あの日
読んで下さり、ありがとうございます!
冒険者達の夢叶戦祭
に参加するため、
〈白の英傑〉とのコンビ交渉は
メルアの風魔法により、
誰ともコンビが組まれることは無く終わり
ギルドに全員で帰還した。
冒険者達は、ボロボロの状態で
自宅へと帰っていった。
「さて、今度はジェイクと誰がコンビを組むか。
決めましょう。」
メルアがジェイクを見る。
元々は、ライルとナティカとメルアの3人が
誰がジェイクと組むかで揉めたのが
事の発端である。
まさか、30人からコンビを組んでくれと
お願いされると思ってなかった。
「そ、そうね〜。」
「だ、だな〜。」
ナティカとライルの顔色が悪い。
「二人共、どうしたの?」
メルアが心配そうに二人を見る。
「・・・・・あ゛の・・俺、ナティカと組むよ。」
ジェイクが口を開く。
「えー!!・・・なんでよ!!
私と組みましょうよ!」
突然のジェイクの発言に戸惑う。
「・・・メルアは、ラ゛イルと組んだ方が
・・・」
「え?なんでライルと?
ライルは、強いけど・・・」
「・・・ライルと組んだ方が・・」
「・・・私と・・組みたくないってこと?」
手を強く握り、俯くメルア。
「・・・何よ。私と組みたくないなら
そう言えばいいじゃない!!」
ジェイクの発言にメルアが
涙目になりながら怒る。
「ちょっ!ちょっとストップ!ストップ!
喧嘩しないで。
とりあえず、ほら今日はペアの話は辞めて
一緒にご飯を食べに行きましょ!」
ナティカが仲裁する。
このままにしておくのは、
まずいと思ったのだろう。
「そ、そうだなぁ〜。
みんな、今日は俺がご馳走するぞ〜。」
ライルは、ナティカに便乗し
険悪な雰囲気を和ませようとする。
「あんた、金無いじゃない。」
「あ、」
ライルが自分が金が無いことを
思い出し、メルアから睨まれる。
「・・・私はいい。今日は帰るわ。」
「ちょっ、ちょっと!メルア!」
ナティカが止めようとするが
バンッ!!とギルドのドアを勢い良く閉めて
メルアは、自宅へと帰っていった。
「・・・ごめ゛ん、ナティカ、ライル
俺、帰る。」
「あ、ジェイク・・・」
止めようとするが、落ち込んだジェイクに
声を掛けることが出来なかった。
「・・・・・・」
ゴッ!!!!!
「痛ぇ!!!!何するんだよ!ナティカ!」
ナティカが無言でライルに拳骨をする。
「・・・ごめん。」
「・・・ふぅ、まぁいいけどよ。
あの二人どうしようかね?」
「とりあえず勘違いを
解かないことには・・・
時間が解決するかしら?」
「まぁ、2人次第だな。
今日は、俺たちも帰ろうぜ。」
ライルとナティカの2人は、
時間が解決することを祈りながら自宅に
帰ることにした。
―――――――――――――――――――――――――――
〜主要都市 ルービ カイマ街の通路〜
メルアは、早足で自宅へと歩く。
(何よ!何よ!何よ!!!
私は、ジェイクとコンビ組みたいのに!
優勝して、願いを叶えて
ジェイクとこ、こ、こ、こ、恋人に
なりたかったのに!!)
目から涙が出てくる。
何でこんなことになったのか
頭の整理ができない。
「・・・私だけだったのかな。
好きなの・・・」
メルアは、立ち止まり壁にもたれかかる。
(誕生日に上げた腰布を大事に巻いてくれたり、
プレゼントでネックレスをくれたり
自分に少しくらい好意があると思っていたのに
私の一方通行だったのかな?
・・・もしかして、ナティカのことが・・・)
「・・・あ〜!!もう!!」
嫌な考えが止まらず
イライラが止まらない。
「・・・・帰ろ。・・・ん?」
また、自宅に帰るため足を動かすと
何かが聞こえる。
「炎の槍!!」
どこからか、魔法の詠唱が聞こえる。
「・・・何かしら?」
メルアは、声が聞こえる方に行く。
「炎の槍!」
声の方角に向かうと一人の魔法使いの少女が
炎の魔法の練習をしているようだ。
水色の髪に、白シャツに
水色のリボンが胸につけてある
紺色のスカートと紺色のブーツを履いている。
顔立ちは、あどけなくも
化粧をしたらかなりの美人になりそうな顔だ。
川に向かって魔法を放っているが
放った炎の槍は、グニャグニャに
曲がっていた。
「はぁ・・・はぁ、
どうして!どうして!できないの!?」
魔法が上手くいかずにイライラしている少女。
「イメージが足りてないのよ。」
「え?・・・メ、メルアさん!!!?」
声をかけられた方角に
振り向いたらメルアがいた。
「基本は、イメージで槍の形を
イメージをすることが大切よ。
槍は、持ってないかしら?」
「も、持ってないです!!」
少女は、戸惑いながら返事をする。
「あると、イメージしやすくて
いいわよ。収納魔法
・・・・えっとどこかな?
あ、あった。はい、槍。」
収納魔法の中から槍を取り出して
少女に渡す。
「あ、ありがとうございます。」
「槍を見つめてイメージしなさい。」
「は、はい。」
メルアに言われた通りにイメージする。
「ふ、炎の槍!!」
炎の鋭い槍が完成し、
すごい早さで飛んで行く。
どぽぉーーーっん!!!と
川から飛沫が上がる。
「や、やったぁ!!!できた!!」
魔法を成功させたことで
嬉しかったのだろう
大声で喜ぶ。
「できたじゃない。あとは使えるようになるように、自分で頑張りなさい。」
「はい!ありがとうございます!メルアさん!」
その後メルアは少女に手を振りながら
自分の自宅へと帰ることにした。
「・・・私もあんな時があったなぁ。
魔法ができるようになる喜び。
私もたくさん修行したわ〜。
でも、本格的に自分を鍛えたのは・・・
あの日からよね。」
――――――――――――――――――――――――――――
〜3年前〜
〈白の英傑〉を結成してから
2年後の、とある洞窟でのクエスト中。
この頃は、Cランクパーティだった。
「キャァ!!!!!」
メルアがオークの攻撃を食らい
後ろに倒れる。
気絶しているのか起き上がろうとしない。
「メルア!!」
ナティカが叫ぶも、
あまりにも数が多くて
メルアを助けにいけない。
オークは棍棒を振り下ろそうとする。
ゴッ!!!
ジェイクが両腕を広げて
メルアをかばうように立つ。
殴られた頭部から血を流している。
「っ!!ふん!!!」
ジェイクが振り返り、
オークの腹部を殴る。
「ぐぉぉほっ!!!」
オークが吹っ飛んでいく。
「よし!!撤退しよう!!!」
ライルがそう言うと
ガシっ!
ジェイクがメルアをお姫様抱っこする。
〈白の英傑〉の4人は
洞窟の出口まで全速力で逃げて
外に出ることに成功した。
「はぁ・・・はぁ・・・
緑コウモリの討伐クエストは終わったのに
まさか、オークの大群に襲われるとはな。」
「・・・ナ゛ティカ・・メ゛ルアが」
「うん!回復魔法」
「・・・んっ・・・ここは?」
メルアが目を覚ます。
「無事に脱出したわよ。ジェイクが
助けたの。」
「・・・あ゛りがとう。
ジェイク・・・頭から血が。」
「・・・大゛丈夫。」
ジェイクは、そう言うと
メルアを安心させるために
ポンポンッと肩を叩いた。
「ジェイクにも回復魔法。」
ジェイクの頭部からの血が止まる。
「・・・ありがとう。」
「とりあえず、こんな状態で
帰れないし、近場で野宿するか。」
「そうね。」
「・・・うん。」
ライルの提案で洞窟から
離れて野宿することにした。
〜5時間後〜
みんなで焚き火を囲みながら
食事をして、眠りについた真夜中。
・・・・ザッ、ザッ、ザッ。
(ん?何か足音が聞こえる。)
メルアが目を覚ますと
ジェイクが森の中に入って行った。
(ジェイク?)
メルアも起きて、ジェイクに
ついて行くことにした。
800mくらい歩くと
ドッ!!ドッ!!ドッ!!!
近くから変な音がする。
「何かしら?」
音のする方へ行くと
大木が揺れていた。
「・・・行ってみよ。」
さらに音のする方へ近づくと
ジェイクがいた。
(何をやってるのかしら?)
木の陰からこっそり覗くと
大きな大木を殴っていた。
「ふっ!!ふっ!!ふっ!!!」
ドッ!!ドッ!!ドッ!!
殴るたびに大木が揺れる。
「ジェ、ジェイク!」
「・・・メ゛ルア。」
ジェイクに思わず話しかけてしまった。
「何をやってるの?」
「・・・修行。」
ジェイクは、そう言ったあと
ドッ!ドッ!!と
また、木を殴るのを再開する。
「・・・今゛日は、ごめ゛ん。」
「え?」
ジェイクが木を殴りながらメルアに謝る。
「俺゛がオークをメ゛ルアに近づかせな゛い
ようにしなきゃいけなかった・・」
「そ、そんな!あれは私が
トロかったから。」
「・・・でも、メ゛ルアに攻撃が・・
それが・・・悔しい。」
ジェイクの顔がどんどん険しくなる。
ドッ!!!ドッ!!!!ドッ!!!!
木を殴る強さが強くなる。
「そんな・・・そういうこともあるわよ。
誰しも完璧に役割を全うできる
わけじゃないじゃない。
・・頭も怪我してるし、みんなのところに
戻りましょう。」
「・・・嫌だ。」
メルアの提案を否定する。
「もう、明日頑張ればいいじゃない。
ほら!」
ジェイクの道着を引っ張るが
1ミリも動きもしないし
動こうともしない。
「ジェイク〜!!」
体全体を使うが全く動かない。
「・・・俺は・・・
今、頑張りたい・・・
明日じゃなく・・・今。
・・・強さは、そう簡単に手に入らないから。」
ドッ!ドッ!ドッ!!!!と
木を殴る手をやめない。
「・・・どうしてそこまで・・」
「・・・メルアやみんなに・・・
いなくなって欲しくないから・・・」
ドッ!ドッ!ドッ!
その夜、ジェイクは木を殴り続けた。
ジェイクがその日木を殴り続けたからといって
強くなったかわからないけど
あの姿に心打たれた。
――――――――――――――――――――――――――――
あの日からというもの、
〈白の英傑〉の4人は、
とても強くなっていった。
みんな、足りない部分を鍛えていった。
1年後にはSランクパーティになり、
街のみんなからは英雄として扱われる
ようになった。
「・・・あそこからだっけ?
ジェイクのことを好きになったの。・・・。
今日はなんでライルと組ませようと・・・
なんか、ムカついてきたわ。」
今日のことを思い出す。
こっちに目を合わせようともせずにペアの拒否。
「・・・ジェイク・・・
私はあなたと以外にペアを組む気は無いわ。」
〜次の日〜
(あ〜〜!!気になって寝れなかったよ!!
メルアがライルのことを好きだったなんて!)
ジェイクは、頭を抱えながらギルドのベンチで
3人を待っていた。
(でも、何で怒ったんだ?
好きならライルと一緒になりたいんじゃ。)
メルアの怒った顔が脳裏によぎる。
(あんな、顔をさせたかった訳じゃないのに。
どうして・・・・)
そう心の中で嘆いていると。
「おっはよー!ジェイク!!」
「おはよう。ジェイク」
ライルとナティカがやってきた。
「・・・お゛はよ゛。」
「うわ!目の下に隈ができてるぞ!」
「・・・ひどい隈ね。」
「・・・・」
ジェイクは、一睡もできなかったので
目の下に大きく、真っ黒の隈ができていた。
「あ、そう言えば・・・」
ライルが何か言おうとした瞬間。
「おはよう!!」
大きな挨拶が聞こえる。
声の方を見るとメルアだった。
こっちに向かって歩き
3人の前で止まる。
「・・・ジェイク=ゲラルド!!!
・・・私と!!勝負しなさい!!!」
メルアがジェイクに決闘の宣言をする。
「「え!?」」
ナティカとライルが固まる。
「ちょっと!メルア!っ!」
ナティカが止めようとするが
メルアは、手を前に出して止める。
「もし・・・・私に負けたら
私の言うことを聞きなさい!!」
(・・・え??何?どゆこと??)
ジェイクの脳では、理解が追いつかない。
「おお!!ジェイクさんとメルアさんが
勝負するんだって!!」
「うぉぉー!!すごい試合だ!!」
「これは、見たい!」
「どっちが勝つんだ!!」
ギルド内が大騒ぎになる。
「さぁ、ギルド内は大騒ぎよ。
この空気で断るのかしら?
最強の武闘家のジェイクさん。」
ジェイクに手に持っている
杖を向けて煽るメルア。
(どうして・・・・こんなことに)
こうして予期せずして
レスタルム王国、最高の魔法使いと最強の
武闘家の戦いが決まった。




