EX02「実験記録」
作業日誌:新型作業用スーツ開発日誌
記録日[記録抹消済]
記録者[記録抹消済]
月川市神緋田湖湖底部
月川プロテクトシステム(TPS) 第二十四工房
先日より確認されているRPF内での事象が現実でも反映されてるという現象について、弊社技術開発部は、安定的な運用が可能なのであれば将来的なパワードスーツで搭載することで兵装の簡略・多機能化が可能であるとして、量産先行スーツを制作。実際に試着・使用することで反映が可能であるのかを実験する事とした。
<それではこれより第一回連動試験を実施します>
試験空間内に響く試験官の声。それと同時に試験用のRPFアカウントでログインして試験用端末を起動する。
外部電源切り離し、内部電源へ以降。誘導電池正常機能。活動限界まで残り5分。実験開始準備ヨシ。
<内部電源起動確認、ログイン完了、連動装備準備完了、それでは工程1,ファイアーボール>
行動の指示が出る。それに合わせてから操作して音声認識を起動する。
『ファイアーボール』
右手の手のエネルギー銃の銃口から火の玉が出現して、そのまま放物線を描くように飛んで行くと、地面に置いておいたちり紙が燃える。
<実物への着火を確認、工程2、消火を実施、ウォーターボール>
空間スキャンが終了した指令室から次の指示が響く。
『ウォーターボール』
再び銃口から水の球が出現し、火を消す。
<連動確認試験完了。本試験へ以降>
「重力制御起動、空間フィールド維持をマニュアル操作へ切り替え『ゼロ・グラビティ』」
スキル名を宣誓すると同時に重力の縛りから体が放たれてゆっくりと空中へ浮き始める。 「上昇下降、左右旋回、問題なし、自由飛行可能」
そのまま、ゆっくりと目標物"時計台"に足を着く。"
<こちらも確認した。引き続きリストの実行を頼む>
───1───
モニタリングルームでは、数人の技術者がフィールド内に設置している、カメラや風力計、重力計、室温計等の様々な計器を監視しては実験データを記憶端末に移している。
そんな中、空間重力フィールドをモニタリングしていた一人の技術者が声を上げる。。
「所長、重力フィールドに想定外の数値が」
所長と呼ばれた人物は卓の右モニターの表示を確認した上で状況の判断を行う。
「落ち着けドクター、想定の範囲内だ」
しかしながら、しばらく観察を行っていたドクターと呼ばれた人物は数値を少しの間、数値をモニタリングしてから、予定数値と比較していてから、対処方法を計器に入力していく。
「所長、計測値が想定の逆値です。現在スキル発動による影響値と比較しちょうど、何かが出現してくる・・・。数値の急激な上昇を検知、正体不明の現象が暴露されます!」
その宣言と同時に実験フィールド内の空間が突如ガラスの様に割れ、中から妖精の姿をした敵が出現する。
「敵モブモンスターの出現を検知、龍脈の乱れにより発生する名無しの妖精ですが・・・物理計測器にの反応あり」
これを報告している係員の一人が疑問の声を上げる。悪魔でもゲーム内での出来事が現実にも反映されるはずがない。
「構わん、予定通りだ。続ける」
所長はデータを一目するやいなか実験の続行を指示する。だが、また別の計器の一つが異常値を示す。
「空間重力フィールド維持に支障が出ています。外部圧力による改変が発生。修復困難。干渉負けします」
モニタリングルーム内に大きなブザー音が鳴る。ドクターは直ぐさまに対処行動を入力していくが、入力が干渉に追いついていない。
「再び重力フィールドに異常値干渉、現象暴露します。敵モンスターの出現を検知。出現モンスター、☆4難易度ボス:ミラチトカゲが出現しました、被験者では対処不可能です」報告と同時に試験用スーツに取り付けていた生命モニタリング装置の心拍数0を示す。その瞬間、研究員全員の脳内に──実験失敗、記録破棄──の四字熟語が浮かび上がる。
「はい、では復唱します。指令番号1933甲号、指令者ササヤマ、現時点を持って実験を中止、試験区域の爆破破棄。承知しました」
電話でドクターが本社からの指示を受ける。それと同じくして隣の記録担当が、本社からの指示を復唱する。
「「所長、報告いたします。指令番号1933甲号、指令者ササヤマ指令内容、現時点での実験の中止、試験区域の爆破破棄の指示を受けましたので報告します」」
これを聞いた所長は確認の電話を本社に入れる。
「え~指令番号1933号、実験の中止並びに、試験場の破棄の件について指令確認を実施したいのですが」
これを電話で確認している最中に、指令を受けた二人は机の下にある認証キーを二人同時に回す。
「はい、復唱します。指令番号1933丙号、指令者オオヌマ、現時刻を持って実験の中止央帯、試験区域の爆破破棄了解しました。自爆装置、起動位置、キー回し完了しました。総員退避します」
───実験記録停止───




