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下敷

「ノイルさんっ!?」



 足を挫いたのを目撃した瞬間、僕は前へ飛び出していた。


 剣術の訓練のおかげかステータスの補正のおかげか、我ながらかなりの瞬発力を見せたと思う。


 幸い距離はそこまで無い。


 なんとかノイルさんの正面に移動まではできたが、受け止める構えまでは間に合わなかった。


 変な体勢で下敷きになっても余計怪我しそうだし、僕は地面を背にしてノイルさんと対面し、倒れ込むようにノイルさんを迎えた。


 両腕を腋の下に通し、左右に逸れないように固定する。


 ギリギリ余裕があったので、首がむち打ちにならないようノイルさんの左肩の上から右手を回し頭を支える。



「えうっ!」

「ぐっ……!」



 ドタンッと図書館内に衝撃音が響く。


 床が木製だったおかげでダメージはそこまででもなかった。


 衝撃に備えて力んでしまったのでクッションとしての役割を果たせたか心配だが、ノイルさんは大丈夫だろうか……?



「ううぅ…………。あ、あれ……、生きてる……?」

「あ゛ぁ……、大丈夫そう……ですね」



 下敷きになってるせいで潰れたカエルみたいな声が出てしまった。


 ノイルさんは倒れる時に反射的に目を瞑ってしまっていたようで、状況を確認するのに数秒を要した。


 僕は保護が必要無くなった右手を頭から離し、ノイルさんを抱えていた腕も退ける。



「れ……レイさん……!?」



 ようやく僕の上に乗ってることに気付き、ノイルさんは顔を赤くし慌てて上体を起こした。


 正直腹の上に座られる方がキツいのだが……。



「ご、ごめんなさい……!だ、大丈夫ですか……?」

「いや……、僕はわりかし大丈夫なので……、とりあえず降りてもらえると助かります……」

「ごごごごめんなさいっ!!」



 図書館に来る直前に昼ご飯を食べていたので、このまま乗られ続けると中身が出てしまう。


 ノイルさんは僕の上から急いで立ち上がろうとしたが……。



「痛……っ!」



 挫いた足で立ち上がろうとしたせいで痛みが走ったようで、ガクッと膝を落としてしまう。


 そのまま腹の上に着地するんじゃないかと一瞬ヒヤッとしたが、ノイルさんもなんとかそれだけは避けようとしてくれたのか、横に逸れて倒れる。


 僕はようやく体を起こし、ゆっくりと立ち上がる。


 起き上がる時に右脇腹に少し痛みがあったが、我慢できないほどではない。



「無理しなくていいですよ、とりあえず休憩室まで背負うので乗ってください」

「……えっ……」



 僕はノイルさんの前で屈み、背中を差し出した。


 しかしノイルさんは僕の背中に乗るのを躊躇ってるようだ。



「で……でも……、私、重いですし……」

「大丈夫ですよ、最近割と鍛えてますし、人を運ぶの慣れてるんで」



 しばらく待っていると、ようやく恐る恐るといった感じで肩に手を回してきた。


 服装がロングスカートなせいで少し背負いにくかったが、なんとか脚を抱える事が出来たので、軽い掛け声とともに立ち上がる。


 よくサルの子供みたいに引っ付いてくるカノンと比べると、やや遠慮気味に乗ってるおかげでちょっと重心が取りにくいが、従業員用の休憩室までならまあ問題無いだろう。

こうジメジメしてると机がしっとりしてなんか嫌ですね。

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