EP27.「スカイシールド(その1)」
<射出経路、安全クリア、駐機ブレーキ解除、自動経路案内目標 スカイシールド 射出まで5,4,3,2,1,発射>
無機質な自動音声が聞こえると同時に、頭上からものすごい風圧が襲いかかる。噂によると天井に昔の飛行機で使われていたジェットエンジンが取り付けられていて、移動パートになると天井と床面が開いてグワーッと風が送られるとか言う話ではあるが、全員エントリースーツを着ていて実際の体周りの状態が確認できないので、事の真意は不明である。
<前方に正体不明の魔力エネルギーを検出。撃退を進言します>
視界の片隅に映し出されるターゲットマーカー。十時の示す中心点には、敵と思わしき黒い点が見える。航行速度が時速440km敵との相対距離の数値が220であば、遭遇は後30秒も無いな。
「それであれば、武具展開『雷砲 サンダースパーク』」
操縦用のレバー位置から右手を離してサンダーバレットを展開してそのまま、セットしてある魔道弾をぶっ放す。
<前方クリア、目標地点到達まで、後330>
右上に表示されていた"異常"の文字が消えて正常航行の表記に戻る。到着までの残り時間の内に使用した分の魔力弾を錬成する。
<ユイノ君、こっちは目標侵入地点に先着、索敵と安全確保を実施>
スピードの努力値極振りをしているマルスが先に着いたらしく先に色々調べてくれるらしい。原作でもそうであったが射出される時の目的地は確かにスカイシールドへの突入口であろう場所までは飛ばしてくれるが、その地点がいきなりボス部屋に繋がる裏口だったり、モンスターハウスだったりする可能性もあり、安全な所で一度復帰水晶を置くことが出来なければ、地上まで戻ることになってしまう。そうなればかなりのタイムロスであり、危険な状態であると分かれば到達前に遠距離爆撃で危険排除をしなければ。
<検索完了、危険因子ない突入先は普通に迷宮通路だね。着陸承認>
安全確保完了の報告と同時に目標地点が視界に入り、遅れて逆噴射による減速体制をとる。
<まもなく、目標地点に到着します。自動航行は完全に静止するまで実行されます>
──1──
遅れてヒビキが到着したので、早速攻略を開始する。
<こちらみのぶ、全員現着、これより攻略を開始します。マッピング共有を開始、チャンネル6にみて>
<同じく掲示板2スレ現着、これよりマッピング作業を開始する>
<同じく掲示板1スレ現着、壁画の捜索を開始>
報告と共に一気にマップが埋まり始める。不思議のダンジョンと同じように入る度にマップ構造が変わるために、マッピング部隊がボス部屋の位置を教えてくれるので攻略部隊の僕達は、ボス部屋に一直線で向かう。
「はずなんだけどなぁ・・・こちらユイノ、モンスターハウスを引き当ててしまった。少し時間がかかりそうだ」
ボイスチャットで一声報告を上げてから、スーツの飛行モードを目標地点への自動航行から戦闘目的のマニュアル制御に切り替えて、最短経路の解放を目指す。
<それじゃ俺は左側の敵を粛正するから、ユイノ君は右側の敵を頼む>
目標定義を済ませたマルスは見たことの無い、長銃を取り出すとそのまま敵の中に向けて火炎放射を打ち込んでいく。
「さてとこちとら始めますか。ヒビキ、外した分の反射利用と回復支援を頼む」
通り抜けるために倒さないといけない敵は、最低でも40って所か。
敵の攻撃を立体的に避けながら最小限の砲撃で最大限の範囲を攻撃できる空間の角に移動する。
<ユイノ、こっちは準備できたよ>
そのボイスチャットを合図に一気に引き金を引く。
『ライジングシャワー』
しかしながら、最前部にいた熊のモンスターの腹の部分に全て吸収されてしまって、全く持って攻撃が届いていない。
「"スカイ"シールドだから土属性はいないと思っていたけど・・・これは楽しくなりそうだ」




