選考会4
読んで下さってありがとうございます。
「間一髪だったわね。」
メルアは、ジェイクが降りてくるのを
下で待っていた。
「・・・さすが。」
拳をメルアの前に差し出す。
「そっちこそ、さすがね。」
ジェイクの拳にグータッチを
してお互いニコッと笑った。
「よっしゃぁ!!!
最後の試練にまで、進めれたぞ!!」
「嬉しすぎる!」
冒険者達は、両手を広げて喜ぶ。
知恵の試練を突破できたことが、
相当嬉しいのだろう。
喜びの声が、周囲から聞こえる。
「ジェイクさん!」
声をかけてきた男性の冒険者二人組が、
目の前にまで来て、
ジェイクの手を握りだす。
「ジェイクさん!
本当にありがとう!
まだ、夢を見られるよ!」
「あなたのおかげで、
試練に進めます!
本当にありがとう!」
2人は、ジェイクの手を強く握る
その様子は、本当に嬉しそうだ。
「・・・夢」
「えっ!?は、はい?」
ジェイクが喋ったことに驚いたのか、
一人が、素っ頓狂な声で返事をする。
「・・・夢゛は、何?」
「・・・妻とのマイホームを立てることです。
今度子供も生まれる予定でして
広い家が欲しいなって。」
「俺は・・・レストラン開きたくて
この大会に優勝して
お店を開く資金を、手に入れたいです。」
冒険者の2人は、
夢が叶った所を想像でもしているのか、
楽しそうに、夢を語る。
「・・・お互い゛頑張ろう。」
「は、はい!」
2人は、元気良く返事した後に
ジェイクの目の前から去っていった。
「いや〜。お疲れ様2人共!」
「まさか、1人で流星鷲を避けきるなんてね。」
ライルとナティカも、同じ場所に集まる。
2人から労いの言葉をもらい、
一気に気が抜ける。
「次で最後の試練ね!」
「あぁ、最後まで頑張らなきゃな。」
「ここまで来たらクリアしたいわね。」
「ん゛っ!」
試練が終わったばかりだが
4人の顔が、やる気に満ち溢れる。
「さぁー!!!みなさん!
知恵の試練!お疲れ様です!
合格者も120名くらいでしょうかね!
次の勇気の試練で、最後になります!
それでは!最後の試練!
さっそく、やっていきましよう!」
遂に、最後の試練が始まる。
「次で、最後・・・。」
「そして、本戦に行ければ。」
「夢が叶うかもしれない。」
前の2つの試練と違って、
冒険者達全員が静かに最後の試練の発表を待つ。
「さぁ・・・いよいよ最後の試練です!
試練の内容は〜〜〜〜!こちら!!!」
ドムの合図で、幕が降り出す。
「パートナーの夢を応援しろ!
自分の夢を諦めろゲーム!!!です!」
発表の瞬間、会場が静かになる。
「えー!みなさん!最後の試練ですよ!
ちゃんと聞こえましたでしょうか?」
会場の冒険者に確認を取るが、
返事は無い。
「どうゆうことだよ!!
パートナーの夢を応援しろって!!!」
「意味わかんねぇよ!」
「何だよ!このゲーム!」
冒険者達の文句が始まる。
「えー・・・、
一応、この試練の選定理由としましては、
国王曰く願いは、一つしか叶えれない
のでペアで優勝しても、
1人しか願いは叶えれません。
なので、ここで誰の夢を叶えるのかを
決めてもらいます!とのことです。」
いつもの元気なテンションでなく
歯切れ悪く選定理由を、冒険者に伝えるが
「ふざけるな!!」
「いい加減にしろ!」
「なんで、ここまで来て
夢を諦めなきゃいけないんだ!!」
非難の声は、収まらない。
「み、みなさん!
静かにして下さい!」
ドムは、非難の声に戸惑いながらも
必死に進行を務める。
「誰が、ここで諦めるかよ!
おい!お前諦めろ!」
「はぁ?ふざけるなよ!
お前が諦めろよ!」
「ふざけんな!クソが!!」
残ったパーティのペア同士が、
喧嘩を始め出す。
「えー!みなさん!
夢を叶えれる方を選ぶのを
どういう方法で決めるのかは、
みなさんで決めて下さい!
決まった方は、こちらに入って下さい!」
ドムが、指を差した方向には
黒いテントが張ってあった。
「あちらのテントに入って、
中にいる人にどちらが夢を叶えるかを
伝えて下さい!
先着64名!32組が本戦へと進めれます!
そ、それではみなさん頑張ってください〜!」
と会場全員に言い残してドムは、
会場裏に入っていった。
「おらぁ!!!」
「がっ!!」
パートナーであろう冒険者を殴り飛ばす。
倒れた冒険者に馬乗りになり、
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
と殴る冒険者。
「この貧乏な冒険者生活を抜け出してやるんだ!
言うこと聞けぇ!!!!」
叫びながら何回も顔を殴る。
「ぐっ!がっ!!ぅ!!っ!
言うこと聞くかよ!クソが!!」
「っ!ぐぅっ!!!」
殴られてる冒険者が、
馬乗りの冒険者の首を絞める。
「お、おい!やめろ!」
「まずいだろ!」
暴れていた二人の冒険者を、
周りの人間が抑える。
「くそぉ!!!こんなところで!!
なんで!!」
「俺の夢・・・・。」
「うぅ・・・どうしたら。」
落ち込む者、叫ぶ者、放心する者。
負の感情が会場に渦巻く。
「どうしようかね〜。」
「うーん。どうしましょう?」
「どうするジェイク?」
「・・・ん゛〜。」
〈白の英傑〉の4人も黙り込む。
「まぁ、いいか!
ナティカ!お前が夢を叶えろ。」
ライルが口を開く。
「え!!私??」
ナティカが驚く。
「ライル・・・あなた・・・叶えたい夢が
あったんじゃないの?」
「俺は、美人でおっぱいのデカい姉ちゃんに
モテまくりたいだけだ!!」
大声でライルが夢の内容を話す。
正直、かなりモテているのに
まだモテたいようだ。
「ナティカは、何の夢を叶えたいんだ?」
「わ、私は・・・理想の恋人が
欲しいくらいで・・」
「ならお前だな!!
彼氏が1人もできないんだから!」
「ちょっと!!!大声で言わないで!」
ライルとナティカが喧嘩しだす、
さっきの冒険者達みたいな殴り合いじゃなく
面白おかしいような、変な喧嘩。
「いいから、優勝した時はお前が叶えろ。
そして10年後に俺の夢を叶えるために、
もう一回、夢叶戦祭
に出てくれ。」
真剣な眼差しで、ナティカを見る。
「本当に、いいのね?」
「あぁ。」
「・・・わかったわ。
その時は協力するわ。
・・・テントに向かいましょうか。」
こうして、2人はテントに向かった。
「二人共凄いわね・・・。」
「う゛ん」
ナティカとライルを後ろで見つめる2人は、
ライルのことを尊敬した。
10年に1度のチャンスをナティカに譲るのは、
かなりの覚悟と勇気が必要だ。
「・・・夢は・・・
メ゛ルアが・・・叶えてほしい。」
「わ、私!?」
ジェイクの言葉に
メルアは、素っ頓狂な声で驚く。
「ジェイクは、叶えたい夢は無いの?」
「俺゛の夢は・・・既に叶っているから・・・
あと・・・メ゛ルアに夢を叶えて欲しいから」
「そう・・・なの?」
「うん・・・だから゛・・・メルアが
夢を叶えて・・・。」
本心でメルアの夢を叶えてあげたいと
感じ取ったのか、メルアが
真剣な表情になる。
「わかったわ・・・私が、夢を叶えるわ。
ジェイク!本戦もよろしくね!」
「う゛ん!」
2人は笑顔でグータッチをして
テントに進んだ。
「・・・あの二組すげぇよ。」
「あぁ、俺たちは自分のことばかり。」
「だからあの人たちって、すげぇんだな。」
周りの参加者は〈白の英傑〉4人を見て、
自分たちとの差を感じていた。
「あんな人間にどうやったら
なれるんだろうな?」
「・・・さぁ?俺は、人のために
夢諦めれねぇ〜。」
「だよな、俺も。・・・
10年後になったら
あの人たちみたいになれるかな?」
「・・・頑張っていくしかないな。」
参加者達は、〈白の英傑〉の4人を見て
立ち尽くす者
「お前が、夢を叶えろ!」
と感化されてテントに進む者。
に分かれていった。
〜テント内〜
「蝋燭?・・・。」
ジェイクとメルアがテントの中に入ると
そこは、蝋燭が数本灯されていた。
だが、テントは大きいため
薄暗くて中がよく見えない。
「ライル達は、どこにいるのかしら?」
テント内には、ライルとナティカの
姿は無かった。
「次は、君たちか。」
暗闇から、声が聞こえる。
「誰かしら?」
声のする方を振り向くと、
1人の老人が立っていた。
首まで伸びた白髪に、長くて白い髭、
高級さが伝わる緑のマントに
白の絹の服を身に纏った老人。
目からは、老人と思えない力強さと
高貴さを感じる、強くて綺麗な緑の瞳をしている。
「あなたは、レスタルム王!」
暗闇から、この国の王が現れる。
「あ、あ、あなたが、何故ここに?」
突然の王の登場に驚いたのか、
メルアが焦って質問する。
「私は、この大会の主催者だよ?
本戦に出場する選手を
一目見たいののだよ。
君たち二人が、参加してくれるなら
楽しい大会になりそうだ。」
ニコッと笑う王。
「さぁ、どっちが夢を叶える権利を
もらうのか教えてもらおうか。」
笑顔だが、力強い瞳でこっちを見る。
「・・・私が、願いを叶える権利を貰うわ。」
メルアが、質問に答える。
「・・・ジェイクくん、
本当にいいんだね?」
レスタルム王は、ジェイクを
真っ直ぐに見つめて確認を取る。
「・・・はい。」
ジェイクも、負けじと王を見て返事をする。
「・・・・よかろう。
ならば、君たちは本戦出場だ。
おめでとう。」
レスタルム王は、ニコッと笑いながら、本戦出場を祝福する。
「やったわね!ジェイク!」
「・・・ん゛!」
中々変な試練を突破できた喜びで
ジェイクとメルアは、お互いを見て笑い合った。
「本戦は、選りすぐりの冒険者達との戦いだ。
楽しい大会になることを楽しみにしているよ。」
「・・・あの、レスタルム王。
一つ質問してもよろしいでしょうか?」
「何だね?」
「どうして、最後の試練が
勇気の試練なのかをお聞きしたくて。」
明日の夢叶戦祭を
楽しみにしているのか、
笑顔のレスタルム王に、
メルアが質問する。
最後の試練は、勇気の試練。
内容は、ペアのどちらかしか願いを
叶えることができないので
誰が夢を叶えるのかを決めろという内容。
勇気とはまた別物の試練であると
メルアは疑問に思ったのだろう。
「・・・君たちは、勇気とは
何で出来てると思うかね?」
「勇気が・・・何で出来てるかですか?」
「左様、答えたまえ。
・・・私が思う考えと違っても
不合格にはしないから安心して答えてくれ。」
勇気が何で出来てるか?
考えたことも無い内容に
ジェイクとメルアが戸惑う。
「・・・恐怖に打ち勝つ心です。
勇気の行動は、恐怖に立ち向かうための
心です。恐怖に打ち勝つ心で
勇気は出来ていると思います。」
メルアが答える。
「なるほど、私の考えが正解とするなら
半分正解と言ったところだな。」
レスタルム王は、
メルアの言葉に感心しながらニコッと笑う。
「レスタルム王は、勇気が
何で出来ていると思っているのですか?」
メルアが言ったことが半分正解なら、
残り半分の答えは、何なのだろうか?
メルアは、王の考えを聞く。
「私の考えでは、恐怖に打ち勝つ心と
自己犠牲の精神だと思っているよ。
例えばの話、恐怖に打ち勝つというのは、
怖いと思う心を犠牲にしている。
つまりは、自分も怖いと思っているけど
何かに勝つためなら、自分はどうなってもいい。
という自己犠牲の精神も
勇気を構成する物だと考えているよ。」
怖いモンスターであれ、困難クエストであれ、
恐怖に打ち勝つために自分自身を
犠牲にしている。その精神性が、勇気を構成しているかもしれない。
「最後の試練は、自分の夢を諦めて
パートナーに夢を叶えさせる自己犠牲の勇気と
自分の為に夢を諦めてくれた人間の思いを背負う
覚悟が必要なのだよ。
まぁ、君たちにはあまり関係なかったようだがね。でも、ジェイク君のメルアさんを優勝させてあげたいという言葉も、人のために自分も戦うという自己犠牲の勇気だと思っているよ。」
「え!聞いていたんですか!!」
メルアとジェイクしか分からないはずの
言葉を、王は知っていた。
「あぁ、私の祝福は
そういう能力だからね。」
ニコッと、笑う王。
「疑問は、晴れたかい?
晴れたなら本戦出場者は、こちらの出口から出てくれ。」
と王が、指を差す。
「疑問に答えてくださり、
ありがとうございました。」
ジェイクとメルアは、頭を下げる。
「いや、いいんだよ。
明日の戦いを楽しみにしているよ。」
ニコッと笑う王の言葉を聞いた後は、
出口へと向かった。
「おお!!やっぱり2人共合格したか!」
「2人共、お疲れ様。」
出口を出ると、ライルとナティカがいた。
「2人も合格したのね。よかったわ。」
テント内に、2人の姿が見えなかったので
不安に思っていたのだろうか
メルアは、安心した様に笑う。
こうして、〈白の英傑〉の4人は、
無事に本戦に出場することが決まった。
〜1時間後〜
「さぁ!みなさん!
遂に!64名!32組の
本戦出場者が決定しました!
明日の本戦は、純粋な強さの
勝負となります!!
みなさん!
明日に備えて、ゆっくり休んでください!
それでは、皆さん!
さようなら〜!!」
ドムが、会場の冒険者に挨拶をした後、
会場裏へと去っていった。
「絶対優勝するぞ!!!」
「どっちが、勝っても文句なしよ?」
「えぇ!!正々堂々勝負だわ!!」
「・・・・ん゛!」
明日は、自分達4人を含め
本戦出場者の誰かの夢が叶うのだ。
4人は、興奮でワクワクしていた。
夢を叶えるために戦う
10年に一度の祭典が、
今、始まる!!!!




