危険クエスト9
ヒュッ!
ナイフが
ジェイクの顔に襲いかかる。
ジェイクは、ナイフを持つ手をいなして
顔に当たらないように軌道に逸らす。
「ふっ!」
ジェイクの腹部に向かって蹴るが
体を捻り回避。
ダッ!
後ろに飛び、スティレインから距離を取る。
ダダッ!!
その瞬間、スティレインがジェイクとの
間合いを詰め、懐に潜り込む。
シュッ!!
パシッ!
今度は、腹部にナイフを刺そうとするが
ジェイクが腕を掴み制止する。
ガシッ
ビュッ!!!
左手でジェイクの胸ぐらを掴み
顔に目掛けて上段蹴りを放つ。
パシッ!
蹴りを手で止めながら
足を掴む。
「ふっ!!!」
足を掴みながらボールを投げるかのように
スティレインを遠くに飛ばす。
投げられたスティレインは、
くるくる回りながら、
地面に着地する。
「ふぅ中々、切らせてくれないものだな。
さすが最強の武闘家」
(・・・この人強い。)
スティレイン俊敏性、体術等が
Sランク冒険者の中でも上位の動きだ。
「私は・・・君に会いたかったよ。
ジェイク=ゲラルド」
ナイフを持ちながら、ゆっくりと歩きだす。
「幼少期から魔獣を拳で倒し、
Fランク冒険者なのに、たまたま出くわした
竜を倒す。50mもある木の魔物を
倒して街を救う。君が活躍する逸話を
聞くたびに心が震えたよ。
そんな、君がどんな大金よりも
どんな美女よりもどんな名誉よりも欲しい!!
君の力も人生も、私の物にしたい!」
スティレインが
欲しい物を絶対に手に入れるという決意と
狂気に溢れた目でジェイクを見る。
「だから・・・変わってくれないか?」
パチン!!
スティレインが指を鳴らす。
その瞬間
(っ!なんでだ?僕が見える・・・!)
手と服を見る。
いつも身に纏っていた黒い道着に
ゴツゴツした手は無く。
細い腕に、赤いラインの入ったマントが
視覚に入る。
体中から黄色のオーラが出ている。
「私の祝福だよ。」
ジェイクが、正確には
目に見えている自分自身が喋り出す。
さっきまで自分の体に出てなかった
黄色のオーラが出ている。
「私の祝福、
人生の引き継ぎ
指定した人間と入れ替わり
入れ替わった人間の人生、記憶、経験を
自分の物にする能力だ。
すごいだろ?この能力を使えば
大金持ちの人生、美女の人生、国王の人生も
私の物に出来る。」
ジェイク(スティレイン)が手を握ったり、
開いたりして体の感覚を確認する。
「ふははは!すごい力だ!!
最強の武闘家の人生を
全て手に入れたぞ!
だが・・・悲しい力だな。
君はこうやって強くなったのか。。」
ジェイクの記憶を見ているようだ。
「・・・勝手に゛見るな゛。」
「怒ったのかい?
すまないね、人の記憶を見るのが趣味だからさ。
・・・悲しい人生も今日で
終わりにしてあげよう。
その用済みの体ごと殺してあげよう。」
ジェイク(スティレイン)が
拳を構える。
ダンッッッ!!!!
ジェイク(スティレイン)が
高速で迫る。
大きな拳が顔に迫る。
ブォンッ!!!!
間一髪でしゃがみ何とか躱す。
ガシッ!!!
首の後ろの襟を掴まれる。
ブォン!!ブォン!!ブォン!!ブォン!!
「ガァッ!!!」
襟を掴まれて、ジェイク(スティレイン)の
頭上で振り回される。
首が締まり、息が苦しくなる。
「私の元の体を、こんなに簡単
振り回せるとはすごい力だなっ!!」
ブォンッ!!
スティレイン(ジェイク)が投げ飛ばされる。
ボガッァァァン!!!!
洞窟の壁に激突して、体ごと壁にめり込む。
(・・・・・ま・・ずい。)
スティレインの体と言えど
ジェイクの力で投げ飛ばされれば、
無事じゃ済まない。
「ははははははっ!!すごい力だ!!!!」
ジェイク(スティレイン)が高笑いをする。
「素晴らしい!!今までの!どの体よりも
素晴らしい!!イメージ通りの速さで
肉体を動かし、相手を蹂躙する。
最強の筋力!!素晴らしい!!素晴らしい!!」
ジェイクの体を手に入れた喜びか
恍惚とした表情をする。
「さて・・・君の祝福を使って
止めを刺そうかな。記憶を見る限り
すごい力だな・・・君を潰して
私が君になるとするよ。はははっ!!!!」
高笑いしながら構える。
「勇猛な白鬼!!」
ジェイク(スティレイン)が
ジェイクの祝福を発動する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
と思ったが何も起こらない。
「どうしてだ!!発動しない!!
こんなこと初めてだ!!」
頭を抱えて慌て始める。
「・・・心が穢れているからだ。」
壁にめり込まれたスティレイン(ジェイク)が
口を開く。
「心が穢れているからだと??」
「・・・そうだ。」
「・・・ふっ、ふざけるなぁ゛ぁ゛!!」
ダッ!!
叫びながらこっちに向かってくる。
「私は英雄の体を、ジェイク=ゲラルドの
体を手に入れたのだ!!!!!
お前の人生も記憶も経験も祝福も
私の物だ!!!!
死ねぇ!!!!!」
高速の勢いで大きな右拳が顔に迫り来る。
ボガッァァァァン!!!!!
大きな音が洞窟に響く。
「・・・ははっ。どうだ?私の力・・
なっ!!」
確実に殴ったと思った
スティレイン(ジェイク)の顔に当たらず、
腕が壁にがめり込む。
「ふっ!!」
ザクッ!左腕にナイフを差し込む。
「があっ!!」
ジェイク(スティレイン)が
苦痛の叫びを上げる。
ガシッ!!
左手の大きな中指と親指を手で掴み。
2つの指をくっつけて擦らせる。
パチンッ!!
指を鳴らした瞬間、
目の前には、壁にめり込んだ手があった。
ゆっくりと壁から手を抜く。
「・・・・体が元に戻された?」
ボロボロのスティレインが、青ざめている。
「・・・や゛はり゛か・・・
黄゛色゛のオ゛ーラが・・・俺゛達二人とも゛出てい゛たから゛・・・」
スティレインの祝福
人生の引き継ぎ
指を鳴らすことで
指定した人間と入れ替わり
入れ替わった人間の人生、記憶、経験を
自分の物にする能力。
ただし、入れ替わる前の体が生きている場合は
仮で入れ替わっている状態である。
入れ替わる前の体が死ぬことで
完全に入れ替わる。
もう一回、指を鳴らすと能力が解除される。
「クソぉぁぁぁぁ!!もう一回だ!!
もう一回入れ替わってやる!!」
パチンッ!!
スティレインが指を鳴らす。
・・・・・・・・・・・・・・
「な、なぜだ?入れ替われない!!!」
「・・・罰゛だ。」
「罰だと!?
・・・ははっ・・・ははっ。」
スティレインがその場に座り込む。
体がボロボロで動くこともできないようだ。
「・・・・・・フフフッ・・・ハハハッ・・・」
スティレインが急に笑い出す。
「・・・何が・・・お゛かしい゛?」
「君の体を手に入れることもできなかった。
私の望みは叶わなかった。
だが、まだ負けてない。
手に入らないなら・・・すべて壊す。」
スティレインの体から黒い毛が生えて
体が大きくなっていく。
「私の元の祝福は、人生の引き継ぎ、この体に残った祝福は、まだ使ってない。
この力で壊す。全部壊す。
君の人生を・・・壊すっ!!!」
スティレインの巨大化が止まらない。
「監獄の番犬」
そう言ったスティレインの
原型は無くなり、
スティレインの顔が3つの犬の顔になる。
全長は、洞窟の天井に届きそうになり
手足には、大きな鋭い爪が生えた
巨大な犬の姿に変わっていく。
「アゥォァァァァァァァァン!!!!!!!」
鼓膜が破れるような、大きな音で吠えだす。
「・・・さぁ、第二ラウンドと
行こうじゃないか。
ジェイク=ゲラルド・・・・君を殺す。」




