1話:魔法使いの平凡が運命に狂う。
どうも、◼◼です。初心者なのは知っての通りですが、同時に馬鹿でもあります。
まさか書き溜めなんて手があったとは...。1話製作中にTwitterで"書き溜め"と言う単語を見つけて、ナンダッテー状態でした。
投稿日からあまり間を開けたくないってプライドがあったので相当な衝撃を喰らいつつも、無事に1話が書き終わりました。
それでは本編どうぞ。
1:初登場シーンなんて。
突然だけど、僕は今、全力で走っているんだ。
で? とか言わないで欲しいけど、多分それが普通の反応だと思う。
まぁそれで、僕は死に物狂いで、足は痛いし、肺も痛むし、絶賛自滅ダメージ祭開催中。最大HPが100だったら今は残り20くらいかな。もう死んじゃいそうだね。あはは。
死んだらどうなっちゃうんだろう。天国に行くのかなぁ。天国ってどんなとこだろう。やっぱり楽なのかな? 楽って……例えばえっと、ずっと遊んでもいいとか? それなら行っちゃおうかなぁ……って、死んだら駄目だって!
そんな事を瀕死間際に考えている内に、ようやく祭は終了。目的地に着き、皆の楽しそうな騒ぎ声がよく聞こえてくる。
2:僕らの平凡な日常
「間に合って……る!」
僕は校舎に付けられた大きな時計を見て安心した。
「良かったぁ……」
と、安堵の言葉が小さく漏れた。どうして学校は時間に厳しいんだろう? のんびりしてる方が絶対長生きするのに……
息を切らして第2校舎へ向かう。そびえ立つ正面校舎の昇降口に上がり、靴を脱ぎ替えた、その時。
「おーい! 海翔ー!」
後ろから、僕の名前を明るく呼ぶ声がした。いつもの聴き馴れた声がして振り向くと、そこにはやはり幼馴染みの暮那井晴香がいた。
「あ、おはよう晴香」
いつも通り朝の挨拶……とか、そんな堅苦しくなくて、合言葉みたいに僕らは「おはよう」を使っている……
「……」
「……?」
……筈なんだけど。いつもの晴香ならきっともう一度おはようって言うんだけど……
「……」
「???」
いつもの晴香とは打って変わって僕の目をじっと見つめてくる。何かあったのかな?
「おはよう、古都羽海翔くん。そんなに息を切らしてどうしたんだい?」
あれ、やっぱり今日の晴香はなんか変だ。さっきは僕の知ってるいつもの晴香らしい呼び方で僕は呼ばれた筈で。だけど今の晴香は何か知らないけどとても賢そうだ。これをいつもの晴香の心理で考えればからかってるくらいしか思い浮かばない。でも今、目の前にいるのは……
「早く教えてくれないか、古都羽海翔くん。」
やっぱり晴香じゃなさそう。でも姿はやっぱり晴香……いや、まずは取り合えず会話を……
「いやまぁ……」
「うん?」
「寝坊して走ってきたから、それで。」
すると晴香は僕の見馴れた、いつもの笑みで。
「うん、全部知ってるよ。海翔の事で知らないことなんて無いんだから!」
「結局いつもの晴香だったッ……!」
分かってた。分かってたよそんなこと。だって晴香は僕のことを僕より知ってるんだもん。僕を翻弄するなんて朝飯前……いや、徹夜直後でも簡単に出来ると思う。それに、“人の心理を読み取れる”んだから。「世界は自分を写し出す鏡」って言葉もあったけど、この場合はどうなってるんだろう。世界の方ばっかり知ること増えてくだけで、全然写し出してくれないよ……
「それにしても珍しいね」
すっかり元に戻った晴香が僕に言う。珍しい?
「何が?」
「海翔が寝坊するなんてさ」
「確かに。いつ振りだろうね」
そう言えば寝坊なんてしたのは随分久し振りな気がする。初等部の頃はよく、朝に弱い晴香の為に家に行って起こしてたのを良く覚えてる。寝坊するのはむしろ晴香の方だし、最後に僕が寝坊したのは……覚えてないや。
3:日常の急変、光の柱
第2校舎へ行くための廊下を歩きながら、晴香が僕の様子を見て。
「それで、海翔はいつまで息を切らしてるの?」
と、聞いてきた。
「さぁ? 僕にも分かんないよ」
まぁ、瀕死になるまで走ってたからね。しばらくは治らないと思うよ。
「飛んでくれば良かったんじゃない?」
「今日、実技テストがあるんだ。飛んだりしたら魔力足りなくなって事故が起きちゃう」
「そっか。それじゃあ無駄に魔力使えないね。それで、その事故が起こるテストってさ、A級実技の?」
「いや、B上級」
晴香と話しながら、螺旋階段を登っていく。チャイムが鳴るまでには教室に着きそうだ。
「遅れなくて良かったねぇ」
晴香が昔と変わらない口調で僕に言った。晴香はいつもそうだ。人の事をまるで自分の事のように心配しては安心してる。お陰で大分落ち着いた。
「やっぱりさっきの晴香は嘘みたい」
「嘘だもん。演技なんだから。それに海翔のこと──」
キィィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!
晴香が何かを言おうとしたその時、甲高い音が劈いた。真っ白な光の柱が、僕らからして直ぐ後ろ、さっき通った廊下の隣の中庭から高く高く立ち昇っていた。
「「!?」」
突然の出来事に頭がついていけない。
『まさか、魔法事故!?』
と、遠くから僕の担任の先生の、そんな声がした。こんなとき、僕には何ができるのだろう? この状況から一体、何をするべきなんだ……?
──そして、少し考えた後、僕はこれしかないと思ったんだ──
「晴香! 行こう!」
「でも……」
「急いで解決しないと!」
僕はそう言って晴香の手を引き、光の柱のもとへ向かう。
「海翔! 無茶だよそんなの! 危ないって!」
晴香が必死に僕を止めようとしている。光の柱が起こす強風の中でも、晴香の声はしっかりと聴こえた。
──晴香の言う事はいつも正しい。だから晴香の言う事を僕はいつもよく聴いていた。だけど、僕のやることだって間違いばかりじゃない!
「僕らで止めるんだ!」
そう、多分あの場所に一番近いのは僕ら2人! それに僕ら2人ならできるんだ!
「晴香の力が必要なんだ!」
僕がそう言うと。
「……もう、怪我しても知らないからね!」
と晴香が言い、僕らは階段を下る。
中庭に着いて、柱の目の前に立つ僕らはどうすれば良いのか良く考える。
「“純粋な聖属性”。一番効果的なのは“純粋な闇属性”だけど、そんなの“黒魔法”の領域だよ? どうするの海翔」
「そうだね、僕らはそんな物騒な魔法は使えない……」
なら、どうすれば良いのか? 解決策は……まだ思い付かない。
「この光……」
晴香が何かに気付いたみたいだ。晴香の成績は優秀で、“魔力物理干渉”なんて難しそうな本をこの前もまた読んでたりしてる。僕も読んだけど、少ししか分からなくて晴香に多少教えてもらった。そんな晴香が気付いた事なんだ。間違ってる訳がない。
「放たれてる?」
「……つまり中に人がいるってこと!?」
「多分ね……でも故意はないみたい。魔力の周波がとても不安定だし、何より私達に襲ってこない」
これは“魔力の暴走”だよ。と、晴香が言う。とても大変な事になった。このまま魔力が使われ続けたら四肢の麻痺と激しい頭痛に見舞われる事になってしまう。魔力が戻れば治ると言えど、あれは本当に辛い。魔力が空っぽになったことがある人じゃないと分からないあの辛さはもう、思い出したくない程に。
と、ここで1つ思い付く。
「うーん、光の元があるならできるかなぁ……」
光に対する闇が使えなくても、僕らには勝機がある。僕が今思い付いたこの作戦。
僕には晴香みたく“魔力物理干渉”なんて分からない。だけど、“魔力融合”なら充分に出来る。晴香には「難しそう」って言われたけど、晴香なら全然余裕だろうと思って少し教えてあげたりした。
そんな“魔力融合”のB上級技術の1つ、“属性変換”。
これはその名の通り属性を変える技術で、変えたい対象に向けて、精霊系統の、変えたい属性の言霊”を呼び出し、強めの“封印魔法”をぶつければできる。ただし、そんな特殊な言霊を呼ぶと魔力の消費は普通と比べて大きくなるし、魔法だって強いものほど燃費は悪い。しかし、これだけではまだ上書きできない。「強めの魔法」って崩して言っちゃったけど、今回の強さは対象の魔力と同等以上じゃないといけない。つまり、人を1人分完全に封印できる強力な封印魔法を使う必要がある。強い魔法を使うには、ランクの高い魔法を使うか、もしくは詠唱を重ねるかすれば良い。もちろん、詠唱を重ねても魔力の消費は大きくなる。
つまり、魔力消費量が大きい上に準備が少し長くて滅多にできない事を今からやろうとしてるってこと。滅多にって言うか、実は今回が始めてなんだけど。でも晴香がいるし、きっと大丈夫だよね。
「それじゃあ晴香は“無効魔法”の準備をしててくれる?」
「うん、分かった。……なるほど! 属性変えちゃうんだ! そんなことできるなんて知らなかったよ!」
「勝手に心を読まないでよ晴香」
「大丈夫、作戦しか読んでないから安心してよ」
「そう言う事じゃなくてさ……」
まぁ、晴香に悪気がないならいっか。
さて、対象となるのは光の元である中の人、属性は聖から水へ。右腕を上げ、魔封霊石のペンダント《言霊ノ扉》を顔の前に吊るす。
「唱わば詠い、詩を謳わん。心、水辺の音にぞ揺らぐ。踊らば躍り、霊は舞踏らん。光、水面の上にぞ乱るる。水を操り、水を護り、水を司りし霊よ。今この処へ顕現せよ!」
言霊の召喚詠唱を詠むと《言霊ノ扉》が淡い蒼に耀き、僕の周りの空間が蒼に包まれた。
いかがだったでしょうか?
個人的には可愛い気のある男の子を主人公にした学園モノ要素を少し取り入れたつもりです。まぁ学園モノですから。徐々に女の子を増やしていくつもりです。
可愛いと言えば純粋、じゃないですか。海翔君視点は初心者にはキツい挑戦でした。
あと、ゲームとアニメの生活続いてます。勉強のために更に良く見るようになってしまって。それはもう見事な逆効果ですよ。
長くなりましたが、今回はここまで。
ご閲覧ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。