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依存

「お兄ちゃん……!い、いつもより早く帰ってきちゃった……。どうしよ……」

「僕が家に上がってるのバレたらまたややこしいことになるんじゃ……」

「ちちちちょっと隠れてててください……っ!」



 慌てたノイルさんにクローゼットに押し込められる。


 文化的に室内で靴を脱ぐ事は無いスタイルなので、幸い靴が置いてあってバレるなんてことはない。


 僕はクローゼットの中で息を潜める……。


 ……なんでこんな間男みたいなことしなきゃいけないんだ……?



「お兄ちゃん……、今日は早かったね……?」

「はぁ……はぁ……ノ……ノイル!怪我をしたって聞いて急いで帰って来たんだ!大丈夫なのか!?」

「う、うん……。心配かけてごめんね……。ちゃんと病院で診てもらったから大丈夫だよ……?」



 部屋の外の声が聞こえる。


 どうやらオーフェンさんは息を切らせているようだ。



「病院に迎えに行ったらもう帰ったって聞いて……怪我人が一人で歩くなんて危ないだろう」

「う、ううん、送ってもらったの……、レイさんに……」

「レイ……?チッ、またアイツかよ」



 うわぁ、舌打ちされた……。


 やっぱまだ嫌われたまんまだよなぁ……。



「まさかその怪我もアイツに!?」

「もう!どうしてそうなるの……!足を挫いたのは私だし……、それで階段から落ちそうになったのを助けてくれたのがレイさんなのっ!命の恩人を悪く言うお兄ちゃんなんて嫌いなんだから…………」



 ノイルさんの尻すぼみな喋り方が、最後の言葉だけはいつも以上にか細かった。


 本心には無い言葉を、兄を諫めるために絞り出したのだろう。


 ノイルさんにそんなことを言わせたくはないのだが、今はどうしても口出しできない。


 どうか穏便に済むことを願う。



「ノイ……ル……」



 ガタッと、木造の床に衝撃音のようなものが響く。


 多分オーフェンさんが膝を付いた音だろうか。



「うわぁぁぁっ!ごめんよ……っ!も、もうアイツの事悪く言わないから!嫌いだなんて……嫌いだなんて言わないで……!」

「アイツっていうのもやめてっ……!」

「わ、分かったよ!ちゃんと名前で呼ぶからっ!」



 うわぁ……、メンタル弱すぎでは……?


 誰か一人に依存しすぎてるとああなるのか……?



「分かってくれたなら大丈夫だよ……。嫌いって言ってごめんね……お兄ちゃん……」



 ノイルさんも甘々だし、……まあお似合いの兄妹とも言えるだろう。


 なんか僕も無駄に恥ずかしくなって居ても立っても居られない感じがしてきたが、物音立てるわけにはいかないし我慢我慢……。



「ノイル……ごめん怪我してるのに……」

「私は大丈夫だよ……」

「夕飯は僕が作るからノイルはベッドで安静にしてて」

「うん……、ありがとうお兄ちゃん」



 そしてタッタッタッタッと階段を下りる音とギィと蝶番の軋む音が聞こえる。


 ようやくオーフェンさんが1階に下りてくれたようだ。

Unrailed!っていうめっちゃ楽しいオンライン協力系ゲームオススメです。

でもめっちゃ時間泥棒ゲーなのでお気を付けください。

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