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朝の出迎え

「ぼん、お早う御座います。朝になりやした」


障子の向こうから声が聞こえ、目を覚ました。

時計を見ると7時だ。


「んぁ?」

「朝です。起きて下せぇ」

「...ん」


髪をガシガシと掻き、俺は体を起こす。

だが瞼と言うシャッターは閉じたまま。

また、俺の体はゆっくりと布団に倒れて...。


「Zzz」

「朝っすよ!?起きて下せぇ!?」


バンっと勢い良く障子が開き、図太い声が部屋に響いた。

余りの煩さに、俺は呻き声を上げた。


「うるせぇ...。起きたよ」

「お早う御座います、ぼん」

「...おう、お早う」


いつも通り、うちの組員が礼儀正しく起こしてくれた。



「いってくる」

『いってらっしゃいやし!!』


玄関から出ると、図太い声が一斉に俺を送り出す。

これ、毎朝だから困っている。

親父は既に出かけた様で、組員だけが俺をいつも通り見送った。


兄貴達は居ないのか...。

そんな事を考えながら、玄関から門迄の道を歩いていく。

すると黒塗りフルスモのセダンが入ってきた。

降りて来たのは、予想通りの奴ら。


「いやぁ、しかし兄貴があのアマ売り飛ばす話するからアイツビビってたなぁ!!」

「あ?最後は売り飛ばすに決まってんだろ、当然」

「だよなぁ、流石兄貴!!」


どうやらまた女関係でやらかしてきたらしい。

ゲラゲラと下世話な話を大声でしながら歩いてきて、此方に気付いた。

途端に顔をひきつらせて、声をかけてきた。


「く、蔵人。学校か?」

「気を付けて、な」

「...あぁ。いってきます」


一番上は、天女剛人あまめたけひと

短髮、筋肉バカ。

二番目が、天女真人あまめまさひと

金髪ロン毛のチャラもやし。

あ、もやしに失礼か。

兄弟揃って身長が高い上に、女ウケが良い顔立ち。

顔は確かにイケメンの部類だろうが、やる事がひでぇ。

地元じゃ愚図兄弟なんて言われてる。

まぁ、当たり前だが。


そんな兄達に係わるとロクな事がない。

さっさと俺は学校に向けて歩を進めた。

学校までは徒歩で登校してる。

自宅からだと15分位だ。

以前は車で送るなどと言って聞かなかったウチの奴ら。

たがそれも今は諦めている。

何故なら。


「おう、マメゾー!!おはようさん」


門のとこで待っていたのか、俺のダチが声をかけてきた。


「ああ。おはよう、タケ」


獅童剛しどうたける

コイツと登校するのが、日常だからだ。



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