選考会1
読んで下さって、ありがとうございます!
〜レスタルム王国 エナーテカ広場〜
10/18(土)
夢叶戦祭
選考会当日
無事にペア登録を済ませた〈白の英傑〉の4人は、
選考会の会場のエナーテカ広場に来ていた。
レスタルム王国でも、一番広いと言える広場だ。
広場には、大きなステージが作られていて、
左側には、小さめの階段がついている。
右側には、2人が座れるくらいのテーブルが
用意されていた。
「すごい人の数ね。」
夢叶戦祭は、
主要都市ルービの冒険者だけでなく、
地方の冒険者も、参加していた。
周りを見渡しても人だらけである。
ざっと見ても、5千人は超えている。
「この中から、32組
64人が本選に出場か〜。」
「中々、厳しい選考会になりそうね。」
ライルやナティカの言う通り、
かなりの人間がここから落ちることになる。
それも、選考会の内容が
わからないという状況だ。
もしかしたらすぐに落ちてしまうという事も
ありえる。
カッ・カッ・カッ・
左の階段から、一人の青年がステージに立つ。
オレンジのマッシュヘアーに
右目に涙ぼくろ、白い肌で
糸のように細いつり目で
服装は、白シャツ、オレンジのベスト、黒の蝶ネクタイ、白黒のストライプパンツに
黒の革靴を履いている。
「えー・・・音量増幅魔法」
青年は、蝶ネクタイに音量増幅魔法を掛ける。
「みなさん、聞こえますでしょうかー!!
おはようございます!!
本日は、夢叶戦祭
選考会に参加していただき
ありがとうございますーー!!!
今回の選考会の司会を務めさせて
頂きます。ドム=ナエカと申します!!!
本戦も引き続き司会をさせてもらいますので
今日と本戦の2日間よろしくお願いしまーす!!!」
大きな声でハキハキとドムが挨拶する。
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
冒険者達の拍手が鳴り響く。
「始まったわね!」
目が輝き出すメルア。
ワクワクする感情が抑えられていないようだ。
「よっし!やってやるか!」
「まずは、32組に残らなきゃね!」
ナティカとライルもやる気を出す。
「・・・たくさんの
拍手ありがとうございます!!!
拍手の音だけでも相当な人数が、
参加されていることがわかりますね!!!
時間も限られていることですし
さっそく、選考会の流れを
説明させて頂きます!!!
えー・・・選考会で行うのは、
レスタルム王が直々に用意された
3つの試練です!!!
その3つの試練とは、
愛と知恵と勇気の
3種類の試練になります!!!」
「愛と?」
「知恵と??」
「勇気???」
ナティカ、ライル、メルアの順で口を開く。
全員どんな試練なのか考えているようだ。
「えー!レスタルム王曰く、
冒険者には、愛と知恵と勇気が
必要不可欠と断言しておりました!!!
人を助ける行動、人を思いやれる愛
窮地を脱することや、
厳しい環境を生き抜く知恵、
そして困難に立ち向かう勇気こそが、
冒険者に必要な資質とのことです!!!」
この3つの資質を持っている者こそが
本戦に選ばれるべき冒険者だ!
とのことです。
愛、知恵、勇気の順で試練を行います!!!
さっそく愛の試練をして行きましょう!!!」
「ついにか!」
「なんだ!!なんだ!!」
「しゃぁっ!やってやるぜ!」
冒険者達が、騒ぎ出す。
我こそは、夢を叶えてやるという
意気込みを感じる。
「みなさん!静かにしてくださいね!
それでは、愛の試練!内容はこちらです!!」
ドムが手を上に上げる。
バッ!
その瞬間、何かが書かれた幕が降りてくる。
「愛の試練!!!
パートナーに対して愛を叫べ〜!!!」
ドムが、大きな声で試練の名前を発表する。
・・・・・・・・・・・
会場全体が静まる。
「「「「「「「「「「「は!!!??????」」」」」」」」」」」
冒険者全員が、同じ言葉を
同じタイミングで口にする。
想像していた試練とは、全く違うものだった。
「えー!こちらの試練!
ステージに上がってもらい
パートナーへの愛や
相手に思っている良い所を叫ぶと言った
シンプルな試練になります。
ペアの片方が愛を叫んだ後に、こちらで用意した
心理学を研究してる2名の方に、審査をしてもらいます!!!」
ドムが、続けて説明する。
「ふざけるなーー!!」
「これが試練なわけないだろうが!!」
「くたばれー!!」
冒険者達が、罵詈雑言をドムに吐く。
あまりにも、強さとは関係無い試練なので
納得のいかない者もいるようだ。
「えー・・・皆さん!静かにしてください!!
国王曰く今回の夢叶戦祭は
ペアでの戦いになるので、
パートナーとのコンビネーションが
必要不可欠となります!
パートナーのへの愛の強さは
パートナーの絆の強さであり、
それは、ペアで戦うの時の強さにも繋がります。
パートナーへの、愛も叫べない
不純なペアには、本戦に出る必要は
ないとのことです!!
また、人を褒める行為もできない冒険者は、
人を見ていないし
人を思いやれる愛も無い。
つまり、冒険者の資質が無いという
理由でこちらの試練となりました!!!」
試練が選ばれた理由を説明するドム。
レスタルム王が、言っていることは、
的を得ていると思う。
冒険者は、1人で行動することが少ない。
何故なら、クエスト中に死亡する確率が
高くなるからだ。
だからこそ、パーティを組むし
人との連携が取れないと、
自分たちの実力を発揮できない。
パーティを組む上での、基礎である。
「それでは、審査員の方のご登場です!
どうぞ!」
ドムの合図で、二人の男女がステージに上がる。
1人目は、銀と赤い紐のループタイをつけた
白衣の老人
2人目は、真珠のネックレスに緑のドレスを着た
美女だ。
「ソウ=ファダーだ。よろしく。」
「ヴィーラ=セントスです。よろしくね!」
「こちらこそ、よろしくお願い致します。
それでは、あちらの席にお座り下さい。」
2人の審査員が、挨拶した後
ドムの案内で、ステージ右側のテーブルに座る。
全員の声が聞こえるということは、
何かに音量増幅魔法が
かけられているのだろう。
「なんだよ!この試練!!」
「やってられらっか!バカ野郎!!」
冒険者達の罵詈雑言が止まない。
「合格基準は、
全部審査員の独断と偏見で行われます!!
愛を叫べ無くても、人への愛が無いと
判断された場合、
失格となる可能性がありますので、
言葉には、お気をつけください!!」
ドムの説明で、罵詈雑言が止む。
悪口でも、不合格になる可能性が
あるということだ。
「ちなみに、愛を叫ぶ順番は
決まっておりません!!!
左の階段の先頭に来た方から、
1名ずつステージ上で、愛を叫んでもらいます!
この試練の合格者上限は、
先着1000名です!
早い者勝ちとなります!!!」
早い者勝ちという言葉で、
冒険者達が、ざわつき出す。
「は、早い者勝ち??」
「嘘だろ!!」
「え、早くステージに上がらなきゃ!」
冒険者達は、戸惑う。
10年に1回の大会が
これだけの人数の中、
合格者1000名の中に
入れないと終わる。
それも早い者勝ちで。
周りに緊張が走り、ピリッとした空気になる。
「それでは!さっそく行きましょう!
・・・・よーい!!!
スターート!!!!」
開始の合図が会場に響く。
「ちょ!どっちが行く!!?」
「お前が行けよ!!」
「え、恥ずかしすぎる!!!」
開始の合図と共に
戸惑う者、片方に行かせようとする者、
恥ずかしがる者。
「うぉぉぉぉ!!俺が先だ!!」
「ふざけるな!俺だ!!!」
「俺だ!俺が先に合格するんだ!!!」
階段の先頭を争う者たちで、
冒険者達が分かれる。
「とんでもない試練ね。」
周りの騒ぎを、傍観するメルア。
「まぁ、楽しくなってきたじゃん!」
ニカッと、楽しそうに笑うライル。
「ライルの、こういうところ・・・
うらやましいわ。」
頭を抱えるナティカ。
「とりあえず、俺が行ってくるか!」
「ええ、よろしく頼むわ。」
「おう、任せろ!」
ライルがナティカに宣言し、
階段に向かおうとした瞬間。
「階段前で争っている人間と・・・
パートナーに行かせようとした人間・・・
手を上げろ・・・
手を上げた者、全員不合格だ。」
審査員の一人、ソウが口を開く。
「え?」
「どゆこと?」
「不合格?」
冒険者達が、戸惑う。
「パートナーを行かせようとする者には、
自分がやりたくない、めんどくさい、
恥ずかしい等の理由で、人に押し付けている。
階段前で争っている人間は、
先に譲れば良いのに
自分のことしか考えていない。
どちらも、人を思いやる愛が無い。
だから不合格だ。」
不合格の理由を、説明するソウ。
「お、俺たち争ってないし!なぁ?」
「そうだ!俺たちは、ただどっちが
行くのかを話し合ってて・・」
「うんうん・・・」
階段で争っていた冒険者達が
次々に、口を開く。
「だいたい、こんな事で不合格に
なってたまるかよ。・・・ぐっ!!!」
一人の男性冒険者が、苦しそうにする。
「お、おい!お前!大丈夫・・・
がっ!!!」
「お前もどう・・・ぐぁぁ!!!」
口を開いた冒険者達が、苦しみだす。
「さっさと手を上げた方がいいぞ。
私の祝福、真実に逆らう者の末路の効果で気絶することになるぞ。
私の言った命令に
逆らう者、嘘をつく者は苦しむことになる。
気絶するまでな。」
ソウの祝福により、
階段前で口を開いた男性が、
苦しみだす。
ソウの言ったことに対して、
嘘をついたからである。
「早く手を上げないと気絶するぞ。そこの3人。」
ソウが、苦しんでる冒険者達に向かって
忠告する。
「ぐぅっ!!ふん!」
「うらぁ!」
「あ゛ぁ!」
苦しんでいた冒険者達が、手を上げる。
「・・・苦しくない。」
「・・・本当だ。」
「苦しみが・・・消えた。」
3人の顔色が元に戻っていく。
「嘘だろ!」
「く、苦しむのは嫌だ!」
「くっ、くそっ!!」
次々に、会場の冒険者が手を上げだす。
「手を上げた者は、不合格だ。
パートナーと一緒に帰りなさい。」
ソウのこの言葉で、たくさんの人間が
去っていく。
「クソ!!」
「・・・また10年後か。」
「なんでこんなことに・・・」
苛つく者、遠くを見つめる者、涙を隠す者など、
どの冒険者も、負の感情と表情で去っていく。
「どんどん人が、いなくなるわね。」
「あぁ。」
ナティカとライルが、会場を見渡す。
あんなに人だらけの会場だったのに
かなり減ってしまった。
「さぁ、まだ1人も愛を叫べてないぞ。
早く愛を聞かせておくれ。」
言い終わった後に、ニヤッとするソウ。
「本戦出場まで行きたいけど・・・。」
「これは、中々やべぇな。」
「・・・うん。」
「・・・・・」
(壇上で、愛を叫ぶのやばすぎる!)
夢叶戦祭の選考会
は始まったばかりであるが、
容易く本戦に行くことはできないのだと
〈白の英傑〉の4人は悟った。




