怒りの渦
感受性の強かった、しかし考えの足りな過ぎた若かりし頃。
興味本位でしてはいけない事をして、
見てはいけない物を見てしまいました。
あなたがいくら若くても、絶対に真似してはいけません。
怖い思いをするかもしれません。
守護霊、誰にでも必ず
ついていると言われています。
その降霊法が載っている『漫画』がありました。
興味津々の私は
すぐ試してみました。
例の【あの世絡み その1夜、その2夜】の、あの部屋で‥
あの事が起こる前だったので、何のためらいもなく‥。
ですが、本当に現れるとも信じてないところに、
“簡単には出てきてくれない、霊能力にもよるが
1週間、1ヶ月、1年
やっても
現れない事もある”
なんて記述があったものですから、絶対的に無理だろぅと思っていました。
しかし、その頃の私、
霊界受信アンテナビンビン期だったと言う事、
忘れていました。
そして、用事もないのに遊び半分で呼ぶという、
一番いけない事をしたのです。
そのため守護霊が来ずに
雑霊がかかって来たのかもしれません。
降霊
私は、もう二度としませんと約束してしまったので、できませんが、
もし本気で守護霊様とお会いしたい方がいるのなら、
その方法を紹介しますので、試してみますか。
まず、
神棚の前で精神統一。
はい、これで殆どの人が脱落。
神棚が普通にある家庭こそ珍しい。
かわりの方法として、
1:寝る前に風呂に入って全身をくまなく洗い、最後に冷水をかぶって浄める。
2:灯りを全て消して、布団に入りやや高めの枕で仰向けになる。
3:足は揃えて左右のかかとをつける。
4:指でひし形を作り、おへそを中心にして軽く置き精神統一。
5:枕元に守護霊がいらっしゃる‥と思って雑念を払い心を集中してお願いする。
6:守護霊の名を知っている人は、~之命(~のみこと)と命を付けて、
知らない人は、私の守護霊さま、と呼びかける。
7:私の守護霊さま、どうか私にお姿をお見せください。私が眠っている間、
夢の中で修業をさせてください と、お願いする。
8:お姿を見せてくださったら、私は必ず~をします。
と、約束する方が良いそうです。
約束事は、
基本的には、何でも良いのでしょうが、
神棚をつくります、とか。
でも神棚をつくって、ほったらかしって訳にもいきませんよね。
他には、何か他人の為になる事をやるとか、
ごみを毎日拾うとか、
人が気づかない隠れた善行が特に良いらしいです。
《ただし約束したら破れない》
私は、
この中の 幾つをちゃんと守ったでしょうか。
冷水を浴びた記憶もない。しかも、旅館をやっていた私の家には、神棚があったにもかかわらず、
何もしなかったのでした。
とりあえず暗闇にして
ひし形を置いて
「守護霊さま…」
と呼びかけ始めました。
何の約束もせずに、ただ呼びかけました。
どのくらい時間が過ぎたでしょう。
暗闇の中で、ぼそぼそと呟いているのも飽きてきました。
中途半端に神経を高ぶらせたせいか眠くもならず
=何にも起こらないじゃん、やっぱ無理か‥けっこう真剣にやったつもりなんだけどなぁ…
守護霊さま‥って…=
真っ暗闇
もぅ止めようと指を離そうとしたのですが、
なんとなく、動くのがかったるい。
体制を崩した方が楽な筈なのに、動きたくない。
=あれぇ…どぅしちゃったんだろぅ‥疲れちゃったな‥だらんとした方が楽なんだけど…動けない?…おかしいな‥来るなら来いっ…なんちゃって嘘だょ、うっそ~
やっぱマンガだねぇ
あるわけないっての、こんなもん、信じた私がアホでしたよ、ってね=
後から思うとなんというバカにした言い様。
しかし実は半分ビビりだしていた私は、
もぅ止めたくなったのですが、体制を崩す事が
できませんでした。
真っ暗闇
その時‥
天井の隅‥
うっすらと…
青白い光が
ほゎっと現れました。
真っ暗闇‥の筈
どこから灯りが入ったのか、
唯一、動かせる事ができた目で
キョロキョロと見回しました。
どこもかしこも真っ暗闇
その一ヵ所を除いては。
青白い光りは
徐々に移動しだしました。
部屋の中頃まで来ると
いきなりーーーくるくると回り、広がっていき、
天井と壁一面を覆い尽くす大きな渦を巻き始めました。
不思議な光景でした。
目がおかしくなったのかと思いました。
テレビで見たことがある、海の大きな渦巻き、
いや、筆でガァーッと描いたような、いや、でも動いてる、回ってる、
なにこれーっ
なんでこんな事っ…
青白い渦の所々に
ポッ、と、
恐ろしい表情の狐や狸が浮かんでは消え、浮かんでは消えを繰り返していました。
これが私の守護霊なのか、
私の守護霊は動物霊なのか、
目をカッと見開いたままの私は、
どうする事もできずに
その姿を追っていました。
中心部に
小さく赤い光が現れました。
それは段々と近づいて来るように
大きくなっていき、まわりに刺々しく
赤を撒き散らしていました。
怒りを象徴するかのような暴力的な動き、
怖くなりました。
その中に、顔のような物、
かすかな輪郭線だけが見えました。
しかし、その目は
間違いなく私を睨んでいる。
どうしよう近づいてくる、どうしよう
恐ろしくて必死に目を閉じようとしましたが
できません、力を入れて閉じようとしましたが、できません。
瞼がプルプルと震えていました。
夢!?
夢なら覚めて!
いや夢じゃない。
夢と現実の違い位わかる私は!
私は…………
私は
味方である筈の守護霊を怒らせてしまった、
自業自得‥
どうなるんだろぅ
命を持っていかれるのか、
突然死とか、謎の死とかは、こんな事もあるんだろう。
冥福など来ない。
頭の中でよぎりました。
怖い。
哀しい。
馬鹿な自分が怨めしい。
=守護霊さま、守護霊さま、
私がバカでした。
もう二度としません。
ごめんなさい、ごめんなさい=
子供丸出しの謝り方で
懇願しました。
何度も何度も謝りました。
………そして〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃
そのまま気絶でもしたのでしょうか
いつの間にか目を閉じていました。
しかし、
力一杯閉じていました。
ハッと気づき、
思わず大きく目を開けると
そこは、ただの暗闇
どっと全身の力が抜けて、
一瞬呆然としましたが、
確かに自分の部屋。
はぁっ、
はぁっふぅっ
ふぅぅぅぅぅ
息が苦しくて何度も深呼吸を繰り返しました。
ーーー
…助かった……。
二度とやめよう。
怖かった昔の思い出
この暫く後に
【あの世絡み】として
既にお伝えしましたが、
もっと怖い体験をするとは、正直思いませんでした。
目に見えないものを
興味本意でもて遊んだりする事は
絶対にいけませんね。
お読みいただきありがとうございました。