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どろだんご  作者: 与太郎
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.手

食事の時間が嫌いだ。


先生がビール手袋を付けて配膳してくれた、オレンジが1番嫌いだった。

中の仕切りの皮が噛みきれず、隠れてよくティッシュの中に吐き出し、バレる度に先生に怒られていたからだ。

ちゃんと食べようと試みても噛み切るのに時間をかけてしまい、掃除の時間に1人だけ机に座って食べてさせられていたことを思い出す。

味もしない、噛み切れない、食べ終わるまでは許されない。少し苦いだけの皮が、本当に嫌いだった。


そんなことを思い出したのは、最初の彼女がご飯を作ってくれ、ご馳走してくれた時だ。

当時は、お互い大学生だった。

僕は青森から、彼女は広島から東京の大学に通っていた。両方とも一人で上京しており、デートをするときはどちらかの家でゆっくりと一緒に過ごすことが多かった。

食事は、近くのコンビニで買ってきたお弁当や、お金があるときは外食をしていたが、大体は材料を買い僕が作り、2人で食べることが常だった。


ある日、 


「私が今日の料理作るよ!」


授業が終わり、2人で彼女の家に向かって歩く。

明日は2人とも予定がない日だった。お泊りをすると思い、大学に行く前に必要なものを事前に持ってきておいた。

手を繋ぎ、いつも通りに何気ない会話をしながら歩いていると、突然彼女がそういった。


「え、そう?全然僕でも大丈夫なんだけど…」 


急な提案だったので驚いた。

いつも何も言わず、僕に料理を任せてくれていたのになんで唐突に…と不審そうに彼女をみていると、それに気づいたのか優しく微笑み、


「和くんがいっつもやってくれてるから、たまにはお返ししてあげたいなぁ〜って」

「そうなんだ…」


その気持ちは嬉しいのだが、材料分のお金しか僕が卸しておらず、足りるかどうか不安になる。

今日は肉じゃがの予定だったたんだけどなぁ。

何を作るかは知らないけれど、一応彼女に伝えてみる。


「僕肉じゃが作ろうと思ってて、その分のお金しか持ってきてないんだけど…」


そう伝えると彼女は少し考えている様子で、


「んー、んーと、うーーーん……ビーフシチューとかどう?」


と提案してくれた。

材料費も大方は変わらず、ただ焼肉のたれがルーに変わるだけであれば、100円ほど高くなるだけかと思い、彼女に快く頷く。


「材料費しっかり考慮してくれてありがと、楽しみにしてるね」


繋いで手に少しだけ力を込め感謝の気持ちを伝えると、彼女は気分良さそうに早歩きをし始め、僕の斜め前に出る。可愛らしいなぁと思いながら彼女のペースに僕の歩くペース合わせる。


幸せだなぁ。

17時の帰宅のチャイムが遠くで聞こえた。

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