妬み
「うぉらぁ!!!」
「糞どもが!!」
「死ねぇ!!」
2000人の冒険者が一斉に、夢叶戦祭の出場者に
襲いかかる。
「数が多いな!!」
「これは、やばいわよ!!」
「くっ!!」
「・・・・」
(やばすぎる!)
〈白の英傑〉の4人は、
戦闘態勢に入るが、あまりの数に圧倒される。
「うぉー!!!」
「それ!!」
「やぁ!!!」
キンッ!!ドゴォッ!!バギッッッ!
剣の競り合い、地面が割れる音、
人を殴った音が、周囲から聞こえ出す。
もはや、血が周りに飛び散るような乱闘だ。
「キャー!!!」
「ぐっ!!!」
「がはっ!!」
味方か、敵のものかか分からない。
悲鳴が周囲から聞こえだす。
「そうだぁ!!!ぶっ壊れっちまえ!!!
ギャィハハハハ!!!」
今回の首謀者のドイが、高らかに笑う。
「おかしいわ!!
襲ってきた冒険者の目を見て!!」
メルアが指を差す。
襲ってきた冒険者の目が、
ありえないほど充血していた。
「正常な状態じゃないわ!!
操られてるような。
理性を失ったような!」
メルアの言う通り、襲ってきた冒険者達に
知性を感じない。
暴れ回るような動きをしている。
通常の冒険者達なら、ここまでの暴挙に
出るはずが無い。
「何かの祝福かもね。」
「てかそれしかねぇな!!」
「あいつのギフトか・・・
この2000人の攻撃を防いで
あいつを倒すしかないってこと?」
「でも、どうやって行くんだよ!
数多すぎるって!」
ドイの元に辿り着くのが
たたでさえ困難な状況の中。
「誰か助けてくれぇ!!」
闘牛場の上の方から、声が聞こえる。
「王様!!!なんで!!」
王が、冒険者達から胸ぐらを掴まれて
上に持ち上げられている。
「何で!転移魔法で移動させたはずなのに!」
メルアが驚き叫ぶ。
メルアに触れていない状態だと
転移する場所の精度が少し落ちるが、
転移魔法で移動はできたはず。
なのに、王だけが観客席に
残されていた。
「まさか、魔法の効かない宝具を
身につけていた?」
「ありえるわね。国のトップですもの。
誘拐やケガを防ぐにも、いろんな対策を
していたはずだわ。」
「くっ!!あいつも倒さないといけない。
王も助けきゃいけない。
より、難しい状況になったわね。」
「メルア!ジェイク!!
2人は、王様の所に行って!」
「ナティカと、ライルはどうするのよ!」
「俺たちは、あいつを倒す!
パーティで一番、機動力のある
2人じゃないと間に合わない!!
早く行け!」
「メ゛ルア。」
「・・・うん!!
2人共、気をつけてね!」
「心配すんな!!」
「そっちもね!」
メルアは、ジェイクに背中に飛び乗り
おんぶの状態になる。
「ジェイク行け!!」
「ん゛っ!!!」
ドッンッッッ!!!!
ジェイクが、王のいる場所に向かって
勢い良く飛ぶ。
飛んだ勢いで地面が、ピシビシッッッ!と
割れる。
「・・・さぁ、2人で
この乱闘をどうやって鎮めるか。」
「とりあえず倒しまくるしか
ないでしょ。」
「まぁ、なぁ〜。
どうやって倒すか。」
「祝福使えば、
楽勝だけど。」
「使うか?」
「絶対に嫌。」
「俺も」
「・・・もう全員倒す?」
「全員か。」
「「・・・・・・」」
2人共、沈黙する。
「「まぁ!どうにかなるか!!」」
同時に声を出した2人は、同時に走り出した。
―――――――――――――――――――――――――――
「ハハハッ!!いいねぇ!!!
この乱戦、ぶっ壊れていく様が
最高だぜ!!」
ドイが、高らかに笑う。
その瞬間
「ぐはぁっ!!!!」
「ギャァァァ!!」
「いやぁ!!!!!」
一際大きい悲鳴が、響く。
「なんだ?死んだか?死んだかぁ?
ギャハハハハッッ!・・・ん?」
悲鳴が起きた方向を見ると、何かおかしい。
乱戦にしても人が吹っ飛んでいる数が
おかしい。
「ちょっ!俺は、ぐっはぁ!」
「がはぁ!!」
「に、逃げろ!」
「な、何が?」
戸惑い出すドイ。
「おらぁ!!どけぇ!!
あ、女の子はごめんね。」
「ごめん!!!」
ライルとナティカが、
大剣と杖を振り回していた。
「ま、まさか!!!」
ドイは、異常な事態に気付く。
「味方ごと倒してやがる!!!!」
「おらぁ!!!刃じゃないから!
死なないから、気絶してろ!」
「本当にごめんね!!」
ライルは、剣の横部と鞘で
ナティカは、杖を振り回して
ところ構わずなぎ倒していた。
「あ、あいつら、やべぇ。」
ドン引きするドイ。
それをよそに、敵も味方も関係なく
吹っ飛んだり、なぎ倒されていく冒険者達。
「お前ら!それでも英雄かよ!!」
ドイが戸惑いながら叫ぶ。
「あぁ?どうせ倒さなきゃいけない
相手だったんだ!!
今、倒して何が悪い!!」
と開き直るライル。
「それに、私が後で治療するわ!!
敵は治さないけど!!」
と返答するナティカ。
2人は、止まる様子は無い。
止まる気も無い。
冒険者がどんどん倒されていく。
「な、2000人の冒険者が!!」
あっという間に、暴走した冒険者は倒されて
残されたのはドイだけになる。
「ふぅ、味方も吹っ飛ばしちゃったけど、
これで全員倒せたぜ。」
「あとは、あなただけよ。覚悟しなさい。」
ライルとナティカは、最後の敵を
目に捉える。
「くっ!!おらぁ見やがれ!!」
ドイは、腹部を刺された司会のドムを
抱えてクビに刃を当てる。
「ただでさえ、死にそうなこいつの
命を今すぐ終わらせてもいいんだぞ!!」
人質を取られて、2人が止まる。
「やめろ!!」
「なら、お前ら武器を捨てろ。」
ドイに言われて、2人は武器を捨てる。
2人は、身動きが取れなくなる。
「ははっ。英雄様も無様だな!!
何もできねぇな!」
「・・・お前何でこんなこと
するんだよ。」
ライルは、ドイに質問する。
「あぁ?そりゃ、この夢叶戦祭を
ぶっ壊すためだよ。」
「何で、壊したいんだよ。」
「・・・嫉妬さ。
運良く
強い祝福を持っているやつが
冒険者は、強くなっていく。
こんな大会、冒険者の強さじゃねえ。
強い祝福のお披露目会じゃねぇか。
本選に出場しても、どうせ
お前らみたいな強いやつに負ける。
そんなの平等じゃねぇ。
俺等には、チャンスすら無ぇ。
そんなふざけたことあってたまるかよ。
だから、ぶっ壊したいと思った!!
だが、俺1人では無理だ。
だから俺の祝福
悪意の噴水で
失格した冒険者の悪意を
増長させて暴走させた。
何で俺が失格なんだよ!
強いやつらばっかりずるい。
夢叶えたいのに叶えれない。
強いやつらのせいで勝てない。
そんな失意のどん底にいた
やつらのお前ら強いやつらの妬みを
増長させた。簡単に暴れてくれて
助かるぜ!!
おかげで、夢叶戦祭を
壊すことができた!!
ギャハハハハ!!!」
高らかに笑うドイ。
「・・・なるほど、やっぱりお前
予選で落ちるわ。」
「・・・何だと?」
ライルの言葉に返事したその瞬間。
「がはっ!!!!」
ドイが、ドロップキックされて吹っ飛ぶ。
その勢いでドムとドイが離れる。
「な、一体何が!!」
蹴り飛ばされたドイが、起き上がると
一人の男が立っていた。
「だ、誰だ?」
〈白の英傑〉でも誰でも無い。
男が立っていた。
「おい、ドムさん大丈夫か?」
男は、ドムに話しかけながら
ドイから離れる。
「そいつは、俺達が倒した冒険者だよ。」
ライルが事態を飲み込めていない
ドイに話しかける。
「な、何で?あの2人に倒されたんじゃ。
・・・・は?」
ドイが周囲を見渡す。
「〈白の英傑〉やべぇ。」
「こぇぇ。」
「俺、ナティカさんに殴られてラッキー。
・・・めっちゃ痛いけど。」
倒れていた冒険者達が起き上がっていた。
「は?どういう?」
困惑するドイ。
「本選に残った冒険者達は、
俺等の攻撃を受けても、
しばらくしたら立ち上がった。」
「そして、本選に出れなかった
冒険者達は、起きる気配すらないわね。」
ライルとナティカは、自分たちの武器を
取りながら話す。
「つまりは、お前達に夢を叶える
チャンスが無いのは実力不足ってことだ。」
「実力不足だ・・・と?」
「だってそうだろ?
強いやつがいるから夢を叶えれないとか
出場できないことを人のせいにしてるやつらが
強くなれるかよ。
起き上がった冒険者と
起き上がれなかった暴走した奴らの差がこれだ。」
「くっ、クソがぁ!!!クソがぁ!!!!」
ドイが、叫びながら膝をつく。
ライルとナティカがドイに向かって走り出す。
「じゃあな!」
「監獄で筋トレでもしてなさい!!!」
「がぁ!!!!!!」
ドゴォ゛ォ゙ン!!!!
剣の横部と杖の先端で、
同時に攻撃され、闘技場の壁に
吹っ飛び、ドイは壁にめり込む。
「ク・・・・ソ・・・。」
ドイは、最後に何か言って気絶した。
「ふぅ。やっと吹っ飛ばしたぜ。」
「あとは、あの2人大丈夫かしら?」
「まぁ、あの2人なら大丈夫だろ。」
「まぁ、それもそうね。」
ライルとナティカは、
王の所に向かった2人を
心配もせずに互いに笑った。




