英雄達の帰還
読んでくださってありがとうございます。
トアチの洞窟から12時間後
「今日は、ここで野宿にしようか!!」
ライルが全員に向かって叫ぶ。
「はい、そうしましょう。」
「私達もそれで大丈夫です。」
〈赤の大鰐〉リーダーのガハルトと
〈青の飛竜〉リーダーのティアから
承諾を得て、ご飯の準備をする。
「あっ!ダメダメ!ニンジンは
もう少し茹でないと
おいしくならないわよ!」
「すごい!メルアさんって
料理がお上手なんですね!」
メルアが青の飛竜のティアと
メンバーの美女達で
料理についての談笑をする。
「いい!男の胃袋を掴むことは
男の心を掴むことなんだからね!
味に、こだりわりなさい!」
「「「「「「「はい!メルア先生!!」」」」」」」
なんか、料理教室が始まってる。
メルアがやたらとこっちを見るのは
気の所為だろうか?
「ナティカさん!!僕たちと
お話させてもらえませんか??」
ナティカは、〈赤の大鰐〉の
男性達に囲まれていた。
「えぇ、喜んで」
ニコッと笑うナティカ。
「ぐはっ!!胸が締め付けられる!」
「これが最高峰の美貌を持つナティカ様!!」
「うとぅくしい・・・・」
ナティカは、罰で
かなり太っていたが、
脂肪燃焼の魔法で
かなり痩せていた。
「あら、大丈夫かしら?胸が痛いの?
大丈夫??」
と男性の胸を心配そうに触るナティカ。
「ぐはっ!!!!!!!!!」
触られた男が後ろに倒れる。
「大丈夫かーー!!!」
「しっかりしろー!!!」
倒れた男を介抱する二人。
「あら、二人とも優しいのね♡
こんな二人と付き合えたら
最高ね♡」
「「「「「「ぐはっ!!!!!」」」」」」
ナティカの言葉で一斉に倒れだす男たち。
「ふふっ♡」
さっきまで太っていて
落ち込んでいたが
男性にもてはやされて
すっかり調子を戻したようだった。
「なぁ!!あの店!!
おっぱい大きくて可愛い子が
多いんだよ」
「ナンセンスだな。スレンダーな体型こそ
最高だろ。」
「いいや!!ムチムチのぶりんぶりんな
体型こそ!至高だ!!!」
ライルと〈赤の大鰐〉の男性陣が
下衆な話をしている。
「しーーっ!静かにしろ!女性陣に聞こえるぞ。」
「はっ、すまない!ここは、男の花園だった。」
「あぁ、こっそりとこういう話をするのが
まさに最高だ。秘密は守られねばならない。」
「「「我ら!スケベ三銃士!!!
がはははははっ!!!」」」
と大声で喋るスケベ三銃士。
料理教室の女性陣が冷たい視線を
送られていることに気づいていなかった。
「・・・となり、いいかい?」
と誰かが話しかけてきた。
〈赤の大鰐〉のリーダー、ガハルトだ。
「ん゛っ・・・」
「ならば失礼するよ。」
隣に腰を掛けるガハルト。
「今回は、本当にありがとう。」
お礼を言われる。
「・・・お゛礼゛な゛ら゛メ゛ル゛ア゛に゛」
「ふっ、確かにそうなんだが
なんというか悔しいのだが
ライバルと思っている君に
言いたくて・・・」
「・・・お゛れ゛がラ゛イバル?」
「・・・あぁ、最強の武闘家
を意識してここまで頑張ってきた。
君みたいに最強と呼ばれたくて。
だが、君は遠い。私たち3組は
Sランクと呼ばれているが
その差はかなり大きい。」
ガハルトから哀愁が漂う。
「だから、さっきのはお礼は
お礼じゃないかもな。
君には、勝てないという
降参の言葉かもしれない。
あ〜〜くそっ!!最強って呼ばれてみたい!
けど届かない。それが・・・悔しい。」
ガハルトは、心の中を吐露する。
「・・・俺゛はあな゛たの方が羨ま゛しい。」
「・・・どうゆうことだい?」
ジェイクの発言の意味がわからず
質問する。
「・・俺゛は、素直な゛感情を゛簡単に
出せない。それ゛でい゛つも゛
誤解を生んで苦労する。
あ゛な゛たは、Sランク
巨大パーティのリーダーだ
人と上手く会話できな゛きゃ
な゛れな゛い。
も゛っと上手く生゛きたい。」
「・・・最強の武闘家でも
そういうことを思うのだな。」
「いつも゛、思っている゛よ。」
「はははっ!なんだかライバルと
思っていたが友達になれそうな気がするよ。
・・・また、いつかクエストで
一緒になりたいものだ。
ジェイクと呼んで良いかな?」
ガハルトが、手を出す。
「い゛い゛よ゛、俺゛もガハルトと呼ぶ。」
出された手を握り、握手を交わした。
「なら、ジェイク。ゆっくり休んでな。」
ガハルトは、そう言って
仲間の所に戻っていった。
(話しやすい人だったな〜!あんな人に
僕もなりたい。)
「あ、あの!!ジェイクさん!!!」
次に声を掛けてきたのは、
〈青の飛竜〉のティアだ。
「あ、あの!メルアさんから
教えてもらって焼いた、肉のステーキですすす!!
どうか!た、食べてもらえませんか!!?」
とステーキを差し出される。
「むきー!!!!!!」
「まぁ!まぁ!メルアさん!」
なんか、ティアの後ろで
メルアが青の飛竜のメンバーに
抑えられているのが見える。
「・・・あ゛ぁ、い、頂こう゛かな゛。」
皿の上に乗ったステーキを一口で頂く。
ステーキは噛むと柔らかく
じわっと肉汁が溢れる。
油の甘みが口の中に溢れる。
完璧な焼き方じゃないと
出せない味だ。
「う゛ん、美味いよ゛。」
「よ、よかったです!!
あの、私!ティア=ミストルティと
言います!良ければこれからも
仲良くしてください。」
と手を握られる。
ナティカに負けない程の美貌を持つ
ティアに手を握られて、耳が赤くなる。
「そ、それじゃ!私はこれで!」
と手を振りながらティアが仲間の所に
戻っていった。
「むきー!!!よくも!!ジェイクに!!!!」
「ふふっ、早いもの勝ちですよ。
メルア先生。」
なんか、メルアとティアに炎のオーラが見える。
「おっ!!ご飯できたのか!!!
なら、食べようぜ!!」
下衆な話をしていたライルが
みんなに言う。
下衆な話をしたり、ご飯を食べたり
焚き火の前で踊ったり
こうして夜が更けていった。
「むかつく!私の手料理をジェイクに
食べさせたかったのに!!」
地面に座り、拗ねるメルア。
「メ゛ル゛ア゛」
後ろから声がする。
「ジェ!ジェイク!!いたの!!?」
驚いて立ち上がるメルア。
「・・・う゛ん゛。」
「・・・もしかして、話を聞いてた?」
「・・・い゛や゛、聞い゛てな゛いよ゛。」
「そ、そう・・。ならいいわ。」
安心したのか、地面にまた座る。
「あ゛の、ごめ゛んこれ゛。」
ジェイクがポケットから出したのは
千切れた赤い腰布だった。
「これ゛直して゛欲しい゛んだ。」
「あら、千切れたのね。
わかったわ。再生」
再生の魔法でどんどん元の状態に戻っていく。
「はい!完了!
・・・大事にしてくれてるのね。」
何だか、嬉しそうなメルア。
「う゛ん、メルアがくれ゛た大事な物だからね。」
元に戻った、腰布を腰に巻く。
「これ゛があ゛ると安心する。」
「ふーん。」
メルアが、焚き火の方を見ながら返事する。
「ねぇ、ジェイク。頭に何か付いてるわよ。」
「え゛っ、どこ?」
「・・・取ってあげるから頭を下げて。」
「う゛、う゛ん。」
メルアに言われた通り、頭を下げる。
「・・・待っててね。」
メルアが頭の両端を持つ
そして
チュッ
「ん?お゛でこに、何かした??」
ジェイクは、何をされたかわかっていない。
「な、何もしてないわよ!ほら取れたわよ!
・・・ねぇ、ジェイク。一緒に
焚き火の前で踊ろ?」
メルアに手を引っ張られる。
「ま゛、ま゛って!」
二人は、お互いの手を握って焚き火の前で
踊りというか、くるくる回っていた。
こうして、楽しい夜が終わっていった。
〜次の日〜
正門前で、兵士たちがせかせかと門を開く
準備を始める。
「正門!!開けー!!!!」
ガチャン!!!!!!
大きな門が、大きな音を出しながら
開いていく。軋む音が、街中に響く。
「おお!!!ついに帰ってきたぞ!!!」
「え!もしかして!あのパーティーが!!」
街の人々が、騒ぎ出す。
「英雄達の帰還だ!!!」
「Sランクパーティー!〈白の英傑〉と
〈赤の大鰐〉と〈青の飛竜〉たちが
帰ってきたぞー!!!!」
門から3組が表れる。
「すごい並びだ!!!」
「Sランクパーティ全員集結だ!!!」
「スゲー!!感激だ!!」
歓声が沸き上がる。
「地獄の血跡を壊滅させてくれて
ありがとう!!!」
「でもさ、〈白の英傑〉が
助けに行ったんだよな?」
「え!!そうなの!?」
「え、じゃあ〈赤の大鰐〉と〈青の飛竜〉って
何してたの??」
「捕まってたんじゃ?」
「え、なら何で
平気で英雄のパーレドに入ってるの?」
歓声から、街のみんながざわつき出す。
「っ!」
「・・・」
ガハルトとティアが俯く。
悔しさと恥ずかしさが混じった顔だ。
二組のパーティ全員の顔が暗くなる。
「なんだよ。助けられたパーティかよ。
いつも通り〈白の英傑〉がすごいんじゃん。」
「それでもSランクかよ。」
「なんか、幻滅した。」
「俺、〈青の飛竜〉のファンだったけど
やめようかな。」
街の全員から、文句が飛び交う。
(・・・・・こんなの・・・こんなの駄目だ!)
ジェイクは集団よりも、前に歩きだす。
「お、おいジェイク!どこに行くんだ。」
ライルが、ジェイクを止めようとする。
「・・・助けにいったのよ。」
ナティカが、ライルの肩を掴む。
「・・・誰を?」
「はぁ・・・馬鹿は黙ってなさい。」
メルアが、ため息をつく。
「・・・あ゛ぁ゛・・・み゛んな゛聞け!!!」
ジェイクが大声で話す。
「ジェイクさんだ!」
「ジェイクさんが喋った!」
「ジェイクさんの声素敵ー!!!」
街中から、歓声が沸く。
「何をしゃべるんだ!!」
「何だー!ジェイクさーん!」
(うう、恥ずかしい。
心臓が飛び出そうだ・・・
けれど!!!)
「・・・・俺゛たちは・・・
地獄の血跡を倒してな゛い!!!」
ジェイクが、大声で大嘘をつく。
友達になれそうと言ってくれたガハルトを
ステーキを焼いてくれたティアを守るための
騙し文句。
「ジェイク・・・」
「何を・・・・」
ガハルトとティアが、顔を上げる。
「え?どゆこと?」
「なら、何で〈白の英傑〉も行ったの?」
「応援要請だったんだろ!!」
街中がざわつく。
「・・・俺゛たちは、倒された地獄の血跡の
メ゛ンバーを洞窟から出しただけだ!!
俺たちが行った時は、既に倒されていた!」
「「「「「「「「「えーーーーーー!!!!!」」」」」」」」」
驚きの声が、街中に響く。
「え、じゃあ洞窟の中にいた盗賊を
外に出すために応援要請を受けたってことか!」
「じゃぁ!〈赤の大鰐〉と〈青の飛竜〉だけで
倒したのか!!」
「〈白の英傑〉無しで?すごっ!!!」
「俺たちの英雄!ばんざーーーい!!!」
ワァァァァァーーッ!!!!!
歓声が、国中に響きわたる。
「ジェイク・・・やっぱり遠いな。」
ガハルトは、笑いながら俯く。
「ジェイクさん・・・素敵すぎる!!」
ティアの目がハートになる。
「ああ〜。嘘ついちゃって
でも・・・さっすがだな〜あいつ。」
ライルが、頭の後ろで手を組み
空を見上げる。
「ムキムキで、何考えているかわからないけど」
ナティカが微笑む。
「とっても、優しい。」
メルアがジェイクを見つめる。
「「「最高で最強の武闘家
だな!」「ね!」「だわ!」
この物語は、
小心者の武闘家の
ハチャメチャで痛快な、勇気の物語である。




