幕間
「なんで神さまって言われるものが、殆ど男の姿をしているのか分かるか?」
「そりゃ、大昔に神さまってやつを発明した人間が殆ど男だったからだろ?」
「そう思うか?」
「……違うのか?」
「本当の理由はな、いざって時に神を殺せる理由を作っておくためだよ」
「は?」
「神ってのは殆どが不老不死って設定になってる。どんな攻撃を喰らっても傷ひとつ付かない、大体の神さまが基本はそうだ。だが神が男であるならば、逃れられない弱点がある」
「弱点?」
「神を殺したければ、そいつの体を女にして孕ませれば良い。男は出産の痛みに耐えられなくて死んじまうからな。神も男であるならばその事実からは逃れられない」
「……そんなことできるのか? 神の女体化なんて? しかもそんな面倒くさい方法しかないのか?」
「神を女にできる方法の有無自体は問題じゃない。重要なのは神を殺せる方法がちゃんとあると言うことだ」
「――じゃあさ、元々女の神はどうするんだ?」
「過去に生きる人間が発明したものの中で、もっとも残酷なものが女神さまなんだと思うよ」
「残酷?」
「この世に出現した瞬間から未来永劫死ぬこともできずに永遠に存在し続ける。自分を生み出した世界すら消滅しても、まだそこに居続ける存在。女神は生まれた数瞬後には『自分が死ぬ方法』を考えるようになる。そう考えると常に慈悲深い微笑みをしている理由の真実も分かってくる」
「確かに……酷い話だな」
「だから女神っていうのは数少ない存在なんだよ」




