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仕様

「うへぇ~、ほんとにやらなきゃダメなの~?」



 蛭間さんが剣を構えながらもへっぴり腰になっている。



「ほら早く倒さないと、角で串刺しにされちゃうよ……っそい!」



 蛭間さんが倒すのを躊躇したウサギを足立さんが代わりに剣で突き刺した。


 蛭間さんは魔物と言えど、殺すことに対する嫌悪感が勝ってしまっているらしい。


 まあ考えてみれば蛭間さんの習っている柔道は、剣道や空手道と違って相手を抑え込むことがメインの技術だし、こういうことは性格に合わないのかもしれない。



「木乃美ちゃんはよく平気だよねぇ……」

「魚を捌くのとか慣れてるから、それとそこまで変わらないよ、……それよりこのウサギ、食べれるのかな?」



 うってかわって足立さんは特に気にした様子もなく、淡々とウサギを討伐していった。


 聞いた話だと彼女は帰宅部だが生粋のアウトドア派らしく、暇さえあれば原付バイクを走らせキャンプしたり釣りをしに行ったりしているらしい。


 そういうアクティブさや、国の外への興味から戦闘組に参加したんだろう。




 しばらく狩りを続けて、ウサギの討伐にも手馴れてきた頃、僕はふと気になってステータスウィンドウを開いた。



「……レベル上がってる」



 そこには「LV:14」と表示されていた。


 それに加えてステータスポイントが130追加されていた。


 レベル1ごとにステータスポイントが10増えるようだ。


 ご丁寧にポイント割り振りできるパラメータにスライダーバーまで表示されている。



「なあ神楽坂」



 ちょうどそこら辺に居た神楽坂に呼びかける。



「ん、どうした?」

「ステータス見たか?」

「いや見てないけど」

「レベル上がってるはずだから見てみろよ」



 僕に催促されて神楽坂はステータスウィンドウを開いた。



「本当だ、こんなに簡単に上がるものなんだな」



 神楽坂の手のひらを覗いてみるとレベルは17になっていた。



「ウサギ何匹倒した?」

「えーっと……、13匹だったかな?」



 僕が倒した数はたしか7匹だ。


 倒した数と上がったレベルの関係を見る限り、レベルは徐々に上がりにくくなる仕様のようだ。


 おそらく魔物に経験値のような値が設定されていて、経験値がある量まで行くとレベルが上がるとか、そんな感じだと思う。



「おっ、篠原は14か、……そうだ!せっかくだし競争でもしないか?狩り終わるまでにどっちの方がレベルが上がってるか!」

「バカ言うなよ、お前に3レベルもハンデある状態で勝てっかよ」

「はははっ、でもこういうのを効率的にこなしていくのは篠原の方が得意だろ?それにこういう作業は少しでも楽しみがあった方が捗るからな!」



 ゲームでなら得意だけど、実際に体動かしてやるってなるとなぁ……。


 でもまぁ、神楽坂と遊び感覚で何かを競うっていうのは久しぶりかもしれない。


 そう思うと付き合ってやるのもやぶさかではないな。



「仕方ないなぁ、罰ゲームとかは無しだぞ?」

「よしきた!それじゃあ獲物の取り合いにならないように少し離れてやるか!」



 なんていうか、神楽坂はやり甲斐を見つけるのが上手い。


 今自分に何が必要か分かってるというか、あいつのそういうところが優秀たる所以なのかもしれない。


 そう思うとなんか負けたくなくなってきた。


 単純な嫉妬心だが少しやる気が出てきた。


 僕はステータスポイントを全て俊敏に関係するパラメータのAGIに振り分け、神楽坂とは反対の方向へ走る。


 簡単に倒せる相手だ、力も体力も要らない。


 真剣に神楽坂の相手になってやると決め、競争がスタートしたのだった。

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