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マーメイド・ディーヴァ  作者: 白野ミル
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プロローグ

Side ミュファ



私には前世の記憶がある




前の私は小さな頃から歌うことがとにかく大好きな女の子だった




そんな私はある日運命的な出会いをしたの



それはその時話題になっていたミュージカルに連れていってもらったときだった



ミュージカルなんて観たことがなくて、ワクワクした私を待っていたのは歌と音楽、素晴らしいロマンスの洪水



私は魔法にかけられたみたいにキラキラ輝く夢の空間に魅せられていた




それからはあの舞台に立つんだと心に決めた私はミュージカル女優になるために歌に、ダンスにとにかく夢に向かってがむしゃらに突っ走っていたの



でも、私は夢を叶える事なく………短い生涯を終えた




まだやりたいことも沢山あった、夢だってまだ叶えてないのに……



そう思い悩んだ事もあった




でも、私は今、なりたかったミュージカル女優じゃないけれど、違う形で夢を叶えたんだ




「ミュファ!そろそろ楽団長サマが集合だって騒いでるよ!」



「カロンが?大変!早く行かなきゃまた長いお説教を受ける事になるわね……教えてくれてありがとう」



私を呼びに来てくれた同じ楽団の彼女にお礼を言った後私はその子と連れ立って尾ヒレをくねらせて急いで楽団長カロンが待ってるだろう音楽ホールまで向かう



尾ヒレってどういうこと?って思うわよね……実は私が生まれ変わったのは不思議な事に人間じゃないの



それどころかこの世界自体私が人間だった時の世界とはまるで違う魔法やお伽話の中でしか存在しなかった人魚やドラゴン、妖精……そんなファンタジーの世界の住人達が当たり前に存在する世界



それが今私が生きている世界




そして私は上半身は人間、下半身は魚の人魚に生まれた



そんな私は海の王国お抱えの音楽団の歌い手……それも楽団にとって大切なポジションであるソロを任されている




人魚は歌が得意だって知られているし、人魚や海の中の生き物は皆歌や音楽が大好き




人魚はまるで歌う為に生まれてきたみたいに皆生まれつき素敵な声を持って生まれてくる




歌が不得意な人魚なんて見かけたことも聞いたことも無いから、多分皆歌が得意っていう認識で合ってるんじゃ無いかしら?




そんな人魚達の中から特に秀でた才能のある者だけがこの国の宰相でもあり、王国音楽団、団長カロン率いる音楽団<セイレーンの調しらべ>に入団できる




人魚達が憧れる場所に……しかもソロを任されている事に私はとても……言葉では言い尽くせない程の充実感と、幸福を味わっていて




大好きな歌を好きなだけ歌って生きていられる今の生活がとにかく愛しくて堪らない





「ミュファ、早くスタンバイしてくれ……他の皆も持ち場についてくれ!




幕が上がるぞ」




指揮棒を持ったカロンが皆にそう声を掛けると本番直前の心地好い緊張感が辺りに満ちる





さあ、本番が始まる








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