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 ホロをおぶり、大剣を持ちながら再びホロの家へとたどり着いた。


「ありがとう」

 

 ホロをベッドに乗せる。


「この剣結局何なんだ」


 剣をかざして見てみるが本当にただの大剣にしか見えない。


「さぁ、わからないから後で調べないとだね」


 ま、何でもいいか。


「とりあえずこれ外に置いといていいか?」


「え!? ちょっと待ってよ、結構その剣貴重だと思うからできれば屋内のどこかに立て掛けといて欲しいかも」


 立てかけるって言われてもな。ホロの家はどこか可愛らしくこの無骨な剣は景観をそこねると思うのだが、俺は棚にその剣を立て掛けた。


 正直、何があったのか聞きたかったが、戦いの中でその四肢を失ったと言うのは明白で、俺は来し方よりもこれからの行方に焦点を当てる。


「…これから、どうするんだ?」


「マサにいはどうして欲しい?」


 どうして欲しいって、これまで世界のためにその身をとして戦ったのだ。


「…好きに、好きなことして生きて欲しい、とは思う」


 手がなくて、足がなくて、果たして彼女がどこまでこの世界を肯定して生きていくのかは、想像力の乏しい俺では答えが出なかった。


「す、好きなことして生きて欲しいって本当に思ってくれている?」


「え? あ、ああ。本心だけど」


 何故だか、緊張気味なホロの様子に俺も落ち着かない。


「あ、あのね。私、今とっても魔術が好きなの。それでね魔術学校に通ってたんだけど、今こんな感じになっちゃってるじゃん。学校は正直1人じゃ難しいって思っているの」


「だ、だからね。お願いが、あるんだけど。一緒に、学校に通って欲しいの。私のお世話係として。あ、もちろん報酬は払うし、住むところとかも心配しないで欲しいの」


「お、お願い!」


 まるで手と手を合わせているような仕草で彼女は捲し立てた。


「…断る理由は全くないからいいが、いいのか俺で? 結構不器用だぞ?」


「別にそんなの知ってるよ。マサにいが不器用なことなんて。でもほら、マサにい力持ちじゃん」


「何だその安直な考えは」


「断る理由がないってことは、いいってことだよね? ね?」


「あ、ああ」


 ホロの圧力に少し押される。


「やったぁ!」


 そんなに喜ぶことか?


「俺に断られたらどうしてたんだ…」


「それは、まぁ諦めてるよ」


 そりゃ、俺以外にも召使いなら誰でもどうにかなるか。

 

「魔術が好きなんだな」


「? うん、好きだよ」


 純朴で、素直な笑顔だった。彼女の姿に欲情していることが情けなくなるほどの。




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