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禁書

「あの……、大事な話の件なんですけど……」



 景色がほとんど木と畑で埋め尽くされた頃に、ノイルさんがやや小声で話し出す。



「レイさん……、タルタロスの本の事、知りたがってましたよね……?」



 なんと、僕も少し忘れかけていた単語がノイルさんから発せられた。



「ま、まあ、気になってはいますね。興味本位ですが」

「その本の内容……、前半はありふれた魔術の研究書らしいんですが、後半は魔物化の人体実験の記録がされているみたいで、終盤になるほど過激な実験をしてるみたいなんです……。大衆には見せられない内容ですが……、資料としての価値は高いそうなので、禁書として保管されてるようで……」



 人体実験……。


 自分を使った実験か他人を使った実験かで評価は分かれるが、タルタロスさんは自分の魔物化を止めてるらしいし、自身に対してあんまり過激な実験はしてないはず。


 十中八九他人を使っての実験だ……。


 そんな内容、たしかにマッドと呼ばれて然るべきって感じだ。


 今はネズミを使って実験してるらしいが、人で実験してて何かあったのだろうか?



「そんな本だったんですね……。でもなんでノイルさんがその事を?」

「実は私……、あの王宮の件の後……、兄にその本の事を聞いたんです……」

「え……、大丈夫なんですかそれ?」

「あんまり良くはないです……。兄もなかなか教えてくれなくて……、何度もおねだりしてようやく少し話してくれました……。具体的な内容まではすみませんが教えてくれなかったです……」



 そりゃあ王宮で保管されてる禁書なんだから部外秘を守らなきゃいけない。


 ……はずなんだが、オーフェンさんは妹の押しに負けて話してしまったらしい。


 情報漏洩といい監禁事件といい、オーフェンさん、責任者としてそれはどうなんだ……?


 いや、かなりのシスコンっぽいし、どちらもノイルさん絡みなせいでネジが緩んだのかもしれない。



「あ、あの……、できればこれはここだけの話で……」

「分かってます、口外しませんよ」



 人のいないところで話したいというのは、このことを他の誰かに聞かれないためって事だったんだろう。


 なんか共犯っぽくなってしまうのは如何ともしがたいが、ノイルさんは良かれと思ってのことだろうし、このことは僕の内に秘めておくことにしよう。



「そういえば、オーフェンさんとはあの後どうなったんですか?」

「えっと……、は……恥ずかしながら……、私が怒って一日口をきいてあげなかったんですが、泣いて縋りついてくるので許してしまいました……。あっ、もう二度とあんなことはしないように約束したので安心してください……、本当にごめんなさい……」

「い、いや、もう気にしてないんで大丈夫ですよ!」



 泣き縋るオーフェンさん……、全然想像できない……。


 とはいえ仲直りできたのならよかった。


 ハインリーネ様曰く、両親はおらず、お互いが唯一の家族らしいし、大事にしてもらいたい。


 その後も、オーフェンさんの小さい頃の話を聞いたり、僕の冒険者としての仕事の話をしたりと、他愛も無い事を離しながら歩いていた。


 空に夕暮れが差し掛かったあたりで、ようやくノイルさんの家に到着した。

壱百満天原サロメ面白すぎておハーブですわ!!!

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