早朝
ハインリーネ様に魔族の件の約束を取りつけ、デザートを食べながらしばらく歓談を続けた。
地位の垣根を越えて気さくに話をしてくれる本当にいい人で、ここで働いてる使用人の半数は身寄りのない子を保護するために、住み込みという形で雇っているらしい。
たしかにベッドメイキングをしてくれていたメイドさんたちは2人とも10代くらいの子だった気がする。
こんな完璧超人が存在していいのか……?
僕もファンクラブに加入したくなってきた。
夜も更け、ハインリーネ様との歓談を終えると、今日泊めてもらえる寝室に案内される。
場所としてはカノンの部屋の隣に位置する。
「部屋の中のものは好きにしてくれていい。ただあまり乱暴にはしないでくれよ?」
「しませんよそんなこと」
そう言ってハインリーネ様とジニーさんは部屋を後にした。
内装はカノンの寝ている部屋とだいたい同じ感じだ。
お腹がいっぱいでもうあまり動きたくないし、今日のところはさっさと寝てしまうとしよう。
「本当だったら大出世だったんだろうなぁ」
騎士団入りを断ったのを思い出しそう呟く。
カノンのおまけだったとしても、仕事をしていくうちに技量は身に付いて行くはずだ。
だが、騎士団員という称号が付いて回るのはやはり避けて正解だっただろう。
自由行動範囲が制限されるだろうし、夜間活動ができないカノンは夜中でも魔族の討伐に出なければいけない騎士団とは相性が悪い。
安定収入だけは捨て難かったが致し方無かろう。
僕は雑念を祓うように頭を横に振り、くらくらした頭をベッドにぶん投げる。
ボフンとベッドに受け止められ、極上のふかふかに包まれる。
引き合いに出して申し訳ないが、ライアンさんの宿のベッドとは比べ物にならないくらいの寝心地だ。
明日から毎日ここに泊めてもらえたりしないだろうか。
なんてしょうもない事を考えてるうちに、いつの間にかぐっすり眠ってしまっていたのだった。
次の日の早朝。
「ぬおおおおおおおおおおおおお!!!!!」
そんな隣の部屋のカノンの声で僕は目を覚ます。
何事かと飛び起き、慌てて隣の部屋の扉をバンッと開ける。
そこにはまだベッドの上で仰向けになっているカノンが居た。
「どうした!?何があった!?」
「レ、レイ!まずいぞ!」
「何だ!?敵か!?」
急いで駆け寄ろうとする僕に、カノンは首だけをこちらに向けて言う。
「起きたいのにこのベッド気持ち良すぎて体が動かん!!!」
ズコーっ……と、僕はそんな擬音がお似合いのこけ方をしてしまった。
典型的なギャグマンガみたいなリアクションをさせないでくれ。
「なにバカな事言ってんだまったく……。心配して損したじゃんか」
カノンの頭を軽く小突き、掛け布団を剥いでやった。
「あぁっ!」
カノンは布団を取り返そうとするが、起き上がらないと届かない距離なのでその両手は空を切る。
どうしようもないカノンは手足をバタバタさせるだけしかできなかった。
工業MODは沼。




