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ホロは今、生を受けて16年になる。つまり16歳だ。魔術について学ぼうとしている学校は基本的に4年間学ぶらしい。
卒業する頃には、ホロはもう20歳になるのか。
俺は22。
意外と長いな魔術学校。
幸い村には国から多額の補償金がホロのおかげで支払われているから俺がいないことの心配はない。
問題は、果たして俺が4年間もの時をちゃんと彼女のお世話ができるかだ。
なんか普通に不安になってきたな。
馬車に揺られながら、不安がわいてきた。
「なんか緊張してない?」
「ちゃんとできるか不安になってきた」
向かいのホロがクスリと言う。
「心配性なのは昔から変わらないね」
「安易にいいよっていったけど、魔術学校って結構いい出自の子たちばかりじゃないのか? そんなところで俺がちゃんとやれるのか」
俺が恥をかくのはいいが、ホロにまで迷惑をかけたくない。
いや、正直にいってしまえば俺はホロに対して恥ずかしい姿を見せたくなかった。
いい兄でいたいのだ。まるで妹みたいなホロの前では。
意外と自身のプライドの高いことに気づいて、居心地が悪くなる。
「ま、何とかなるよ。マサにいなら」
ホロは昔から結構大雑把だ。それは今も変わらないらしい。
好きなものに一途で、向こう見ずな彼女のことを人は天才というのだろう。
「…それならいいけど」
覚悟を決めろ、俺。
ホロが笑えるようにするってあの時決めたのだから。
潰えたと思った決意は、今だに萎れてはいなかった。




