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第三十六話 王の意地


「…………凄い」


 メロアとベルゼ。

 二人の戦いを固唾を呑んで見守っていた私は突如として空を切り裂いた一筋の光に目を奪われていた。


 次元が違いすぎて、仕組みや原理は全くわからない。

 でも魔力の感じからそれを唱えたのが誰かはわかる。


「……やったのねメロア」


 空を切り裂くほどの大魔法だ。

 さすがのベルゼと言えど食らって無事では済まないはず。

 

「これで終わってくれるといいんだけど」


 なんて願望を込めて呟くと、空から何かが降ってきた。


「ぐぬっ!?」


 その正体は悪魔の王・ベルゼだった。

 ゆっくりと降りてくることができず、地面に激突するベルゼ。


「はぁ……はぁ………」


 そこに先ほどまでの余裕は一切見られない。

 まともに立ち上がることもできないまま、藻掻いている。


「ライトニングクリエイション…………」


 とはいえ油断は禁物だ。

 万が一に備えて光の槍を構えると、メロアが私の横に降りてきた。


「……まだ生きてたんだ。案外しぶといんだね」

 

 冷たく吐き捨てるメロアにベルゼは満足げに答える。


「……見事だ、メロア・クラムベール。王国一の魔導士と聞いていたがまさかここまでやるとはな」


「メロアもびっくりしたよ。あの魔法を耐えたのはあなたが初めてかも」


「別に耐えてなどおらん。あの一撃で我の運命は決した。後は大人しく消滅を待つのみよ」


 事実、ベルゼの胴体は半分ほど消し飛んでおり、まだ存在を保っているのが奇跡に思える程だった。

 そんなボロボロの体を奮い立たせ、ベルゼは語りだす。

 

「だが我に勝ったからといって良い気になるなよ? これは始まりにすぎぬ。そもそも疑問に思わなかったのか? なぜ我が軍勢がこんな街の大通りで大立ち回りをしていたのかを」


「まさかっ!?」


「ああ、そのまさかよ。全ては我が盟友との約束を果たすため。城に向かった別動隊が既に作戦を遂行しているだろうよ。貴様らも……この国も……いづれ我が友に征服されるのだ。クハハハハ」


「っ!?」


 …………やられた。

 まさかベルゼ自身が陽動だったなんて。

 目の前の戦いに気を取られてその可能性を考えてもみなかった。

 各地で暴れる悪魔への対応に憲兵団が出払っている分、城の警戒は薄くなっているはずだ。


「もしかしたら城の中まで入り込まれているかも……」


「――大丈夫だよ。ヴァイスオール城は簡単には落ちないから」


 最悪の可能性を思い浮かべた私にメロアは力強く言った。


「アキト様がいるんだもん。こんな悪魔になんか負けないよ」


 メロアは私を励ますように優しく微笑むと、今度はベルゼを睨みつける。


「……それにたとえお城がピンチだったとしても、メロアたちが助けに行くからあなたの思い通りにはならないよ」


「ふん……せいぜい足掻くが良い小娘どもよ」


 それが堪らなく悔しかったのか。

 最後にそんな捨て台詞を吐いてベルゼは消滅していった。


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