第259話 滑落
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俺は今9階層エリアに来ている。
目の前には大型のスライムが出現しているが今までのスライムとは少し違い、床にアメーバ状にへばりついているのだ。正直これでは剣や槌では対処のしようがない。
今までこのタイプのスライムは見た事がないので、このダンジョンの固有種かもしれない。
通常の武器ではかなり厳しい気がするので、このダンジョンの探索者は火炎放射器か何かを常備しているのかもしれない。
「とりあえず俺が殺虫剤ブレスで倒すけど、さすがに4体はきついな。シル、ルシェ頼めるか」
「はい。かしこまりました。お任せ下さい」
「しょうがないな、一気に焼き払ってやるよ」
とりあえず一体に近づいて殺虫剤ブレスを吹きかける。アメーバ状だろうがなんだろうが、スライムには殺虫剤が特効で、あっという間に1体を片付けたが、殺虫剤2本が前回の戦闘と併せて空になってしまった。
残る殺虫剤は2本だけ。出来れば節約したいところだ。
「ご主人様の手を煩わせるまでもない。消えて無くなれ『神の雷撃』」
「ズガガガガーン」
「グチュグチュ気持ち悪いんだよ。蒸発して無くなれ『破滅の獄炎』」
「グヴオージュオー」
あっさりと2体が消失したので後1体だけだ。
「我が敵を穿て神槍ラジュネイト」 「さっさと消えろ『破滅の獄炎』」
「あっ！」
2人共このダンジョンに来てからサポート役となり、活躍の場が少ないからか、今回張り切った様で2人同時に床に張り付いた1体のスライムに向けてスキルを発動した。
眼前のスライムは一瞬で消失してしまった。完全なオーバーキルだ。
『ピシッ』
えっ？なんだ今の不吉な音は？足下から聞こえて来たぞ？
「おぃっ、さっきの聞こえたか？」
「ああ聞こえた」
「聞こえたけどこれって」
『ピシッ、ビシッ』
やばい。なんかやばいがどうしていいかわからない。
あたふたしている間に予想通りと言うか最悪の出来事が起きてしまった。
足下の床が崩れてしまい、俺達パーティ全員が下層に向かって滑落してしまった。
「ううわーぁあ〜！」
これは、シルとルシェが床に向かってコンボ攻撃を仕掛けてしまったからだろう。
通常の攻撃であればダンジョンの床が抜ける事は考えられないが、シルの神槍は床と壁をぶち抜いた実績がある。そこに運悪く絶妙のタイミングでルシェの獄炎が加わってしまい、足元が崩れて底が抜けてしまった。
瓦礫と共に落下してしまったが、ステータスに助けられ無事に着地する事が出来た。
「みんな。大丈夫か〜」
「おおっ。俺は大丈夫だ」
「びっくりしたな。俺も大丈夫だぞ」
「ご主人様申し訳ありません。やり過ぎてしまいました」
「わたしのせいじゃないぞ。床が脆くなってたんだよ」
「マイロード私も大丈夫です」
とりあえず全員無事のようなのでよかった。
それにしても前回隠しダンジョンに潜った時も同じ様な感じで下に降りたが、今回も同じ様に登るしかないな。
またマントが犠牲になるのかと思い気が重くなってしまった。
「シル、前と同じように翔んでくれるか？」
「はいもちろん大丈夫ですが、また紐が必要となります」
「うん……それはわかってるよ」
「シルフィーさんて、もしかして翔べるのか？」
「ああ、一応翔べるよ。翼があるからな」
「おお〜。すごいな。空を翔ぶシルフィーさん。神々しすぎるだろ」
「早くみたいな。天使だ。いや神か」
「俺も翔んでるのは一度しか見た事はないけど、一見の価値有りだぞ」
隼人達とくだらないやり取りをしながら上を向いて俺は愕然とした。
「はっ？これって一体どう言う事だよ」
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