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階段

 今日はおよそ一週間ぶりに図書館に来ている。


 だがしかし、いつものようにノイルさんが出迎えてくれる事は無く、僕を見るなり一目散に従業員用の部屋に戻ってしまった。


 もしかして僕、避けられてる……?


 いやまあオーフェンさんの件でいざこざはあったけど。


 オーフェンさんに僕と接触しないように言われたりしたのかなぁ……。


 だとしたら心境的に今後ちょっと図書館に来づらくなってしまうな……。



「ちょっとアンタ、マーキスさんに何かしたの?」



 ノイルさんの代わりに受付をやってくれた女性にそう言われる。


 その女性は僕を訝しげな目で見ている。



「無口で大人しいからって強引に手を出したら犯罪なんだからね。騎士団に言いつけてやるわよ」

「いやいやいやそんなことしてないですって!僕、ノイルさんのお兄さんに嫌われてるみたいなんで、多分お兄さんに何か言われたんじゃないかと思うんですけど……」



 ノイルさん、神話の話になると結構色々喋ってくれるんだが、従業員の人たちの中では無口キャラで通ってるのだろうか?



「ふーん……、ってかマーキスさん、お兄さん居たんだ」



 兄が居た事も知らなかったらしい。


 たしかオーフェンさんって王宮の魔術研究機関のなんちゃら部の部長みたいな役職だったはずだが、名前を知ってれば兄妹なんだろうなって分かるだろうし、あんまり有名な人ではないようだ。


 やっぱり騎士団みたいに表立って活動しないと知名度は上がらないのだろう。



「まあ、マーキスさんって全然自分の話してくれないから、それが本当か噓かなんて調べようがないんだけど。とりあえず避けられてんのは事実なんだから、ほら行った行った、マーキスさんが帰ってこれないでしょ」

「は、はい……」



 しっしっ、と追い払うジェスチャーをされる。


 謂れのない扱いだが、いつまでも受付に立ってるわけにもいかないし、僕はとりあえず本を物色することにした。




 無意識に館内を歩いていると、自然と神話の本が揃えてある場所に立ち寄ってしまう。


 いつもならこの辺の席に座り、業務の合間を縫って話に来るノイルさんと駄弁ったりする午後を過ごしているのだが、さっきの調子だと今日はノイルさん近づいてこなさそうだし、たまには他の本でも読んでみるか……。


 魔法を交えた剣術の訓練も本格的になり始めたし、魔法系の知識をつけるために魔法学の本でも読んでみようか。


 そう思い踵を返すと、5メートルくらい先の上り階段の手すりの柵に隠れるようにして、白いカチューシャの女性が居た。


 いや跡をつけるにしても近くね……?


 手すりの柵もそう密度があるわけじゃないし、全然隠れられてない……。



「わっ!?」



 突然振り向いた僕に驚いたのか小さく声を上げると、僕から逃げようとしてか慌てて階段を上る。


 だがその階段の先は広い館内を有効的に使い、余すところなく本が置けるように作られている中二階のようなスペースで、その先へ逃げても袋小路である。


 白いカチューシャの女性、もといノイルさんも途中でそれに気付いたようで、階段の途中でピタッと止まり今度は階段を降り始めた。


 僕としては無理に話しかけるのも良くないかもしれないし、そのまま見過ごそうと眺めていたのだが……。



「きゃっ!!?」



 ノイルさんが階段の途中で足を挫いてしまったのが見えた。


 体勢を崩してしまい、その勢いでノイルさんは身長より高い位置から階段の下の方へ身を投げ出してしまう。

なんか今日すごく暑かった気がする。

夏はまだやで令和ちゃん。

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