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EP19.「新たなぬ日常(前編)」

1月8日 6時30分


スマホのアラーム、時間になるとつくようにしていたマルチモニターがニュースチャンネルを表示する。

[おはこんちゃん、今日は1月8日、月曜日、ただいまの時刻は午前6時30分、今日の月川の天気は雪、最低気温は、朝6時の時点で氷点下3度、最高気温は3度、お出かけの際には、充分に暖かくしてくからお出かけください。さて1月8日は多くの学校で新学期や仕事始めになると思いますが、逃げたりせずしっかりと現実に付き合ってください]


バーチャルアナウンサー"五咲カレン"が、いつものようにオープニングトークと始め、今日の情報や出来事を読み上げていく。イヤホンの電源を入れて朝食の準備を始める。


[投げ銭ありがとうございます。え?私の今日の朝ご飯ですか?トーストサンドです。それでは、今日のトップニュースからです。月川ゲームクリエーションは、月川HDで保有している浅山に新しくオープンする、RPF専用の大規模都市型施設の名前とクリスタルフォレストと決定、またオープンが今年9月初めになると発表されました。これはアクセス路線となる月川地下鉄南北延伸線の路線開業と合わせた形になります。実際に町中で堂々とプレイできるのは非常に楽しみです。また第一期居住区画の募集も、応募率が一万倍を超える事態となり

公開抽選会の場において第二期募集区画の発表もありましたし、益々RPFが生活と共にある感じが広がります]



お湯を沸かしインスタントの味噌汁とコーヒーを用意しつつ、平行してベーコンと目玉焼きの用意を始める。ニュースは、日曜の月川ダイレクトの内容から入り続けて、各地のニュースを読み始める。

2010年代後半から始まったバーチャルキャスト、動画公開サイトで急速に流行し始め、音声読み上げソフトの進化もあり、生身の人間ではあらゆる不祥事のリスクを考えていたテレビ局も、順次特定の"中の人"に頼らず、複数の人物がシナリオを用意して読み上げさせる、プロデューサー方式へと移行していった。

これと平行して従来の地上波による専売的報道から個人規模でもインターネット上の配信でテレビと同様の効果を得られることから、テレビ局の影響力が大幅に低下。この為、テレビ局もニュース番組などを中心にバーチャルアナウンサーによる放送に変化、さらに配信も大手動画サイトでも同時配信するようになり、テレビ局だけの特徴というのは消え書けていた。



IHコンロの電源を切りフライパンから皿に移し替え、流し場に蓋をして、そのまま台所でたったまま朝ご飯を食べる。


[それでは次のニュースです。去年年末から今年始めにかけて連続的に発生している、不可解な負傷事件について、多くの市民から"RPF内での出来事が現実にも反映されているから怪我をしている!"との声が上がっていました。これについてRPFを運営している月川ゲームクリエーションは、あくまでもゲームでありフィクション。屏風の虎を取り出して捕まえると同じぐらい不可能な話として、ゲームそのもの関係性は否定しつつ、プレイ注意に周囲が見えなくなるのは危険であり、表示方法については改良するとしています。まぁ、実際に私が画面から飛び出すことなんてあり得ない訳なので、この問題については、そもそもRPFが原因であるとするのが間違えじゃないのかなぁって思いますけど、コメント欄の皆さんはどう思いますか?]



同時配信の動画サイトに流れるコメントに意見を求めて、少しの間BGMだけが聞こえる時間が続く。おそらくは何か飲んでいるのであろう。画面から離れているから様子が分からないが、あの娘ならそうしているであろう。丁度食べ終わった頃だし、食器を食洗機に放り込みスイッチを入れる。


[やっぱりみんなも似たような意見だよねぇ、実際には起こりえないけど、これだけ状況証拠がそろってしまったらそう考えざるざるを得ない。でも、もし本当にゲーム内での出来事が現実にも反映できるのであればそれは素敵な事だとを思うなぁ]


だが、実際に反映されるのであればユーザー同士の決闘で死人が出てもおかしくはない。制服への着替えを終わらせ、家を出る。



「新年初の学校は何も無いといいけどな」

鍵を閉めると同時に独り言が漏れる。

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