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プロローグ2:恋が壊れてプロローグ

 プロローグ2ってなんだよ......って、自分で思ってます。

   1:白の扉は少年を引き込む



 見知らぬ場所で目が覚めた。

 「場所」と言うのもおかしいな。強いて言うなら「空間」と言ったところだ。

 壁が無い、天井も無い、ついでに床も無い。無限に続く“白”の中。

 こんな場所、俺は知らない。少なくとも現実ではないだろう。

 ──さっきまで俺は何をしていた?

 少し思い出そうとしただけで鮮明に、明確にあの瞬間が頭に浮かぶ。

 ──あぁそうだ……楓が……

 記憶を辿るのを辞めた俺は、現状の把握を始める。

 ──それじゃあ、ここは何処だ?

 ここには俺1人しかいないのに。答えを返してくる人なんかいないのに、言葉になって漏れる。

「:,:'.',:`::.'',`::';.;,,:」

 喉から出たのは“音”。言葉じゃない。声ですらない。ただの“音”。けれど、解る。まるで人が発する言葉のように、解る。

 自分の“音”が漏れてそんなことを考えた時。


『ここは“孔”じゃ。名前など無い、な』

(!?)

 言葉が聞こえた。人が発する言葉だ。口調からして老人か? 声は女性っぽいな。

『あぁそうじゃの。老人じゃ』

 ……ちょっと待て。

 今俺は、“音”に出さなかった筈だ。なのに俺の立てた予想に対して答えた。つまりこれは──

『お主の心を読んどるが』

 俺の思考と合わせてきた。やはりか。加えて、さっきの「言葉になった言葉」。念話(テレパシー)なんて呼ばれる超能力か? 心に直接言葉を伝えていたのなら、“音”ではなく言葉として捉えることができた事にも説明がつく。

(あんた、異世界人か何かか?)

 心が読めるんなら、心の中で聞いてしまえばいい。

『飲み込みが早いのぅ。とても“技術世界(スキルグランダ)”の人間とは思えん』

(技術世界?)

『お主の元いた世界の事じゃ』

 それは文脈から分かる。俺の聞きたい事は──

(技術世界、なんて呼ぶってことは別の世界もあるってことか?)

『おぉ鋭い鋭い。そうじゃ。別の世界が確かにある。ただ、「別の世界」と言うよりも、「別の現実」と言ったところかの』

 別の現実? どういう事だ? 世界ならまだしも現実に別も何も無いだろ。

『ここのカミサマは悪戯好きでの……』

 老人は言葉を並べる。流れからして説明が始まるのだろうが、まずは────

(説明の前に姿を現したらどうだ?)

 いい加減、人がいない所でただ1人会話をするのは辛くなってきた。

『あぁ、それもそうじゃの』

 老人がそういうと、「ギギギ……」と、背後から扉が開く時の大きな音が聞こえた。

 振り向くとそこには、縦に延びる光の筋があった。

 なるほど、“白”の中では白いものが見えないのか。だから光しか目に映らない。脳が視覚で認知できない。白い扉がそこにあっても見る事ができない。


『これでいいかの?』

 光の中から少女が出てきた。幼女が。

 おい待て。誰がロリを注文したんだ。老人は何処へ行った?

『その老人が儂じゃって』

 は? 老人……ロリ……? あぁなるほど、うん、把握把握。いわゆる「のじゃロリ」ってやつか? ……違うな、もっと的確な表現がある。まぁ、そんなことはどうでもいい。

(説明の続きを頼む)

『ほいきた』

 そして、説明が始まった。


『昔々、丁度恐竜なんかが生きていた時代、カミサマは世界の未来を分岐された』

(未来の分岐……「別の現実」って言ったのはこういう事か)

『さよう。しかし本来は“別の可能性”から分岐していくのが平行世界なんじゃが、さっきも言った通り悪戯好きなカミサマでの。ご自分の意思で、可能性としてはあり得ないような分岐をされたのじゃ』

 カミサマか……やっぱりなんでもありのチート的存在なんだな。よくある話だ。

『そして、分岐した未来もされた未来も、この時のたった1回だけ。唯一の分岐点がこの時じゃ』

 つまり、「同時進行の“今”が2つある」と言えるのだが。

(俺が知ってる《パラレルワールド》なんかもよくある話で、どれも「平行世界は無限にある」みたいな感じなんだが、それはどうなんだ?)

『それが普通の平行世界の仕組みじゃ。ここのものとは仕組みが全く違う』

(可能性による自然な分岐を起こさないようにしている?)

『話が早くて助かるのぅ。全くその通り。ここには平行世界がたった2つしかない』

(2つか……で、どんな分岐をさせたんだ?)

『1つはお主のよく知る世界、“技術世界(スキルグランダ)”。もう1つは竜が火を吐き、神が荒ぶる世界、“魔力世界(マギアグランダ)”。ちなみに儂は魔力世界の人間じゃ。竜と神の戦いはとっくに終わっておるがのぅ』


 “魔力世界(マギアグランダ)”……魔法の世界!? つまり魔法を使えるのか!?

『さよう。基本的には誰でも使えるし、今では“技術世界(スキルグランダ)”での「電気」の穴埋めとして使われる程に発展しておる』


 な、なんだってー!? そんなことが、まさかそんなことがあるなんてッ……!! これはサヨナラ現実コンニチワ異世界のパターン! 俺TUEEEとか弱小勇者とかどうだっていい! 魔法の世界に行くことに意味があるんだ! よしもう俺はそこに今直ぐ行くぞというか行かせてくださいお願いします魔法とか使ってみたいんですどうせこんなところにいるってことは俺死んでるんでしょう転生させて下さいよよくあるパターンみたいにライトノベルみたいに────

『落ち着きなされ』

 幼女の一言で正気を取り戻す。

(おっと。すまない、見苦しいところを見せたな)

「はぁ……」

 呆れたような表情で少女は。

『そこまで行きたいのなら開いてやろう。扉を、《転生ノ扉(リヴァースゲータ)》を』

(本当か!?)

 魔法の世界。一体どんな世界なんだろうな……ワクワクする。

『その前に確認しなければならなくての』

 確認?

(何だ?)

『1つ目。心配する家族、親戚、友人の事。大丈夫かの?』

 ……なんだ、そんな事か。考えるまでもない。楓さえもいなくなってしまったんだから。

(あんなクズ共がどうなろうと俺に興味はないな)

『そうかの。なら2つ目。転生の代償として、今日と昨日の記憶が丸々吹き飛んでしまう。これは大丈夫かの?』

 昨日と今日? 何かあったか……? あぁ、楓に告白されたんだ。けど、この記憶は、あっても辛くなるだけだろう。楓はもういない。いっそ、失くなってくれた方がいい。それに、楓と言う人間を忘れないのなら、それでいい。


(あぁ、大丈夫だ。これだけか?)

『いや、次で最後じゃ。技術世界には帰れなくなる。これが良いなら承諾完了じゃ』

(大丈夫だ。問題ない)

『即答じゃな。悪い事ではないがの』

 気のせいか、少し笑っているように見えた。

 さて、これから俺の異世界転生譚が始まる訳だが、聞いておきたい事が幾つかある。

(なぁ、結局ここはどこで、どうして俺はここに来たんだ?)

『そりゃあお主が、魂が天界へ行く時の門、《天界ノ扉(ヘヴンズゲータ)》の僅かな時空のズレに呑まれたんじゃよ。あんなズレによう入ることができたのぅ……』

(天国の、門……なら、楓は確実に……)

『そうじゃの。《決まり(ルールブック)》は絶対じゃ。逆らう事なんてできん。それで、ここはその境界、“孔”じゃ。』

(“孔”、か。俺はこの孔での事も忘れるのか?)

『別にそこまでする必要は無いじゃろう。ただ、忘れたいなら話は別じゃがの』

(まさか。忘れたい訳無いだろう。いつかまた会えた時、忘れていたら困るしな)

『会える訳無かろうに』

(どうだろうな? 俺はイレギュラー的存在なんだ)

『《天界ノ扉(ヘヴンズゲータ)》の歪みに呑まれる程じゃからのぅ……こんな者は初めてじゃった……』

 と、笑いを堪えながら言われる。

(笑うなよ)

『まだ、笑って……おらん……』

(いや笑ってるだろ。堪えきれてないだろ)

 全く……何者なんだよあんたは。と思った俺に対し、ロリバb……幼j……少女が言う──

 「はぁ、はぁ……んんっ……」

 ──と思ったんだが、息を整えてかららしい。

『……“知の賢者”じゃよ。他にも賢者はあと4人いるがの』

 賢者?

『そうじゃ。まぁ、眺めてるだけじゃが』

(眺めてるだけって……それはどうなんだ? 何か仕事とか無いのか?)

『お主には関係の無い事じゃ。そんな事より、早く扉を開かせてもらっていいかの?』

 そういえばそうだった。

(あぁ、そうだったな。それと、最後の質問をしておく。あんたの名前はなんだ?)

『そうじゃのぅ……「知恵」とでも名乗っておくかの』

(知恵……? まぁいいけど。それじゃあ知恵、またいつか会えればいいな)

『いつか、の。さぁ、開くがよろしいか?』

 (もちろん!世話になったな、知恵)

『いいって事じゃ』 

 知恵がそう言うと、目の前に光の筋が現れる。

(こんなところにも扉があったのか)

 そんな事を思っていた間に扉が完全に開く。

『それでは気を付けての』

(あぁ、いつかまた)


 さぁ、俺の異世界ライフ開幕ッ────

『──1つ言い忘れていたが、初めは空気中の魔粒子と体内の魔力が共鳴して“暴走”するかもしれん』

 ──は? え、いや、待て。“暴走”? 明らかに危ないだろそれ? 

『まぁお主ならなんとかなるじゃろ』

 なに!? 今更俺に「頑張れよ主人公」的な台詞!? いらねぇよ! 助けろよ!

『異世界転生譚の始まり始まりーっ』

 こいつッ……! 次に会った時は覚えてろよッ!

『その時にはきっと忘れとるのぅ。はよ行きなされ』

 扉へ向けて体を押される。

 嗚呼、あんなに白かった視界が黒ずんでいく。

 悪い、楓……俺もう死ぬ……

 扉の中は床が無かった。まっ逆さまに落ちていく。そんな中──

『じゃあの』

 ギギギ......バタン......

 ──扉が閉まった。すると俺の頭上……つまり、俺が落ちる先に蒼い空が見えた。

(異世界の空も……蒼かっ……た……)

 ここで意識が完全に途絶えた。


 俺の転生ライフの始まり始まり──


 ご閲覧ありがとうございます。

 プロローグ2、いかがでしたか? 何故こんな事をしたかと言いますと、颯汰の性格を固めておきたかったんです。あと軽い伏線ですかね。......なんにせよ、ぐちゃぐちゃな構成に変わりはないので何も変わりそうに無いですが。

 それと、今回は修正する事が無いように気を付けました。それでも多分あると思いますが。

 それではこの辺で。今後ともよろしくお願い致します。

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