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デモニアックとは、突然人類の前に姿を現し、あらゆる人間を無差別に襲う危険生命体である。その凶暴せいの高さと人類の近代兵器がまったく通じない強靭な肉体に人類は苦戦を強いられていた。


しかし、とある対策研究所でデモニアックに対して有効な兵器が開発された、その名も「カムイ」カムイとはデモニアックの肉体を素材として作られた対デモニアック兵器である。


その後、人類とデモニアックの戦いに対して有効に効果を発揮し、戦況を大きく一変させ、かつて人類の天敵とされていたデモニアックの戦力を大きく縮小させることとなったのだ。


だが・・・・・・・人類はいまだに煙のように現れるデモニアックの出現条件や出現方法を発見してはいなかったため、完全に絶滅させるまでには至らなかった・・・・・・


 全政府は人類の危機は脱したもののデモニアックのいわば残り火のような存在に頭を悩ませていたのだそこで、政府はかなりぶっとんだ対策を取り始めた。

なんと!!20xx年から生まれる18歳までの未成年者に対して市民権と呼ばれる国から市民として扱われる権利を剥奪したのだ。


これに対して全政府の発表は


「ええ~~~20xx年から生まれる18歳以下の児童に対してはランカーと呼ばれるデモニアック討伐部隊の作戦に4年間参加することで市民権をお返しします。なお、これにつきましては一切質問等は受け付けておりません。また、これに対し暴動等が発生した場合は関係者全員の市民権を強制的に剥奪します。以上!」


全世界の18歳以下の若者はこの対策により絶望淵にたたき落とされた。世も末っすね。








そして、三年後・・・・・・・・



場所はうって変わりここはデモニアック対策本部、その名も「キモン」その一室。

AM6時40分


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)


「現在の時刻は・6時45分。ピピッ」


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

(・・・・・・・・・・・五分後に設定したアラームが・・・・・・)


「現在の時刻は・6時50分。ピピッ」


(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・)

この男の名は「ダニー・ザ・ドッグ」推定年齢20歳、黒髪にボサボサ頭の長髪、目の下には常にくまを付けている。好きな食べ物は焼き肉、酒。ちなみに、極度のヘビースモーカーでもある。たばこは15歳のころから一日20本以上という驚愕の本数である。


部屋は鬼門の支部長から支給された9畳半の部屋の中に、机、ベッド、洗面所、トイレが置かれている。ベッドといっても安物のカプセルホテルにあるような簡素なものである。高校卒業にダニーが配属された鬼門はかなりの大型施設であり、収容人数1000人という規模の大きな支部であった。


あまりにも、耳障りな音に耐えかねたダニーはゆっくりと上体を起こしアラームの音を止め、洗面所に向かった。

(ひでー顔だな。)

まじまじと洗面所に設置してある鏡を見つめ、頬がこけ、目にくまを付けた顔に落胆しつつも蛇口をひねりコップの水を飲みほした。昨日は飲みすぎたようだ、アルコールでただれた喉を水が通り抜けていくのがたまらなく心地よかった。コップ一杯の水を飲み干し、顔を洗った。ベッドにもどり、腰をかけて机に置いてあるたばことライターに手を伸ばし火をつける。


「ふぅ~」


煙草をふかしながら支部の中心施設「イクサカミ」向かう準備を始めるダニー、下は黒のスラックス、上はベッドの上に投げ捨てられていたワイシャツと真っ赤なネクタイを着用し最後に黒のジャケットをはおったらいつもの通りのランカーの制服の完成である。


「・・・あちっ・・・・・・・・」


準備しながら吸っていた煙草が思っていたよりも火が指に近づいていたため火が指に触れる。無造作に煙草の火を灰皿で消し、煙草とライターをジャケットの内ポケットに入れ廊下に出る。自室にランカーとしての証である指輪「カグラ」でドアロックをかける。廊下では煙草は禁止されているため、足早に歩き始めキモンの中央施設「イクサカミ」の部屋の前で歩みを止めドアを開ける。


すでに数百人近いランカー達がいるらしく作戦を終えたものや作戦選択中の者達でひしめていた。大きくドーム状の建物には日の光が差し込み、大きな電光掲示板には月に一回のランカーズランキングが放送されていた。

(人のプライバシーも考えろよ)

おまり、順位を晒したくないダニーにとっては不都合のシステムである。

 

 ランカーとはイクサカミから好きな討伐ミッションを受注し、そのミッションが成功した際にその任務に見合った「マガタマ」と呼ばれるランカーの通貨を報酬として受け取れる。

また、ランカーの証である指輪カグラに保存され、使用目的はカムイの強化、生活用品の購入や娯楽施設の利用料金として使用される。

だが、4年後のランキングからの脱退の際にも大量のマガタマを要求されるため、使用を基本的に控える者も多い。

月一のランキングはランカーの戦闘力を数値化し、戦闘力の数値がより高い者がランキング上位者となる。そのため、マガタマの所持数はランキングとは関係ない。ちなみに、収容人数は1000人ではあるが100人にクラス分け、それぞれのクラスでランキング結果をまとめる。また、年に一回1000人ランキングも公開される。


「yo!ダニーじゃねぇか!?おい!見たかこの俺様のランキングをyo!」


突然、後ろから中肉中背の男に声を掛けられた。茶髪アフロ頭に、上下ともにダニーと同じ黒スーツだがダニーのくたびれたスーツとは違いアイロンがけされ、よく手入れの行き届いている。手には彼の朝ごはんであるドーナッツの箱が握られてた。


「やぁボブ、一体ランキングがどうしたって?」


ダニーは、にこやかな笑顔を友人である「ボブ・ボリッド」に向けた。ボブとは、ダニーの最初の友達であり作戦では彼の良き相棒である。また、ランキング上位組でもある。


「いいか・・・・よく聞けよダニーボーイ、万年20位のこの俺様が今回は18位だったんだ!すげーよな!こんなことあるなんて信じられねぇぜ!!努力は報われるもんだな!」


「HAHAHA・・・・・・落ち着けボブ。それより相手は全治二カ月って所か?」


「おいおい、長年連れ添った相棒にそんな野暮なこと聞くなyo・・・・・・・いや、四か月だ。」


「それよりダニーボーイ、適当に作戦いこうぜ!」

「・・・・・そうだな・・・・・・・・・・ん?」

(あいつは?)


ダニーの目の前を一人の女性が通り過ぎた。少しパーマ気味の肩までかかったセミロングに一点の曇りもない真っ赤な髪、そして金色の目に鼻筋の整った顔立ち、ダニーの胸ほどしかない身長でありながらグラマラスな体系、彼女が通り過ぎた後もわずかながら女性特有のいい香りがした。


(アゲハァアアア・・・・・・・・・)


ダニーの意識は完全に「不動アゲハ」に向けらていた。

「おい!ダニー聞いてっか?!次のミッションどうすんだyo!」


ボブの問いかけにダニーは我に返った。

「・・・・・・おお・・悪りぃ・・」


ダニーの表情に何かを感じたボブはダニーの見ている方向に視線を移した。

「ダニー、アゲハになんか用でもあんの?」


「なぁボブ?アゲハ誘わないか?」

突然口走ってしまった言葉にダニー自身驚いた。

「まじかーーアゲハかー、あいつ・・・・俺らとミッションいくか?」


「誘ってみなきゃわからんだろ!」


「まぁ、別にいいけど・・・・・・・・でも、お前が声かけろyo?」

(アゲハはマガタマにがめついから苦手だぜ。)


普段あまりボブ以外と話さないダニーであるが、不動アゲハとなれば話は別である。アゲハに向かって歩き出したダニーは後ろからアゲハに声をかけた。

「おはよう!アゲハさん!」


「げっ!その声は・・・・・・・・・ダニー・・・・ザ・・・・・・・・・・・・・ドッグ・・・・」

アゲハは数秒程ダニーの顔を見つめ、その場から逃げるように駆け出した。予想通りのアゲハの反応に対してダニー微笑しつつその後を追った。


「ついてこないで!なんなよ?!」


「え~と、その暇だったら俺達と一緒にミッションでもどうかなと?」


「あんたねぇ、この前のこと忘れてないでしょうね?」


「え!?・・・・・・・も・・もちろん!・・・で、そのお詫びにアゲハがPTリーダーでマガタマの配当好きにしていいから」

ダニーのその一言に対して突然アゲハ足を止め、ダニーに向き直した。

「それ本当?」

「ああ!」

このダニーからの申し出に少々アゲハは警戒しつつも、マガタマに困っていたアゲハには申し分ない提案んだった。

「しょ・・・・・・しょうがないわねぇ!いいわよ。行きましょ」


「よし、じゃあボブにも声掛けてくるから。少し、待っててくれ!」

ダニーはいろはに待ってもらうように頼むとイクサカミの飲食エリアのボブの所にむかった。ちょうど、ボブは朝ごはんのドーナッツをほおばるとこであった。


「yo!ダニー!!アゲハは捕まったか?」

「ああ!!さっそく作戦の準備だ!!」


ピューと器用に口笛を吹くとボブはドーナッツを大口を開けて口の中に詰め込み、コップの中についでおいたカフェオレで胃の中に一気に流し込む。あっという間にドーナッツを完食した。朝食を終えたボブとともに飲食エリアの食器を荒っぽくカウンターに返すといろはがいるミッションカウンターに向かった。


「待たせたなアゲハ」

「yo、アゲハ!一体俺たちとPTを組むとはどういう風の吹きまわしだ?」

ボブの質問対して面倒臭そうにアゲハは答えた。

「ハァ・・・あんたには関係ないでしょ。それより、参加すると決まればさっさとPT組んで作戦準備しちゃいましょう」


「おう」

「いいyo」

アゲハはをミッションカウンターに設置してあるタッチパネル式の端末からに作戦を選択し、ランカーの証である指輪カグラを端末から発する赤外線に当て、同じようにダニーとボブにやるように指示した。


「はい、PT組んだよ。これで、私たちはこのミッションが終わるまで競争相手ではなく仲間ね。それと・・・マガタマの配当もしておいたからね。じゃあ、準備でき次第にイクサカミ作戦出発エレベーターに集合」


「りょうーかい」

「ああ・・・・・・・って・・・マガタマの配当をアゲハが・・・・?」

アゲハはボブの困惑した表情を無視しつつイクサカミ女子戦闘準備室に向かった。

「なぁ、ダニーボーイ?アゲハがPTリーダーだって今知ったんだが・・・・・」

「ん?あれ?そだっけ?」」

ボブの問いかけにダニーは今思いついたような返事を返しつつ、二人は男子戦闘準備室に向かった。





「イクサカミ 第21号男子戦闘準備室」


ダニーは準備室のベンチに腰掛け煙草をふかしながら自分のカムイの状態を確認していた。カグラから発する映像には自分が所有するカムイが表示され、24時間いつでも自分のカムイの状態が確認できる。そこには・・・・・


「所有者ダニー・ザ・ドッグ カムイ名 冥牙ミョウガカテゴリーE 種別・改造刀 状態 最悪」

(・・・・・・・・・)

煙草を吹かすダニーの隣にカムイ状態とミッション確認し終えたボブが隣に座った。


「ダニー、今回の作戦確認し終えたか?なかなか歯ごたえのあるデモニアックが討伐対象だ。まぁ、アゲハには悪いが今回は出番は無いかもな・・・・・」


ボブはカグラで再び作戦内容確認しつつダニーのカグラに表示されている映像に視線を移した。


「お前まだカムイの整備してないのかyoいいかげん痛い目にあうぞ。」


以前、ボブにカムイの重要性をしつこく解説された経験があるダニーはまたこの話が始まる前に、もう一本煙草に火を着け、口にくわえながらベンチから腰を上げた。

「行こうぜ、ボブ」


「って・・・・・・・・・・時間か・・・・・まぁ、お前ならカムイがランクEでも今回は大丈夫だが・・・・・まっ、殺されるとしたらデモニアックじゃなくて煙草かもな?」

ボブとダニーは苦笑いしつつ共にベンチから腰を上げた。








「コノ先、デモニアック出現ポイント。ランカー以外ノ立チ入リ禁止」


イクサカミから無人ヘリに1時間程揺られながらダニー達は目標のポイントに向かっていた。何もない更地に対して辺り一面、岩に満ちた場所が今回のデモニアック出現ポイント別名「ゲート」である。


ダニーとボブは普段なら、ダニーは煙草ふかし、ボブは音楽を聞きながらモチベーションを上げる。だが、今回のダニーは普段とは打って変わりいつもの煙草にも火を着けずに落ち着きがないようであった。

ボブは相変わらず音楽を聴きながらダニーの不審な行動を興味津津で見ていた。アゲハに関してはカグラで作戦情報を確認しながらグミのようなものをひたすら口に運んでいる。普段なら一言も声を発しないダニーだが沈黙に耐えかね、アゲハに話しかけた。


「ねぇ、俺にも一個」

「は?これはPT リーダー の私の緊張をほぐすのに欠かせないものなの。」


ダニーはやれやれと思いつつ煙草に火を着けた。

(・・・・・・・・・・・)

すると、突然ボブが声を上げた。

「アゲハは誰といつも組んでんの?」

「・・・・・・フリーだからその日に決めてるよ」


(ほぅ・・・・フリーか・・・・)


「そういえば・・・・・・ボブとしか俺達でレギオン組んでなかったよな?」

(これは、アゲハをレギオンに加えるチャンス!)


「そうだ!・・・・・アゲハ!俺達のレギオンに・・・」

と、ダニーが言いかけた時に突然ヘリのスピーカーからゲート到着の機械音声が流れた。


「ゲート到着・・・・ランカーハ直チニ対象ヲ討伐セヨ」


「まずいわね・・・・・・・・・近いわよ・・・・・・・・」

アゲハ先ほどと一変した様子で二人に呼びかけた。


「んーーーー、さくっと終わらせて俺達のレギオンに正式にアゲハ誘うかダニー?」

ボブはアゲハがヘリから降下後、小声でダニーに聞いた。

「当然」


ダニーはジャケットの内ポケットから新しい煙草を取り出し火を着け、へリに搭載してある自分のカムイをアゲハ同様に取りだした。





15分程歩いた所で、それらしき対象を確認した。何も無い平地にぽっかりとブラックホールのような円形の空間に姿を現したデモニアックが数十体、すでにひしめいていた。

全身を包む真っ黒な鱗の様なもの、2メートル近くはある大きな体には、目らしきものがひとつ赤く光り、トカゲのような体には両腕の肘にあたる部分から刃のようなものが生え、口には鋭いに歯が確認できる。


(奴か・・・・・・・)

三人は対象を見つめた。

「・・・3体か・・・・・・・・・・・・楽勝だな・・・・」

最初に言葉を発したのはダニーだった。

「あのタイプならボブと殺った経験がある。まぁ、あいつらならオレ一人で十分だ・・・」


続けてボブが言葉を発した。

「ああ言ってるぜ?大将どうするよ?」

いろはは少し考えると。

「了解、ダニーに任せる。私とボブは周囲の警戒しつつ、ダニーの退避ルートを確保を・・・・」


「退避ルート?」


ダニー吐き捨てるように言葉を発すると勢いよく居合いのような型を取りつつ対象に向かい、カムイを起動させた。

ダニーのカムイは日本刀型、作りは実にシンプルではあるが、その見た目に反して並みのランカーでは扱え無い程改造を施している。それゆえに破壊力も凄まじい。ダニーは、トカゲ型のデモニアックの頭部をめがけて刀を振るったのであった・・・・・・。


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