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第175話 イベントの季節

俺は今人生最大とも言えるイベントに臨もうとしている。

ダンジョンでは夏を超えた灼熱とも言える環境で戦っていたが、外の季節は時間の経過と共に移り変わっており、もう冬を迎えていた。

冬といえば、あれしかない。今までの人生で全くの無関係だったイベント。クリスマス。

今までは誘うことすら思いつかなかったが、今年は違う。春香を誘ってみるつもりだ。

正直2年生になってからの春香との距離は確実に縮まっていると思う。

今でこそ春香と呼んでいるが、春先には葛城さんだった。

告白こそ俺が痛恨の失敗をしてしまったが、何度か映画にも一緒に行っている。

告白に匹敵する大仕事ではあるが、最近失敗から立ち直りメンタルゲージが完全復活したのでいける。

春香をクリスマス誘ってみようと思う。

しかし、クリスマスに誘うのは分かっているが、付き合ってない男女はクリスマスに何をして過ごせばいいのだろうか。

よく、付き合っている男女のクリスマスデートスポットを紹介するような雑誌は見かける。

しかし、付き合っていない男女のクリスマスデートの本は見かけたことがない。

どうしたものだろうか。思い切って告白して付き合えれば何の問題もないのかもしれないが、クリスマスに振られる自分と、その場の気まずい空気を想像すると、クリスマスに誘うのが精一杯で、その先の事は難しい。

とにかく誘ってみようと思う。

どうやって誘えばいいだろう。前のように屋上に呼び出すか?しかしあれは失敗してしまった。やっぱり軽いノリで買い物に誘った時のようにいってみようか。

放課後になるのを見計らって、春香を追いかける。


「春香、ちょっといいかな。」


「うん。どうしたの?何かあった?」


軽いノリで臨むつもりだったが、面と向かうと瞬間的に緊張感がMAXとなり振り切れてしまった。


「あ、ああ、あの。あれ、あれだよ。今日は寒いよね。」


「うん。だいぶん寒くなってきちゃったね。お互いに風邪引かないようにしないといけないね。」


「ああ、ほんと、そうだね。風邪引いたら大変だからね。気をつけよう。」


「うん。そうだね。」


「あの、冬って忙しかったりするかな。」


「毎年年末とかちょっとバタバタしちゃうよね。」


「ああ、年末は忙しいよね。あの、そのちょっと前はどうしてるかな。」


「ちょっと前って?」


「あ、あのですね。ク、クリスマスはどうしてるのかなと思って。」


言った、言ってやった。


「クリスマスは、毎年友達とホームパーティやることが多いけど。」


「ああ、そうなんだ・・・」


友達とホームパーティ。女の子らしいけど、撃沈してしまった。終わった・・・


「もし良かったら、海斗も来る?」


「い、いや、友達の中に俺が入ると変な感じになりそうだから遠慮しときます。」


誘ってもらったのは嬉しいが、女友達のパーティに俺が上り込むわけにもいかない。行ってもどうしようもない。


「じゃあ。またね。」


俺は気取られないように平静を装ってその場を立ち去ろうとするが


「海斗、夕方からなら空いてるんだけど。」


え?なんだって。夕方からなら空いてる!?


「ホームパーティは終わってるのかな?」


「大体お昼から始まって夕方には終わるから。」


「そうか。そうなんだ。そうか。そ、それじゃあ夕方から、い、一緒に、どこか行きませんか?」


「うん。いいよ。」


春香が寒さを吹き飛ばす笑顔で答えてくれた。

俺は、今この時を持って死んでしまっても悔いはない。むしろこのタイミングで死んでしまったら、俺の人生は最高だったと断言できる。


「それじゃあ、行く場所考えておくから、予定空けといてよ。晩御飯も一緒に食べてもいいですか?」


「もちろんいいよ。でもクリスマスは一杯になるお店が多いから予約しておいたほうがいいかもね。」


「ああ、もちろんだよ。」


考えても見なかった。クリスマスは予約しないと一杯なのか。言われないと当日飛び込みで行く気満々だった。世の中、そんなにクリスマスに外食する人が多いのか。今まで別世界の出来事だったので、要領を得ないが、春香に助言してもらって助かった。

とにかくどこに行くか雑誌を買って研究するしかない。

その前に今年最後のテストを頑張る必要があるが、今回はやる気がとてつもなくアップしたのでいけそうだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 11層に降りたと思ったらダンジョン出てたでござる 幻覚かなにか???
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