神妙な顔をしている。
「2人共どうしたんだ?なんで朝からそんな真剣な顔してるんだよ。何かあったのか?」
「海斗、それがな〜。聞いてくれよ。真司が告白しようとしてるんだよ」
「えっ?誰に?」
「決まってるだろ、前澤さんだよ」
そういえば、ダンジョンでそんなこと言ってたな。死ぬ前に前澤さんに告白して付き合いたいとか。
「真司、あれは死ぬのを前提の話じゃなかったのか?」
「いや、俺は昨日1日考えてみたけど、やっぱり前澤さんと付き合いたいんだ」
「そうなのか。まあ、お似合いだと思うからいいんじゃないか。頑張れよ」
「海斗、話はそんな単純なものじゃ無いからこうして2人で悩んでるんだよ」
「どう言う意味だ?」
「それがな、真司のやつ前澤さんと付き合いたいし覚悟は決めたくせに告白できないんだって」
「はい?言ってる意味がよくわからないんだけど」
「俺だってよくわからないけど、覚悟は決めたけど、実際に学校に来て前澤さんを見たら動けなくなったと言うか、告白出来なくなったんだそうだ」
「あ〜。そう言う事もあるかもしれないよな。それでどうするんだ?告白するのやめるのか?」
「それなんだよな。今も話してたんだけど、告白はしたいんだそうだ。でも出来そうに無いからどうしたもんかなと思って。海斗も先輩として何かアドバイスしてやってくれよ」
「先輩ってなんの先輩だよ」
「いや、海斗は告白の先輩じゃ無いか。葛城さんに告白した事があるだろ」
「告白の先輩って、俺失敗したんだけど」
「いやいや、あれはあれで面白かったけど、大成功じゃ無いか?」
「大成功って、おつかいしてくださいだぞ!自分ながらどうしようもないよ」
「そ〜は言うけどな海斗、おつかいから始まって映画に行ったり、初詣に行ったり、カフェに行ったり大成功じゃ無いか」
「まあ言われてみればそうかもしれないけど」
「だから先輩からアドバイスを頼む。俺では力になれそうに無いんだ」
「そうだな〜。それじゃあ、告白の時はテンパるな。緊張すると頭が真っ白になるから、リラックスして臨むのがいいと思うぞ」
「海斗、それがアドバイスか?緊張するな?テンパるな?無理に決まってるだろ。今既にテンパってどうしようもなくなってるんだよ」
「そうか、ごめんな。そうだよなリラックスってそんなのできるわけがないよな。悪かったよ」
「海斗に助けてもらおうと思ってたんだけど無理だったか。真司今日はやめとくか?」
「告白はしたいんだ。もう俺の気持ちに収まりがつかない。ダンジョンで1日過ごして人生観というか、変わっちゃったみたいでどうしても前澤さんに想いを伝えたい」
「そこまで想ってるんだったら思い切って行ってみろよ。当たって砕けろだ!」
「おい、砕けたくは無いんだよ!そんな事を言われると余計動けなくなっちゃうだろ」
真司は大きな身体の割に性格は結構繊細に出来ている様で、おとなしい一面があるのはわかっていたが、ここに来てダンジョンを経て急転直下の心の変化に、気持ちと身体のバランスがうまく取れていないのかもしれない。
どうにかしてフォローはしてやりたいがどうしたものだろうか。
モブの俺に真司のアシストなんかできるだろうか。
う〜ん。
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冬の童話2020に短編童話 サンタさんと小ネズミの妖精 を掲載させて頂きました。