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2話:魔法と水と光と陣

 1週間以上経ってしまった......なのにこの文字量! ありえなぁい

   1:魔法使いと水妖魔



「水を操り、水を護り、水を司りし霊よ。今この処へ顕現せよ!」

 言霊の召喚詠唱を詠むと《言霊ノ扉》が淡い蒼に耀き、周りの空間が蒼に包まれる。

水妖魔(ウェンディーナ)!」

 光がよりいっそう強くなり、一瞬で弾け飛ぶ。

 すると、僕の目の前には、綺麗な水色の髪をした少女がプカプカと浮かんでいた。

「やぁやぁ、お呼びかな?」

 のんびりとした口調で僕に言う。まぁ、いつもの事なんだけど。

「呼び出したって事は緊急事態なんだよ? わかってる?」

「またそんな事言って。こないだだって“契約(リンク)”の確認で呼んだじゃないか」

「そうだけどさ……マキアの言葉には棘があると思うよ」

「言霊だからね」

 僕の揚げ足を取るのはマキアの特技だ。幼馴染みの晴香だけじゃなく、契約(リンク)した水妖魔にまでおちょくられるなんて。晴香は心を読めるからまだしも、マキアに至っては謎だ。


「あ、マキアちゃん! 久し振り!」

 僕の後ろから晴香の声がする。

「お、晴香じゃないか。元気にしてたかい?」

 マキアも晴香に応じる。この2人は波長が合うみたいで、昔から双子みたいに仲良くしていて凄いと思う。何が凄いって、会えるのは僕が呼んだ時だけだから頻繁に会っている訳じゃないのにこれ程仲良くなっているのが凄いと思う。

「もちろん元気だったよ? マキアちゃんは寂しくなかった?」

「ボクが寂しいだなんて感じると思っているのかい? またいつか晴香に会えるという事が分かっていれば、そんなものは取るに足らないさ」

(恋愛モノの王子様みたいな台詞だなぁ……)

 と思ったけど、マキアは至って無意識なんだろう。昔からこんな口調なんだし、こういう台詞は何度も聞いてる。そして、何度も同じ事を感じている。

「この用事が終わったら次に会えるのはいつかなぁ」

 と晴香が言う。そう、言霊ノ扉を開くには大体半日使う分の魔力を消費するから、あまり頻繁に開けない。2人が会えるのは僕の魔力の調子が本当に良い時だけなんだ。え? 実技テスト? ソンナノシラナイ。

「その点ならもう大丈夫さ」

 マキアが言う。大丈夫? 一体どう言う意味だろう?

「4日前くらいかな、ボクらの世界からも扉を開くことができるようになったんだ。海翔と同じく相当な魔力を喰うが、それ相応の価値があるだろう?」

 わぁ、それは凄い。でも、それじゃあ僕要らなくなるってこと?

「まぁ、海翔が開けば海翔が、ボクが開けばボクが魔力を消費する。つまり、戦闘する時は海翔が開いて、会いたい時はボクが開く。これならボクが自分勝手をしても迷惑を掛ける事は無いし、海翔も存在意義を(・・・・・)失わずに済む(・・・・・・)だろう?」

 まるで僕の心を読んだような台詞に、僕は驚きつつも少しほっとした。イラナイコ宣言されたら僕もう立ち直れない……って事さえ、この2人は分かってたりするのかな……?

「どんな研究してたの?」

 晴香がマキアに聞く。けど。

「2人共、その話は後で! 早く光をなんとかしないと!」

 2人の会話に割り込んで中断してもらう。これ以上は光の本の人が危ない。

「あ、そうだった」

「軽すぎるでしょ……」

 晴香はもっと危機感を持った方が良いと思うなぁ……



   2:魔法使いと水妖魔と光の柱と魔法陣



「無効魔法の準備はもうOKだよ」

 そんなこんなで準備が終わる。

「それじゃあ行こう! マキア、ちゃんと手伝ってよ!」

 マキアがサボるとは思ってないけど、僕はマキアに言った。

「当たり前じゃないか。海翔1人でやらせる方が危なっかしいし、不安で仕方無いからね」

「手伝ってくれる好意として受け取っておくけど問題ないかな?」

 6割くらい馬鹿にされていたけど、僕はオブラートで何重にも重ねた解釈をして敢えてマキアに言ってみる。

「構わないさ」

 マキアらしい答えが返ってくる。いつもマキアは冷静だなぁ……

「それで、属性を変化させるらしいけれど、あの光は──」


 キゥゥゥゥゥン……


 長い高音がマキアの言葉を遮る──

 ──だけなら良かった。

「これは……!?」

 これには冷静なマキアも驚いているみたいだ。

 ──何故マキアでさえこれほど驚くのか? 

 それは、音と共に出現したモノを見たから。

 驚かない方がおかしい……いや、驚かない方が異常なんだ。

 何故かって、それは────

 「“天界式(ヘヴンズサ)全属性(ークルフル)魔法陣(エレメンタ)”!? 何故……こんな所に天界式魔法陣なんてあるはずがッ…….」

 声の大きさこそ普段通りだけど、焦ってるのが僕にもよく分かる。

 光の柱が僕達へ向けて、天界式の全属性なんて代物の巨大な魔法陣を出現させた。

 けれど、同時に疑問も生じたから晴香に聞く。

「ねぇ晴香! あれは聖属性じゃなかったの!?」

 ──と。

 そう、晴香はさっき“純粋な聖属性”と言っていた。つまり、全属性魔法陣なんておかしいんだ。

 そんな僕の質問に、してやられたとでも言いそうな晴香が答える。

「海翔、あの時は私も思い込んでたよ。けど、この魔法陣は……」

 そこまで話した晴香は、息を吸い直した後にまた言葉を繋げる。

 「可視光線が全て混ざった太陽の光が白く見えるように、あの柱も全ての属性が混ざって白く見えたものだった」

 ──と。

「全部の属性を水属性に書き換えるには、1つの属性を書き換えるよりも遥かに絶大な量の魔力が必要になる……いくら海翔でもそんな量の魔力は……」

 晴香が諦めたように言う。けど、そんなに簡単に諦めてしまってはいけない。もっと考えるんだ……

 晴香が言った通りあの光が全属性なら、本にいる人だって全属性の筈。さらには全ての属性を同時に放出しているにも関わらず、これだけの時間出し続けられている……

 こんな魔力を持ってる人の同等以上とか、絶望的過ぎて笑っちゃうね……

 正直に言っちゃうと。

「詰んだ……なにこれ絶対無理じゃん……」

 さっき諦めるなとか言ってたやつ誰だ出てこい……

 ──なんて思った矢先。

「海翔、ボクを呼んだ事を忘れないで欲しいね」

 冷静な声が聞こえた。

「マキア!」

 そうだ、マキアがいるんだ。水妖魔(ウェンディーネ)の魔力なら届くかもしれない……!

 マキアの存在が思考に入ってきた瞬間、最後のパズルピースがはまったように作戦が浮かび上がる。


(──これならいける!)

「晴香! 無効魔法の準備をし直して!」

「え? でも……」

 戸惑う晴香。けど無理もない。さっきまで諦めていたんだから……それに、詰んだとか言ってた人が急にやる気を出したんだから。

「……なるほどね、それなら可能性はある!」

 流石晴香、直ぐに理解してくれた。また心を読んだんだろう。

「マキアは僕の封印魔法に乗せる分と、身体に異常が出ない分を残して僕に魔力を分けて!」

 僕の魔力とマキアの魔力を合わせれば届く筈。もっとも、僕は残りの全魔力を使うから、唱えた後には倒れるだろうけどね……

「……海翔、無理はしないで欲しい。それだけ言っておくよ……」

 マキアは僕がしようとしてる事が分かってるみたいだ。まぁ、その言葉に意味があるか無いかも分かってるんだろうけど。

 「それじゃあ始めるよ!」

 作戦開始!

◼◼です。ご閲覧ありがとうごさいます。

遅れてしまって本当に申し訳無いです。なにせ、「ヘヴンズサークルフルエレメンタ」なんて長いルビの振り方に手間取ってしまって......まぁ5、5、5で直ぐ分けれたんですけど、最初は「天界式全属性二重魔法陣第三番」だったのでかなり時間かけました。結局辿り着いた答えが「いきなり強すぎるだろ」って事になったので弱くしました。妥協じゃないです。次回は早めに投稿したいですね。(フラグ)

2話はいかがだったでしょうか? 楽しんでもらえたら幸いです。

これからも「僕は運命に逆らう為に魔法を駆使する」をよろしくお願い致します。

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