EP20.「果たし状」
ではお互いの事を知る為に質問を始めようとしたところであった。
「おいおい、誰だよ俺たちの指定席に座っているやつはよ!」
突如背後から怒鳴り声が聞こえてくる。あいつら確か中等部の不良(性格に難があるが成績はトップクラス)のグループの姿が見る。なるほど、誰もこっちを見ようとしないのは角席からじゃなくて、こいつらが占領している席だからなのか。
「学食の席はすべて自由席で指定席はないはずだ、あらかじめ予約席の札をおいているならいざ知らず、後から来るのであれば他の席を当たるんだな、それともこの席の指定券を持っているんなら是非とも拝見したいものだがな」
ミナセが挑発的な言葉を投げる。学年主席のミナセ、そして公安委員の子が同席しているのであれば手出しもできないと踏んでいるのであろう。
「あぁ?おまえに用はない、そこの見慣れない顔に言っているんだ、弁当派なのかは知られぇが、郷には入れば郷に従え、他の席に移るんだな、二人どけばそれでいい」
どうやら、勝てるかも知れない僕に対しての喧嘩って訳か、ではとるべき答えはただ一つ。決闘で決着をつけようじゃないか。
無接点操作で決闘申し込みを行う。表示されたユーザーネームをを見て少し後ずさりしたが、自分のプライドが許さないのであろう。連れの面々と相談をして同意するのボタンに触れる。
「分かった受けてたとうじゃねぇか、その代わりそっちはお前と、その隣の若い面だけだ、負けたら一人一つ、任意のアイテムをあいてから一個ずつ貰う、文句はないよなぁ?」
なるほど、不利な条件をだしてあくまでもこちらから辞退させようと言う事か。面白い、やってやろうじゃねぇか。
「それじゃ決闘成立だね、放課後 1600にHTLCロジスティックスパークにみて待つ」
システムにより自動的に予約された決闘場所をスケジュール通知に登録して追い払う。
「いいのか?向こうは何人で来るとは宣言してないんだぞ、いくら上位ランカーでも人数の差には勝てないぜ」
ミナセが心配の声を上げる。確かにレイドみたいに何十人とかで一気にかかってこられたら困るが、まぁそんな急に人は集められないだろう。
「僕は問題ない、懸念があるとしたら・・・」
ゆくっりと函南の方を見る。しかし函南は自信満々の様である。
「平石くん、後で作戦会議したい。できれば誰にも聞かれないところってある?」
何か考えがあるのか、そうだな公安員の子がタブレットをそうしている。
「いいよ、後で相談室に行こう、俺の管理課なら誰にも聞かれはしない」
――1――
13:00 月川総合学園
部活棟2F 公安員相談室(2)
使用中の札を掛け、扉の鍵を閉めてカーテンをしめ、誰にも見られないように密室を作り作戦会議を始める。
「今回の決闘場所はHTLC 速川急送月川ロジスティックセンターの屋上にある、HTLCロジスティックスパーク、ここの特有のフィールドギミックとしてベルトコンベアや、パレットタワー等があるな、それよりも今気にしないといけないことは・・・。
「平石くん、遠距離攻撃はどれぐらいできる?」
それは攻撃手段の手数としてなのかな?それとも単純に攻撃力でか?
「単独でレイドボス鎮圧できる程度には」
端的にわかりやすく使える。これを聞いた函南は少し考え込んでからタブレットを色々と操作している。実績を聞いて戦闘力を測りたいのか?
「なるほど、であればこのプレイヤースキルが使えるな」
タブレットをこちらに渡してきて一つのスキルステータス画面を見せてくる。だが、このスキルは聞いたことがない。
[スキル名:伝達者]
効果:・自分自身が受けたスキル・攻撃を自分自身の攻撃権を有した状態で再度発動します。(一部でも影響を受ければ発動します)
・再出力時には防御力にみて威力計算を行います。
・属性判定は攻撃系は日属性、防御系は月属性として計算します。
・カミマイツルを対象として発動した場合、カミマイツルの効果は発動できません。
・カミマイツルからの攻撃はスキルの発動条件として適応されます。
成長条件:このスキルは成長できません。
この説明文は、一人では使えずに二人以上で戦闘する前提のスキルって事か。なるほどしかも攻撃は他人に任せっきり。前線に突っ込む斥候そのものか。だから僕の遠距離攻撃能力を聞いてきたわけか。
「これ、ダンジョン攻略なら役に立つけど、対人戦だとどう使ったものか」
さてと、時間が無いな。どう生かしたものか。




